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【007】補習生が知らない補習所の世界

今週は予定通り業務の質・量ともに落ち着いた感じでした。新規のお話がああり、久々に大量の名刺交換もしました。名刺交換の数を営業のKPIとするには、(私がいま求められている水準からすれば)あまりにも次元が低すぎるのですが、会議の帰り道に「初心に帰るという意味では、基礎的な所作も馬鹿に出来ないですよね~」みたいな話を同行した方々としていました。来週も面白そうな仕事創れるよう張り切っていきたいところです。

というわけで、今週は補習所の話です。正式名称は一般財団法人 会計教育研修機構(Japan Foundation for Accounting Education & Learning 略称:JFAEL)らしいですね、いま調べました。
私も運営委員や講師、分科会メンバーという立場で数年関与しています(一部の業務は今は関与していません)が、コロナ渦前後の変遷も含めて補習生が知らなさそうな話をふわっと書いていきます。

何をやっているのか

運営委員:ゼミナール・ディスカッションが1回あたり2-3時間×年間10回前後、課題研究が6本(採点時間はだいたい1-2時間前後)、考査の立ち会いと採点を年1,2回という感じです。J1-J3まで全クラスの同じ班を担当するので、毎年J123の短縮生のような感覚ですね笑。要する時間は、年間を通して数十時間の後半です。時期的には1-3月と5月下旬-7月下旬にかけての前後期に分かれます。これは補習生と同じですね。
加えて、正副委員長を拝命している場合には、正副委員長の会議もあります。いやはや大変です…
講師:イーラーニングの資料準備及び講義実施。だいたい年末年始前後にいつも収録しているイメージです。
分科会:教材の編成などやってます。何の分科会やるかで大変さが変わってきます…

どうやって運営しているのか

最近の運営、昔と比べてだいぶ良くなってきました。2020年以降、様々なものをオンライン化せざるをえなくなったので、それが効いている気がします。採点業務も最近はオンライン化されており、細切れ時間で対応している身としては、かなり助かります。

他方で、まだまだ改善が図れていない分野も多々あろうかと思っています。個人的には、一つ背景としてあるのが(会計士協会全体に言えることですが)だいたいの任期が3年であることです。
事業会社などでは、社長職の上に会長職を持たせるなど、短期的に大きな方針が転換し続けないようなガバナンス設計をしているところが多いと思います。もちろん良し悪しはあろうかと思いますが、やはり中長期的な視点での最適化を図るという意味では、これは会計士業界も習うべきところかと思いました。

ただ、何故現状がそうなっていないのかとを考えると、その理由の一つは業界内にける役職の需給の問題かと推察します。つまり、(短期的にでも)役職に就きたい人の数が、座席の数以上に多すぎるので、3年程度の短期で回して色んな人にやらせないといけないのかなと。
他方で弁護士会などがどうなっているのかは気になるところで、今度、詳しい先生方に会ったら聞いてみたいなと思います。

どこでやっているのか

昨年まではオンラインが主でしたが、今年から対面復活で移動等があり、前後の業務時間の調整がやや大変です。運営側はオンラインの方が格段に楽でしたが、対面の方が明らかに補習生同士のコミニケーションを取りやすいですね。この辺り、補習所に限らず、オンラインでのコミュニケーションを中心にして育った世代が今後どうなっていくのかは非常に気になります。

誰とやっているのか

運営委員は、経験値的にはマネ前後の人(合格後6-14年)が多く、合格直後の方に何かを教えているという意味ではちょうど良い水準なのかなと思っています。シニアぐらいだと教えられる視座・視点・視野が限定的かと思いますし、ちょっと荷が重いですよね。
講義をやられている講師は業界歴10年超の方々が多いかな、という印象です。

なお、運営委員の対象となりうる監査法人のマネのレベルが低いわけではないのですが、事業会社勤務や独立している方の10年目前後の比率を高めるのも良いかと思います。多様性を強調する観点からも、もう少し監査法人以外に勤務している運営委員をそろえた方が良いですね、運営委員の母集団の形成にあたっては一定のルールがあるので結構難しいと思いますが。。。

他方で、補習生のレベル感は(当然ですが)昔とそれほど変わらないという印象です。強いていうと、会計士に限らずですが、おとなしい人増えたかなと思います。

リターンは何か?

一部無償ですが、基本的には有償です。が、(個人的に提供していると思っている価値と比較して)かなり割安な印象です。
現状の自身の力量に比して、個人の業務委託単価として、この水準の報酬を引き受けるのは結構厳しい水準だと思いっていますが、それは、偏に自分自身がここ数年でプロフェッショナルとしてちゃんと成長してきたものの、報酬単価が特に変わらなかったからであり、逆にいうと、数年前の力量との比較では「貰いすぎ」だった自覚しています、ごめんなさい。

金銭的な報酬については、競争原理を働かせてほしいですね。成果に影響しない固定報酬だと良い人が集まらないと思います。

金銭面外でのリターン

拝命した直後は後進育成に興味がありましたが、今は「たかだか十数年程度の業界経験で何かを教えようというのは、ちょっとおこがましいな」と思っています。

では、今は何がモチベーションになっているかといえば、大きくは3つ。

1つは年々上昇する補習生とのコミュニケーション難易度。学校の先生と同じく、入ってくる人たちのレベルは常に一定ですが、私は年齢と経験をを重ねます。つまり、補習生との距離感(≒思考力、経験値 等)は常に開き続け、距離感に比例して上がり続ける難易度に対して、如何にして対応していくのか。プロフェッショナルファームで職位も3つ以上離れてくると、もはや(双方にとって反対側の当事者が)宇宙人です。この上がり続ける難易度の高いゲームを楽しむことがモチベーションの一つです。

2つ目は人材への投資活動です。補習生は種(シード)であり、これから苗へ幹へと育っていくわけですが、その中でもキラリと光る逸材が出てくると思います。有望な若手との継続的な接点を持ち続けられるというのも大きなリターンです。自身の属する組織への直接的なリクルーティングはしていないのですが、間接的かつ長期的な観点で、補習生の方々に営業活動をさせていただいている認識でいます。

で、3つ目は”Out of the box Thinking”思考です。業界慣行を知らず、実務も知らない補習生とのやり取りはいつも斬新で、素晴らしい気付きを与えてくれます。補習生のような年次の方々と、仕事上では接することがないので、凝り固まった思考を崩してくれる有難い存在です。

というわけで、来週も体調に気を付けて頑張っていければと思います。
以上です。ありがとうございました。



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