「クリエイターが生涯持続可能な活動方法の提案・構築を目指す」グラフィックデザイナー城台宏典さん
楽曲制作、写真の合成、ライブペイント、マーケター、YouTuberなど多岐に活動の幅を広げながら、新たな創作人としての在り方にチャレンジし続けているグラフィックデザイナー城台宏典(Jodai Kosuke)さんにお話を伺いました!
プロフィール
出身地:鹿児島県鹿児島市
活動地域:福岡近隣
経歴:福岡を拠点に2006年より楽曲制作などを中心に活動を開始。2010年からは、楽曲制作によって培われたグラフィックデザインを活動の中心に据える。2013年からは立体絵画制作とライブペイントによりパフォーマンスアーティストとしての側面を発揮しだす。数年の活動凍結を経て、2017年より楽曲制作での活動を再開し、現在はアルバムの無料配布、クラウドファンディングなど新たなクリエイターの在り方を生み出していっている。
Q.城台さんが思い描くこれからの夢・ビジョンを教えてください
城台さん(以下、城台):いくつかの段階を踏んでですが、グラフィックデザイナーとして起業をして、最終的にはモノづくりをしているクリエーターのプラットフォームを作りたいと思っています。
自分が本当にやりたいことをちゃんと前に出して生きていけるような環境に使ってもらうこと、たった1枚だったとしても世界中に広がる作品を作ること、自分みたいに活動持続が難しい人たちが活動持続可能なプラットフォームを作っていく。その両方を実現したいです。
もっとわかりやすく言うと、全ての創作人が生涯持続して活動できる環境を提供したいと考えています。
Q.それを具現化するためにどんな目標や計画を立てていますか?
自分自身がやりたいことをやりながら1つのプロジェクトを成功に導いてこそ説得力があるので、まず最初はやりたいことが他の役に立つことであるという明確なメリットをみせてモデルになっていくこと。
例えば自分がCDのジャケットを作りたいということを伝えるためには、自分でCDを作って「これが私の仕事です」と渡した方が絶対伝わるという思いがあって、自分の中だけで終わらせていた音楽を打ち出さないといけないと考えています。
音楽を作っているので、どうしてもCDショップに並べたいという夢があります。クラウドファンディングとかそういう環境が世界的に整ってきているので、やれるのではないかと思っています。
やるからには他のミュージシャンみたいに「予算がないから支援してください。」という形ではなく、ちゃんと挑戦として全くファンがいない状態から始めていきます。
「こんなコンセプトでやりたい。だからこういったアルバム作ります!」というのを打ち出して、アルバムを作って協力してくれた人に「こういう未来を提供します。」といってアルバムを出した後に、グラフィックデザイナーとして起業します。
そのグラフィックデザイナーとして起業する時の企業理念が、5つのCDのタイトル。タイトルの流れが僕の企業理念になります。
1枚目が「Mahoramatic Non-fiction(マホラマティック・ノンフィクション)」。マホラマ(マホロバ)は桃源郷・素晴らしい場所とかの意味。ノンフィクションは、今まで自分が生きてきた人生・事実。それを全て肯定する、自分の人生は一人で生きてきたのではなくて皆に生かされて生きてきたという自覚。これまで生きてきた現実がマホロバだったという気付き。マホラマティック・ノンフィクションという言葉だけでも完結するのですが、短くても完璧なものをちょっとずつちょっとずつ作っていこうという風にシフトチェンジをする。
2枚目が「ドラマゾヒスティック・ボンボヤージュ」。ドラマが演技。マゾフィフティックがドM。ボンボヤーズは「良い旅を」。自分はみんなに生かされているだけだったら、そのコミュニケーションの中で自分はいつか用済みになる。この関係性を維持したいのであれば、打たれながらでも前に進めとういのが由来です。
3枚目が「アイドマティック・リヴ・レインボウ」。アイドマ(AIDMA)は、まず欲しいものを見つけて手に入れようとする、そういう風に生きていこうとするということ。自分が弱い、生かされていることに気づく。そして強くなるためにどうすればよいか目標を見つけていく、そこに向かっていくという意味が込められている。レインボーは虹。これは僕が勝手に作った物語なのですが、遠くに虹が見えて、その虹をとりに行こうとする。だけどみんな、あそこに虹がないことを知っている。だけど実際にそこまで行くことによって虹がないと気づいた人の方が、過程の中で色んな事に打ちのめされたり、気づきがあったり、一周回ってその人の方が強いということ。
4枚目が「ガラパゴジティック・ルパンキー」。ガラパゴジティックがガラパゴス現象。ルパンキーというのは、傘を開いたり閉じたりするカチっていう部分。傘の取っ手を壊してそれを抜き出したら、自転車の鍵を壊す、無理矢理こじ開けるルパンキーというものになります。自分の個性で誰かの心をこじ開ける、その個性をルパンキーに当てはめています。
ガラパゴスというのは、ガラパゴス現象とかなんですけど、個性というのは結局ガラパゴス化しているものではないのかなと。誰にもないから。みんなそれぞれが、ガラパゴス。
最後に今作っているのが「バグフェアウェルティック・サンライジス」。バグはパソコンのバグとか。フェアウェルが火葬とか別れという意味。個性で誰かの心をこじ開けることが出来たら、自分の弱い部分を認めてやれるということで自分のバグと別れる。サンライズは夜明けですね。そういった次の未来をひらけるということを届けようとしています。
まずこういったコンセプトを僕がやりたいこととして、その先に5枚のCDの中で重要な曲だけを抜きだし並べ替えたものをアルバムにして全国で出してCDショップに並べたいなと思っています。
Q.その目標や計画に対して、どのような活動指針を持ってどのような活動をされていますか?
