見出し画像

パン屋のように、焼きたての笑いを毎日送る【山本山本さんインタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『山本山本のラジオ』を配信する山本山本さんセレンさん小林小林さんの3人にフォーカスします。

3人とも、札幌出身の27歳。既婚者で東京在住の山本さんは、同じく既婚の小林小林(以下小林)さんと「好きな人がいる」セレンさんは今も札幌を拠点とする、遠距離トリオです。

2020年7月にスタートした『山本山本のラジオ』ですが、元芸人のセレンさんが自由にボケ、山本さんが斜め上から突っ込み、小林さんがブーストをかけるプロレス的なフリートークがブレイクし、今やフォロワーは4万人を超える人気番組に。

3人の「おもしろ」へのこだわり、そしてその奥に秘めた人間味をお楽しみください。

(取材/文:鼻毛の森

「同級生だけど交流なかった」不思議な縁の3人組

ーー3人の出会いについて教えてください。

山本:まず、セレンは僕の中学の同級生です。同じサッカー部に所属していたのですが、交流はほぼありませんでした。でもセレンは僕のことをライバルと思っていたんじゃないですかね。

セレン:いや、山本は下手すぎて部活を辞めさせられてました。

山本:すみません、下手すぎて顧問の先生に「辞めちまえお前」と言われて部活を辞めさせられたの忘れてました。

小林:僕と山本は、高校の同級生です。山本は当時から活舌が悪くて、なにを言っているかほとんど分かりませんでしたが、仲良くしてました。僕は元々学年でトップクラスの成績だったのですが、山本たちと仲良くなってから成績がめちゃくちゃ落ちました。

セレン:なので、同じ札幌生まれ、札幌育ちですけど、僕と小林君の接点は全くなくて、この番組きっかけで知り合いました。

ーーRadiotalkでトリオとなった理由は?

山本:Twitterは10年近くやっていて、もうTwitterでやりたいことがなくなり、新しいことをやってみようと思っていたので始めました。

セレン:そこで山本から声がかかって、ゲストのような感覚で第1回に出ることになりました。

山本:中学時代はセレンとあまり交流ありませんでしたが、大学時代に芸人をしているセレンのライブに通うようになって、仲良くなりました。僕の友達で1番面白いのはセレンかなと思って、セレンをラジオに誘いました。

セレン:山本に誘われたので、とりあえず始めてみようかなと、軽い気持ちで始めました。

ーー小林さんは、そんな二人に合流する形で?

小林:いや、セレン君の代打で入ったことがきっかけですね。リスナーとして山本とセレン君の配信を聴いていたので、誘われて嬉しかったです。

山本:で、Radiotalkをはじめて3カ月ぐらいで、セレン君がモンゴルに旅立ってしまって。ピンチヒッターとして小林に相方を務めてもらうことになって。

小林:で、セレン君がモンゴルから戻ってきても、なんとなく3人で番組が成立して、今もそのままです。3人で会ったのって、実は1回だけなんですよね。

山本:つい4か月前に、1回だけ実際に会ってライブ配信をしました。

小林:実際に会って配信したらめちゃくちゃ面白くなるだろ、と思ったら、そのライブ配信が引くほど盛り上がらなくて、そのあと少し険悪な雰囲気になりました。それから1回も3人で会ってないです。

面白ければ、自分にスポットが当たらなくていい

ーー番組を始めるにあたって、考えたコンセプトはありますか?

山本:「何をするか」にはこだわらず、「面白いこと以外はしない」とだけ決めました。僕たちの話を楽しんでくれる人が楽しめる番組になればいいなと。

ーー自己紹介どころか、名前も名乗らないまま終わる第1回配信は衝撃でした。

山本:わざわざしなくてもいいかなと思いました。1回目の時点で自己紹介しても、だれも興味ないかなと思ったので。

配信はもう少し伝わりやすい内容にも出来ますけど、わかる人にだけわかればいいかなと思って。「分かりやすいボケをしよう」というようなことは1回目から意識しないようにしていました。

セレン:僕は誘われて始めたので、こだわりとかは無く…… というか、お互い2週間ぐらいで飽きるものと思っていました。ただ、気づいたら500回超えで。このまま還暦までやる勢いで、現状、終わりが見えてません。

小林:僕が参戦したときは、山本から「録り直そう」とよく言われました。お便りに普通に答えていたら、「笑いを取りにいかないなら読む意味ない」と言われました。

ーー3人になってからの役回りは?

山本:話を繋いだらセレンが面白いことを言うので、セレンが面白いことを言うまで僕と小林で話を繋げています。

小林:セレン君がボケ、山本がツッコミで成立しているので、僕は、2人がこぼした笑いを拾いにいくという感じです。

セレン:僕は特になにも考えていません。

「見出し」を決め、あとはトークをぶつけ合う

ーーネタは分担で考えているんですか?

