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OWVのライブがマーケティング的に興味深かった件について

吉本興業所属の4人組ボーイズグループ、OWVを知っていますか?

2019年に社会現象を起こした日本最大級のオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」に出演した元練習生4名により結成されたボーイズグループ。
グループ名「OWV」には “Our only Way to get Victory~勝利を掴む僕たちだけの道~ 誰にも真似することのできない唯一無二のグループとなり、この世界で勝利を掴む”というメンバーの強い想いが込められている。

OWV.jp

JO1を排出したオーデション番組をきっかけに、
リーダーの 本田康祐 が自らの進路を考える上で、吉本興業へ直談判。
志が同じだった " 中川勝就浦野秀太佐野文哉 " に本田自らが声をかけ、
2020年4月11日、コロナ禍で緊急事態宣言が出た4日後に
結成発表することとなったグループである。

歌・ダンス・ラップといったスキル面、
下積み経験や様々なバックボーンからなる信頼感、
もちろん、吉本興業所属ならではのトークの面白さ。

グループの魅力や、活動内容を語り尽くしたいところだが
一旦今回は掲題の件について。

 OWV LIVE TOUR 2023 -CASINO-

結成日から早三年。
OWV自身3度目となるライブツアーの開催が決定。

福島(けんしん郡山文化センター / 2023.03.11)を皮切りに、
大阪(大阪NHKホール / 2023.03.19)
福岡(国際会議場 / 2023.03.21)
そして、東京(NHKホール1 / 2023.04.01)と
4都市7公演を回るライブツアー。

3年の間に、単独ライブだけでなく
東京ガールズコレクション、イナズマロックフェス、KCON、
なんばグランド花月やバスケのハーフタイムショーと
ワンマンからアウェーのライブ会場まで、
ここには書ききれないくらい幾つものステージに立ってきた。

そんな彼らにとって、今回のCASINO TOURは
夢と期待と、不安と緊張が入り混じるステージだったのではないかと思う。

1.    3月11日に福島でライブをすることの意味 (復興支援と消費行動)


本田の出身地である、福島県で
東日本大震災があった3月11日に
アーティストになる夢を見つけた けんしん郡山文化センター で
OWVとしてライブをすること。

この夢はメンバーも、ファンもいつか叶えたいと願っていた夢の一つ。

本田自身も被災経験があることから
OWVの力で福島県を盛り上げたい、と口にし
このライブが発表された時は、多くのファンが涙を流して喜んだ。

それだけ気合が入った3月11日。
多くのファンが、全国各地から福島へ集まり、
ファンが出資する応援広告という文化で、
福島の街をOWV広告で埋め尽くし、
開演の10分前には無音の会場の中、
ファン・スタッフ・メンバー全員が黙祷という形で当時に想いを寄せた。


文化通り 街路灯フラッグ


TOWER RECORD 郡山店で実施された衣装展示、動画放映を見に訪れ、
メンバーがお勧めするクリームボックス、酪農カフェオレ…は
お土産に購入しようと、駅周辺店舗では売切れ。

その2日間、福島の街が熱い想いで盛り上がったことが目に見えてわかり、
福島の良いところを沢山堪能したファンが多くいた。

「地方活性化」「復興支援」というのは簡単。
でも、県や企業としてだとしても、上手くいかないこともあるのが現実。

いきなり何か大きなことを成し遂げようとしても
一方的な発信では、外部とその地の距離は縮まらない。

その点、今回は
アーティストである本田自身が当事者(出身)であったこと
押しつけではなく、純粋に福島の良さを知ってもらいたいと伝えたこと
ビジョン(夢)の共有を日頃からしていたこと

深く考え抜いた発信と共有に
共感した1人1人が集まることで、大きな力になり
経済を回したり、魅力を外へ広げていくことができる。

これだけの熱量があれば、それを叶えられるという
お手本のような流れを、改めて体験することができた。


2.   コロナ禍を経た、初めての歓声(インサイトを捉えたアップデート)

