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僕がラジオで人を笑わせたい理由【ラジオトーカーうえださん】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『ラジオトーカーうえだの夜中に笑って欲しいラジオ』を配信するラジオトーカーうえださんにフォーカスします。

ラジオトーカーうえださんは、京都生まれ・京都在住の29歳。大学の事務職として勤務するかたわら、2020年3月にRadiotalkで番組を立ち上げ、積極的な収録配信とライブ配信を行っています。

うえださんプロフィール写真

ときおり下ネタも取り入れる「笑い」に貪欲な雑談スタイルと、他のトーカーとのコラボ、長時間ライブ配信といったユニークな企画で人気をあつめ、2021年8月にはMBSラジオ『あどりぶラジオ』“月刊ラジオトーク”で念願の地上波出演を果たしました。

番組当初から地上波デビューへの夢を語っていたうえださんが走り抜けた、有言実行の1年半を振り返ります。

(取材/文:鼻毛の森

失恋きっかけに、かつての夢が再燃

──Radiotalkに出会う前のうえださんについて教えてください。

うえだ:僕の本業は事務職で、今も京都にある実家から通ってデスクワークをこなしているのですが、実は学生時代の1年間、東京の大手事務所の養成所で構成作家の勉強をしていました。

ずっと「自分の言葉で人を笑わせたい」という夢を持っていて、大学を休学してまで飛び込んだんですが、練りに練った構成を色んな大人に手直しされる中で「なんか違うな」と思ってしてしまって……。結果、1年で地元に戻ってきてしまいました。

大学では放送部でアナウンサー的なポジションを務めていて、完全に挫折したわけではなかったんですが、深夜ラジオのような小話を挟むとディレクター役の仲間に怒られたり、となかなか上手くいかなくて。自分がなりたい姿をなかなか実現できず、色々消化不良のまま社会人になってしまいました。

──音声配信を始めたきっかけは?

うえだ:27歳のとき、前の職場で一緒に仕事をしていた7歳年下の女の子に恋をしてしまいまして。

ちょうど将来に悩んでいた時期で、しっかりした子なので相談に乗ってもらっていたんですが、「一番好きなことをやったほうがいいですよ」と。それで「一番好きなことってなんだろう」と掘り下げるなかで、養成所に行っていたときの想いに回帰したんです。

……なんてカッコつけてますが、実際は「人を笑わせる姿を見せて、彼女に振り向いてもらいたい」という下心もあったのですが(苦笑)

──数ある音声配信サービスのなかからRadiotalkを選んだ理由は?

うえだ:社会に出てからはラジオそのものと疎遠になっていて、音声配信の存在すら知らなかったのですが、もう一度始めるにあたって「深夜ラジオのようなことをてっとり早くできる」音声配信アプリというものがあることを知りまして。どのアプリにしようかいろいろ迷ったのですが、最終的に配信者が「内容で勝負している感」の強かったRadiotalkを選びました。

当初は転職の兼ね合いもあってなかなか手を付けることが出来なかったのですが、昨年3月にコロナ禍でテレワークが半分の生活を占めるようになり、時間に余裕が出てきたタイミングで本格的に始動させました。

──ちなみに、意中の人はどんな反応でしたか。

うえだ:初期は彼女が聞きたくなるようなネタを配信もしていて、「こういう話、好きかなと思って」とLINEで連絡していたんですが、職場を離れたら仲も疎遠になってしまって。潔くフェードアウトしました……。

「内弁慶」がコンセプト

──第1回の配信時は、どのように臨みましたか。

うえだ:Radiotalkの場合、収録後に音声の聴き直しができるので、5~6回録り直したのを覚えています。

内容もさることながら、マイクの音の入り方もしっくりこなくて。下ネタや大声トークをするぞと意気込んでカラオケボックスで行ったのですが、どうしても隣の部屋のザワザワが入り込んだり……。とにかく右往左往したことは覚えています。

最近改めて第1回の配信を聞き返してみたんですが、初配信のネタが「下痢の3ヶ条」という。

謎すぎますよね。「他と違うことをしよう」という思いが見事に裏目に出ていて、恥ずかしかったです(苦笑)。

──番組コンセプトはどのように決めましたか?

