「データを使って世界を明るくする」NOB DATA 株式会社 代表取締役 大城信晃さん
大手企業にて豊富な知識と経験を積まれ、データ分析を海外に展開していこうとされている大城信晃(おおしろ のぶあき)さん。大城さんが感じていらっしゃるデータの持つ大きな可能性について、お話を伺いました!
プロフィール
出身地:沖縄県
活動地域:福岡県福岡市
経歴:2009年ヤフー株式会社へ入社し、コマース事業の開発エンジニアとして経験を積む。2015年にDATUM STUDIO株式会社へ、2017年1月に福岡へ移り、LINE Fukuoka株式会社にてデータ分析業務に従事。2018年9月末にNOB DATA株式会社を設立。現在に至る。
活動:「NOB DATA株式会社」にて、データ活用に関するコンサルティング,受託分析,人材育成,セミナー,記事や書籍の執筆などを手掛ける。
「データ分析で問題解決できる幅を増やしたい」
Q1.現在、どのような夢やビジョンをお持ちですか?
大城信晃さん(以下、大城):まず当面の目標としましては、まずは地方でもデータ分析が魅力的な仕事として成立する状況を作りたいと思っています。また単に東京のニアショアにならないよう、九州・地方ならではの課題を解決していきたいと思っています。例えば沖縄だとリゾートテック、という言葉がありますがこれは非常に上手いブランディングで、リゾートという軸だと東京だとなかなかできない分野かなと思います。個人的には九州でも温泉テックや酒テックのような形で地域色のあるデータ分析やAIビジネスができないかなと思っています。
そのために、今全国で活躍しているデータサイエンティストの力を借りた、分析チームを作っている現状です。
またこれは5年以上先になるとは思いますが、中長期的な野望としては、その動きを国内だけでなく、海外の発展途上国、特に九州だとアジア圏内で、データを使ったソリューションを展開していきたいですね。
Society5.0という言葉も最近出てきていますが、今後は既存のインフラに組み合わせてデータを活用して、渋滞をなくしたり、故障予測を行ったり、電力関連だとスマートメーターのデータとAI技術を使って効率的な宅配の順番の最適化などができたりと、国内でもそういった取り組みも増えてきています。世界には途上国などこれからインフラが整う地域は数多くありますが、インフラ導入とセットでそれらのノウハウやソリューションもを輸出していくと、付加価値も高く、何より便利な生活ができるようになるのではないでしょうか。
アジアに近いという利点を生かし、そのような活動の拠点に福岡がなればいいなと思っています。
「ビジネスと啓蒙活動のバランスが大事」
Q2.そのことを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
大城:弊社はまだ一期目(インタビュー時。現在は2期目)なのですが、活動の方向性としましては大きく分けるとビジネスの面と、啓蒙活動の面の2つがあります。ビジネスの面で言うとやはりヒト・モノ・カネ・データの集中する東京の方が案件も多く、東京:福岡で7:3程度の案件の割合で仕事をしています。
もう一つの啓蒙活動の面では、福岡の百道浜にある福岡ISTさんと組んでセミナーを行ったり、G’sアカデミー福岡でメンターをしたり、あとは勉強会のコミュニティを3つ持っているので、そこで講演や、技術者・現場向けの勉強会を行っています。福岡のお客様のお話を聞くとAIという言葉だけひとり歩きしている部分もありますので、課題設計、仮説構築、データマイニング、データ収集、分析基盤構築、データ分析、機械学習、AIなど全体の中でのAIの立ち位置を正しく伝えていくことが大事かなと思ってます。
ただ、どうしても現場向けだけだと弱く、上からも働きかけていく必要を感じたため協会活動も行っています。現在データサイエンティスト協会の九州支部というものを作っていまして、現場の方だけでなく経営者層や意思決定層へ適切なデータ分析・AIの情報提供ができる場を作るよう仕掛けています。1年目は、まずそういうサイクル作りを行っていきたいですね。
「検証して”そうじゃない”ことが分かることが価値」
Q3.その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような活動をしていますか?
大城:データ分析というのは、失敗するのが当たり前なんです。仮設を立てて、検証して、結果が違ったのであれば「なぜ違うのか」ということを何度も検証し、そして最後にゴールにたどり着きます。ある意味、実験のようなものです。その為、減点方式でやると上手くいきません。要は、「そうじゃない」ということが分かることが価値なので、それを積み重ねることによって、精度が上がっていきます。
依頼者とその認識の摺り合わせができていなければ、「間違いなくすごい技術を使っているのに、なぜ結果が出ないんだ」となって終わってしまいます。この分野は、ゴールが見えてないと「失敗」と判断されることもあるため、最初に共通認識を図ることがとても重要です。成功体験まで行けると、価値を感じて頂きやすいと思います。
「発想やロジックさえ知っていれば既存のもので新しいサービスが創れる」
Q4.夢を持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがありましたか?
大城:元々、既存にあるもの同士を組み合わせて、新しいものをつくるということが学生の頃から好きでした。発想やロジックさえ知っていればつくることができるので、そこからITの世界に入りました。
私の仕事上、「この会社にはこういうデータがあり、こういう使い方している」という色々な事例を知ることができる立場にいますので、それらを繋げて新しいもの、新しいサービスができないかな、と日々考えています。
ITの世界に入った後に、たまたまデータサイエンスのブームが来たのですが、例えそれが来なかったとしても「データって面白いな」と思っていたので、この仕事を選んでいたでしょうね。またユーザーの心理や行動は、データで出てくるので非常に興味深いのですが、最終的には「一人一人のユーザーにとって最適なサービスとは」、という観点に行き着きますので、数値だけでなく人について興味を持つことも大事な仕事だなと感じています。
「まだ取り掛かっていない課題を解決していく」
Q5.その気付きや出会いの背景には、何がありましたか?
大城:新しいサービスをつくることも好きなのですが、私が大事にしていることとしては、多くの方が既に取り掛かっている分野よりも、まだ取り掛かれていない問題を解決していきたいという思いが強くあります。地方になればなるほど、人口比率としてもビジネスインパクトとしても、課題を解決する人の数が減ってくるのですが、それであればそこにしかないユニークな問題にアプローチしたほうが世の中的にもいいのではないかと考えています。
データ分析においても、広告のクリック率を上げるといった、結果が数字で見えすぐお金になるデータ分析もビジネス観点では大事なのですが、それだけだとちょっともったいないかなと思ってます。データ分析やAI技術はちゃんと使えばこれまで解決できなかった課題を解決する糸口になる可能性は十分ありますので、まだ手を出していない色々な領域にもチャレンジしていく事が大事なのでは、と考えて活動しています。
記者:大城さん、本日はどうもありがとうございました!
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大城さんの活動、連絡についてはこちらから↓↓
【編集後記】
インタビューの記者を担当した冨沢・北川です。新しい道を開拓されていく、その勇気と挑戦があってからこそ、私たちの暮らしが便利になっていくのだなと感じました!データ分析には、世の中をより暮らしやすくする可能性が秘められているんだなと思いました。今後の更なるご活躍を楽しみにしています。
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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。