緊急事態宣言真っ只中に結成したOWV。

Withコロナと謳われるようになってからも、
しばらくの間、観客は大声を出すことはNG。

2022年冬に実施したツアーではようやく笑い声はOK。
(芸人さんの劇場では、もう声出して笑ってるんだから良くない?
 となんとも吉本らしい解禁)

ずっと声を出さずに、
拍手とペンライトの振り方で応援してきたQWV(=ファン)

声を出さないスタイルが染み付いてしまっているが故、
「声出しOK!」と言われてもなんと言っていいかわからない。

歓声を聞いたことがないOWVと
歓声を伝えたことがないQWVの
初めての「声出し解禁ライブ」

そんなツアーに、
OWVは声を出さずにはいられないライブを用意してきた。

掛け声動画は出さない、だから事前に覚えてこなくても大丈夫
わかりやすい合いの手のところで、こっちからマイクは向けるし
自分が叫びたいと思ったところで声出してくれればいいよ、
という気軽に楽しめるスタンス

わかった?には「はーい」
嬉しかったら「イェーイ」
まだ終わってほしくない時には「えーーーーーーー」
みんなで盛り上げてこ!とMCにまで巻き込む

音や照明にこだわった、1秒も見逃せない演出
バラードは少なめ、でも鳥肌立つくらい心に染み渡る歌声
初披露のはずなのに、ブチ上がる曲を入れ込み

さらに、佐野のソロコーナーから繋がるDJリミックス
既存曲をアレンジすることで、誰でもノリやすく
何回も聞き込んでいるファンだからこそ、逆に驚きと興奮を感じれる
声出し解禁ライブにはぴったりなコーナー。

3年間の声が出せない期間なんて軽々と超えてしまう
むしろ、その年月を重ねてきた今だからこそできるライブ。

商材自体が元々持っている強みと
ユーザーの特性とインサイト(今回でいう、声の出し方)
懸念さえも受け入れて、変換してしまう柔軟さと
今だからこその、世の中の流れの取り入れ方

コアだけでなく、ミドル・ライトユーザーも広く見据えて
考え抜かれた最高の仕上がり。

何を考え、このライブに来て、何を感じて帰ってほしいのか
ここまで考え抜かれている価格以上の体験消費だった。


3.   OWV史上最大規模の1万5千人動員(口コミマーケティング)

口コミマーケティングとは、生活者による口コミを通じて、
商品やサービス、ブランドの認知度を高めたり、
売上を伸ばしたりすることを目指すマーケティング手法。

商品やサービスのターゲット層の間で話題にのぼり
口コミが生まれるように、企業はさまざまな手法を通じて取り組む。

企業によるフィルターを通さない「生」の情報として、
生活者の購買に大きな影響を与えているため重要視されている。

marketing

見出しの通り、今回のツアーはOWVにとって
史上最大規模の動員数であった。

会場としても、中野サンプラザで実施したことはあるが
今回実施した東京 NHKホールは過去最大規模。

グループとして少々チャレンジな会場。
そのため、「お友達とか誘ってみてね」という呼びかけはあった。

ファンも「よかったら来てください〜」と誘う場面もあったことだろう。

ファンだから、推しに喜んでもらうために会場を埋めたい。
そう思うことは、よくある話かもしれない。

しかし、初日の福島公演終了後、
その「来てほしい」という呼びかけの空気感が変わったように思える。

・今までも楽しかったけど、正直過去一番楽しかった
・今すぐ戻りたいくらい、余韻がすごい
・OWVのライブ知らないの損してる
・大阪(他公演)も行きたくなった、、まだチケットあるかな
・OWVのライブ初めて行ったけど、こんなに楽しいなんて聞いてない
・〇〇初めて連れてきたけど、案の定激ハマりしてます

Twitter(#OWV_CASINO) より一部抜粋

上記はハッシュタグから一部抜粋しているTwitter上のコメント。

もちろん、楽しかった!は今までも沢山転がっていたが
今回は
・他の公演にも行きたい
・ライブに誘ったら絶対に楽しんでもらえるという自信
・お金を払うものとして、心から人にオススメしたい
・初心者でも高い満足度が得られる
といった、今まで来る機会がなかった人に対して
自信を持ってオススメする、という熱量が高いツイートが
沢山見受けられた。