まずは自分がやることを具現化して、それは「自分がただやりたいこと、遊びじゃなくて未来につながっている仕事だ。」ということも伝えていきたいです。
ブログではそういう先の事も言っていて、最近ではそのCDをデザインする上でどういう風にしたら人が手に取ってくれるかみたいな戦略も全て伝えています。少しでも同じ誰かの役に立てればと思っているので。
例えば個展を開催するのはいいのですが、結局それって集客とかが完璧に出来上がった上での結果発表として僕はできるものだと思っています。昔は個展とかもやって来ましたが、テーマをガチガチに固めた自己実現の空間を作り上げても、そこにお客さんが来なければ何にもならない。それどころかやったと言う事実が生まれないんです。作ったこととカウントされない。
「まずそれをやる前に、どうやって届けるかをもう1回みんな考え直した方がいいよ」という感じで、自分のやり方、戦略とかを全部公開するようにしています。
作曲家としてメジャーな人たちは、聞いてくれる人たちがどういうニーズがあるのかなどを考えますが、グラフィックデザイナーに主軸を置いた自分はそれが全然なくて。つくりたい音楽、100%自分がつくりたいものだけを作って、そんな誰のニーズも叶えていないようなものをどうやって届けていくのかなどを実験的に今やっているところです。
記者:作りたいものとは、どういうものですか?
城台:自分がワクワクするもの。これだっていうものが出てくるので、それをやるだけです。昔はずっと定期的に作品を提供していかないといけないというのがあったのです。そうしないと人が離れていくんじゃないかと思っていたこともありました。それにやっぱり仕事の依頼とかが欲しかったので、「自分は無限に生み出していけますよ、枯渇しませんよ」という意思表示のためでもありました。でも今はそういうのが全然なくて。本当にこれだっていうのがでてきたら、そこに全力をいれるという形でやっています。
Q.その発見や出会いの背景には何があったのですか?
「人は思春期にできなかった事を残りの生涯で、それを叶えようとする」という言葉がありますが、それなのかもしれないですね。ずっとバンドを組みたかったんです。
記者:思春期の頃ですか?
城台:はい。高校・大学とですね。
音楽は自分で作っていただけで、人を集めることはしていませんでした。でも、バンドを組みたくて、たまに楽器屋のバンドメンバーの募集の紙を貼っていました。そこに連絡してくれる人もいたのですが、自分でこいつはダメだとか自分のなかでハードルを上げ過ぎて、結局一度もバンドとか組まずに終わってしまいました。ずっと一人でやっていて何も広がらなくて、その音楽を捨ててグラフィックデザインをやりました。次はグラフィックデザイナーの道を捨てて料理人になりました。でもこれじゃだめだってなってグラフィックデザイナーに戻ってきました。
「グラフィックデザイナーですよ」というからには、ちゃんと額に入れた作品じゃなくてちゃんと製品としてこういうサンプルをつくって「こういうことをしたいです!」という、もう徹頭徹尾100%これが自分の仕事ですと言えるものを提示する。CDとして形にするからには、ニッチなものでもいいので、適当なものが入っているのではなくて、ものすごく濃いもの入っていた方がいいと思っています。
今の構造を簡単に説明すると、グラフィックデザイナー城台の最大のクライアントは作曲家城台なんです。人に受け入れられるかわからない、けれども楽曲の中身の濃さは引けをとらない。これをどう広めていけるか、という無理難題を試行錯誤しながらやっているのが今の活動です。
ユーチューバ―など好きな事をやって生きていく人が、ちょっとずつでも出てきている今の環境の中で、正社員という安定の仕事を捨ててもう一度戻ってきたからには、どうにかして自分が型破りな方法でのし上がっていって、「この方法だったら前に行けるよ」って言ってやりたいという思いがあります。
記者:城台さん、本日は素敵なお話をどうもありがとうございました。
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●オフィシャル・ウェブサイト
【編集後記】
様々な経験を通して自分のやりたいことを形にしていくだけではなく、同じ道を目指している方たちのプラットホームを作るという明確なビジョンに向かって進んでいく強い意志と想いが伝わってきました。
これからの城台さんのますますのご活躍を楽しみにしております。
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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
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