うえだ:深夜ラジオに憧れがあったので、「コロナ自粛で気の合う友達にも会えず、喋る必要のない静かな職場にい続ける日々を送る人見知り男子(29歳)が内弁慶的にぶっちゃけるトーク」と決めて臨みました。

ただ、今はもう、よくしゃべる人と認識されてしまっているので“フリ”が効かない状態になっていて。

ターゲットも本来は同世代の男性だったのですが、実際は女性の方も多く、世代も幅広くて。いい意味で目標通りに行ってないかもですね。

家族に隠れてカラオケボックスで収録

──普段の収録環境を教えて下さい。

うえだ:収録、ライブ配信の舞台は基本、カラオケボックスです。毎週4日は何かしら配信をしているので、毎月の利用料金が数万円単位にのぼりまして。お店でもかなりの常連と認識されているのではないかと思います。

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あとは通勤用の自家用車の中ですかね。もちろん、駐車場で。

──自宅では収録しないんですか?

うえだ:自宅でやるとしたら、小声でやらないと……。というのも、音声配信をやっているというのは家族に秘密なんです。「20代後半にもなってまたなんか始めたぞ」と心配されるのもなぁと。そもそも地声が大きいので、筒抜けの状況で下ネタとか家族の話とか、普通にできないですよね(笑)

なので、機材は気軽に扱えるスマホ一台のみです。カラオケボックスの場合はテーブルに据え付けて、車内の場合は手持ちで。機材をそろえるより、コツをつかむことにこだわってきました。

──夜な夜な実家を抜け出して収録を……

うえだ:いえいえ、もっと浅い時間ですよ(笑)。会社帰り、自宅までの間にあるカラオケボックスへ「寄り道して」録っていますので。あくまで社会人生活がメインなので、収録や配信の時間にムラができてしまうのが悩みどころですね。

周囲からは「配信時間を決めたほうがいいよ」と言われるのですが、「収録したらすぐに出したい」という思いが強くて、結果として不定期配信になっています。ただ、忠告してくれる気持ちはすごくわかるので、課題ですね。

──収録にあたって、下準備は行いますか?

うえだ:とにかく集中力がないので、思いつくままにメモして、忘れないうちに収録してなるべく早く吐き出す、という感じです。誰かとのネタ合わせや、ネタ作りの時間を作ったりなどは一切していないですね。

「作り込みたい話」は収録、「ただ伝えたい話」はライブで

──Radiotalkには収録配信とライブ配信がありますが、うえださんの場合はとくにライブ配信に注力している印象です。

うえだ:Radiotalkにライブ配信機能が実装されていらい、収録番組の再生回数に変化が現れだして。「トーカーさんとリスナーさんがたくさんいる場所に行ってみたい」という思いから、ライブ配信を始めました。

ただ、ライブ配信は「いつでも出入りできる場」なので、コミュニケーション力が求められるんですね。僕が本来やりたい、起承転結を作り込んだエピソードトークをする場所としては、やはり収録のほうが合っていて。

最初のうちはペースを掴めず、「このままだと一人喋りが錆びていくのではないか」という焦りもあって。収録配信を聞いてくれていたリスナーさんに「謝罪」をしたこともあったのですが、最近は双方の良さに合わせて「使い分け」ができるようになってきました。

──収録配信とライブ配信、それぞれどのように使い分けていますか。

うえだ:収録配信は1時間ぐらいかけて作り込むので、作品としてのよさを追求することができます。一方、ライブ配信は生なので、より話に鮮度がありますし、時間制限があるので否応なしに話をコンパクトにする技術が磨かれる。結果、“腹をくくる”ことで想定外のいい展開に繋がることも多いので、それぞれ良さがあるなと感じました。

僕の場合、「作り込みたい話」は収録、「ただ伝えたい話」はライブで配信する、というように使い分けてますね。

コラボ配信で得た「相手の話を引き出す技術」

──うえださんは、Radiotalkのトーカー同士での「コラボ配信」に大変積極的な印象があります。

うえだ:Radiotalkのコラボ配信機能は、まさに僕にとって「できたらいいな」と思っていた機能だったんです。新しい機能がリリースされるごとに、自分の夢が叶っていくような、運命的なものを感じていましたね。

とくにライブ配信の30分枠は、コラボでの長さにちょうどぴったりなんです。いろんな人を巻き込みながら面白いものを作っていきたいと思う自分にとって、コラボ配信機能はまさにうってつけの存在でした。

──「コラボ相手」はどのように見つけるのですか?