新規顧客を呼び込む、熱量高いツイートをしてもらう
しかも企業主導ではなく、自然発生的に。

第三者からの口コミは、
現代の購買行動において重要な役割を果たしているが、
簡単そうに見えて難しい。

だから、企業は
プレゼントの代わりにツイートしてね、というSNSキャンペーンをしたり
影響力のあるインフルエンサーにPR投稿をしてもらったり
話題を生み出しやすいクリエイティブを模索したり
試行錯誤して、企業主導であることをなるべく隠しつつ(広告色を消して)
第三者からの口コミを広げていくのである。

東京 NHKホール 4月1日

話は戻るが、
そういった 新規顧客を呼び込む 熱量高いツイート が
SNS上に散りばめられた結果、
4月1日のNHKホールは1階・2階・3階までびっしりと埋まり、
大盛況で終わる結果となった。

終了後のツイートを見ると、

・初めて来てみたけど、本当に楽しかった
・急遽だったけど来てよかった
・またあるなら絶対来たい!

Twitter(#OWV_CASINO) より一部抜粋

といった、今回初めて来たであろう人のツイートが沢山みられた。

きっと、初めて来ることになった経緯に
ファンが心からオススメしたい!という気持ちが伝わるツイートが
背中を押すこともあったのではないかと思う。

色々言及してみたものの、ファンがすごい!と言いたいのではなく
あくまでも、こんなにも人に勧めたい!!と思わせるものを作り出し、
ファンへ見せたOWVが素晴らしいアーティストであり、
彼らが抱えている想いが、一人一人を動かした結果だと考えています。

目の前に物理的なメリットをぶら下げて行う口コミよりも
本当に心の底から良いと思った口コミの方が
同じ文字面なはずなのに、1つに対する質量が違う。

本当に良いモノだと心から思えるような商品を提供することは
良い口コミを生み出すための基本なのだと思う。

その上で、知ってもらうためにはどうプロモーションをすべきなのかを
この飽和状態の世の中で、試行錯誤していかなければいけない。

まとめ

  1. ビジョンの共有と共感が人を動かす

  2. 流れを捉えたアップデートで新たな商材価値を提供

  3. 質の良い口コミを生み出すには、良いモノの提供が基本

どれも目新しいことを言っているわけではなく、
自身が顧客として体験し、人が動いた要因として
自分なりに分解した結果を書き留めた内容となりました。

長いノートを読んでいただき、ありがとうございました。

最後に

もちろん、この記事はファン目線も入ってしまっているので
そういう捉え方もあるのか〜程度で読んでいただけたら嬉しいです。

今回のツアーは確かに大きなポイントではあったけど、
OWVはもっともっと大きいところを目指しているし、
彼らが見ていく素敵な景色を一緒に見ていきたいと思っています。

OWVという、
自分達の力で
自分達だけの道を作っているグループが
この先どんな景色を見ていくのか気になりませんか?


参加しないゲームに勝つ可能性は0%だろう?

そんな強気で前を向き続けるOWVが歌う、「Gamer」が収録された
アルバムが7月19日に発売予定!

OWV 
2nd album『JACK POT』
2023.7.19 Release


そうはいったって、強気でいるなんて難しい。

人生、時にはしんどいときもあるし
そんなときに現実逃避を求めて、アイドルに沼落ち…
というケースはよく見られる。

そんなときのOWVは
つらいときは沢山あるけど逃避してたら解決できない、
どうしても向き合っていかなきゃいけない時に

強気で!気合で!ではなく

「生きてくって時にhard work それならばまずは take a breath
「どんな未来があったとしても 弾む感覚信じていこう」
「世界は君に味方する」

休みながらも現実と向き合う、前向きに生きる力をくれるタイプの
楽曲とパフォーマンスを沢山提供してくれるアーティスト。
よかったら、楽曲もチェックいただけたら嬉しいです!






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