うえだ:最初は配信を聞いて、面白いなと感じたトーカーさんに直接声をかけていくやり方でした。当時も物珍しさからかどんどん輪が広がっていく実感がありました。

2020年7月に「1ヶ月で100本配信」企画でコラボネタを多数展開したのですが、それをきっかけにトーカー同士の交流が生まれるようになって。その流れで名前を覚えてもらい、新たなコラボにつなげるというスタイルが確立していきました。

──ひとりでの配信とコラボ配信で変えていることはありますか?

うえだ:コラボ配信では自分の話を抑えて、相手の話を聞くことに力を注いでいます。僕の投げかけ方や聞き取り方次第で、トーク全体をコントロールし、相乗効果が最大させた方が、リスナーさんの満足にもつながるんじゃないかなと思いまして。

──コラボ配信を通じて、変化したことはありますか?

うえだ:コラボ配信に挑むたびに、いかに自分の現実世界が狭いかを思い知らされるんですよね。コラボ配信という場は、いろんなトーカーさんの、僕からは見たことのない世界を吸収して、自分に還元できる貴重な場だと思っています。

「嘘がなくて温かみもあって、最強だな」と僕が尊敬しているトーカーさんがいるんですが、この経験を重ねていけば、色んな視野を持てるようになって、少しでもその方に近づけるのではないかなと期待しています。

「42人と10分ずつ会話し続ける」リレー

──これまでに手応えを感じた企画はありますか。

うえだ:トーカーさんと10分縛りのコラボトークをしながら次のトーカーさんを募集して、それをSNSで拡散してもらうことでリスナーさんごと巻き込んでいく長時間ライブ配信企画を行いました。

フルマラソンの距離にちなんで42人のトーカーさんとコラボしたのですが、みなさんのTwitterでシェアしてもらったことで、僕の予想しない新しいトーカーさんがバトンを受け取ってくれて、ヒリヒリしながらも8時間越えの長時間配信を完走することができました。

一人では無理だったという充実感と、けっこうな金額のカラオケボックスの部屋代金が印象的な日になりました。

──「完走」してみて、いかがでしたか。

うえだ:長時間ライブをすることで注目してもらえるところもありますし、それぞれのトーカーさんのファンがリアクションしてくれるので注目度も上がって、相乗効果だらけでしたね。

10分と言う縛りは「トークのクオリティを下げたくない」「常に新鮮な配信にしたい」という思いから決めたルールなんですが、結果として、ついつい中だるみしがちな長時間ライブ配信の弱点を克服できたように思います。

1年半でたどり着いた「地上波」

──『あどりぶラヂオ』で念願の地上波出演を果たしましたね。

うえだ:1回目の配信から公言していた夢が1年半で叶って、めちゃめちゃ嬉しかったし、楽しかったです。MBSラジオのスタッフさんからDMが届いたのは朝だったんですが、夢オチにしたくなかったので、二度寝するのをやめました(笑)

もっとも、僕ひとりの力ではなくて。コラボしたトーカーさん、そのファンの皆さんの後押しなしには、ここまでたどり着くことができませんでした。

──これを機に、プロの道へ?

うえだ:万が一プロになれるなら、今の生活の50%を占めるラジオ占有率を100%にしたいですね。もっとも年齢的にこの先、迷いもどんどん深まるでしょうから、モチベーションが下がらないための次の作戦を練っておきたいなと思っています。

「笑える場が欲しい人」の役に立ちたい

──うえださんにとって、リスナーとはどんな存在ですか?

うえだ:精神的な支えですね。職場や家族に言えないような本音を忖度なく吐き出せて、僕の心を軽くしてくれる存在です。リスナーさんの包容力は、僕にとって大切な居場所であり、軸になっています。

──今のうえださんにとって、Radiotalkとはどんな存在ですか?

うえだ:居場所、軸であることはもちろんなんですが、戦場でもあるなと。とくに自分以外のトーカーさんは、リアルなお付き合いから発展した信頼関係もひっくるめて、全員ライバルだなと思っています。「自分は他の人よりも面白いかどうか」という状況を、末永く楽しんでいきたいですね。

──改めて、うえださんがRadiotalkで配信する理由を教えて下さい。

うえだ:これまでラジオにたくさん笑わせてもらって、今はRadiotalkに救われているので、少しでも僕なりにリスナーさんにお返しができればと思っているんです。いろんな事情で疲れていたり辛い思いをしている人たち、僕もそうであったように「いま、笑える場が欲しい人」の役に立てたら、こんなに嬉しいことはないですね。

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