山本:基本は僕がトークの見出し(タイトル)を考えて、2人に「お題」として共有します。あとは、収録開始後に「あのさ……」と見出しになる話題を切り出して、持ち寄った内容をぶつけ合って、広げている感じですかね。

小林:一時期、山本だけだと大変だなと思って、週何本かの「見出し」を背負う形にしたんですけど、結局どんどん減って、また山本だけに戻りました。言い訳をさせてもらえば、山本は普段から世の中に対して「なんなんだよ」と思ってるんですけど、僕が大人なので、世の中の大概に納得しちゃってますから、ネタが一切思い浮かばないんですよ。

山本:こっちも大人なんだよ。ただ、高校時代から、日常にあったことや「なんで?」って思っちゃったことをメモする習慣があるんですよ。

セレン:僕は、思いつかないので一切考えてません。

ーー収録トークとライブ配信はどう使い分けていますか?

山本:ライブ配信は週1回やるかやらないかで、こだわりは全くないですね。今年1月の「トークの日」に1位を取らせてもらって、僕たちオリジナルの「五目ごはん」のギフトができたんですけど、月2000個使われないと消えてしまうため、ギフトを消化するためにも頑張ってます。基本は収録に全力を尽くすスタイルです。

ーー番組の進行上、大事にしていることは?

山本:先ほども言ったのですが、話を繋ぐ、発展させることは常に意識してます。

小林:あとは、山本を「この前の企画面白かったね」と褒めることを意識しています。

山本:え? あれ意識してたの? お世辞?

セレン:僕は特にありません。

山本:全部ないじゃん。

ーー最近は、トーカーとのコラボや絡みが増えた印象を受けます。

山本:番組を面白くするためになにかをしたほうがいいと思って、外を見ることにも力を入れています。

Radiotalkの他の番組を聞くと、いい声の人やスキルの高い人が多いけど、作家的な人がいないのかなという印象があって。僕がテレビマンに憧れていたという経緯もあるので、僕が「この企画に起用して演出してみたい」と思えた人にだけ声をかけるようにしています。仲がいいから、その流れで…… というブッキングはないですね。

「楽しみにされていること」が何よりのモチベーション

ーー番組の反響について、印象に残っていることは?

小林:やっぱり、一通一通のお便りですね。僕らが好きなことを話してるだけなのですが、それでもリアクションをくれるんですよ。息子が生まれた時や成長の報告を一緒に喜んでくれた時は、シンプルにうれしかったですね。

山本:以前、「収録配信クイズ」という企画をやったんですが、例えば「第●●回の配信の●●な場面で、セレンはなんて言った?」とか、僕らでも覚えていない無茶ブリをお題にしても、10人ぐらいのリスナーさんが即座に応えてくれたのを見たとき、「あ、何度も聞いてくれてるんだな」って思えて、ぐっと来ました。

セレン:3人のグループメールで、届いたお便りがスクショで送られてくるんですけど、僕宛のお便りの画像は、専用のフォルダに全部入れています。たまに開いて、「ありがとう」と言ってます。

小林:セレン君にだけは、「かっこよすぎ」「ほれた」とか温度の高いお便りがくるんですよ。一番自由にやっているセレンに人気が集中しているのも、印象的です。

ーー3人にとって、リスナーはどんな存在ですか?

山本:「楽しみにされていること」が何より続けられる理由ですので、ありがたい存在でしかないですね。

小林:山本の意見に賛成です。ライブ配信の時はとくに、面白いコメントから盛り上がれるので、配信者とリスナーで一緒に作っていける喜びを感じられます。新しい「おもしろ」を入れてくれる、頼もしい存在です。

セレン:ライブ配信はとくに、面白いコメントから盛り上がれるので、配信者とリスナーで一緒に作って……。あ、すみません! 小林君と完全に同じです。

自分たちの考える「本気の笑い」を届けていきたい

ーーRadiotalk公式番組となっている『山本山本のラジオ』ですが、どんなところに「公式番組ならではの強み」があると思いますか?

山本:「笑いに特化している」ところですかね。確かに、トーカーさんの中には本物の芸人さんもいるのですが、Radiotalkでは、いい意味でゆるいオフトークを配信している印象があります。ただそれは、舞台とかテレビとか、本気を出す場所があるから成立するのであって、僕ら3人にとっての「オン」の場はRadiotalkなので、そこは強みだと思います。

小林:僕らには「イケボ」などの人気者要素がないので、「笑い」一本でどこまで行けるのかを求めないといけないし、求められていると思っています。山本もセレン君も「小林が言うんかい」と思ってそうですけど。

セレン:大丈夫、どこにいるのか、どう思われているかまったくわかってないので。

山本:まぁ、セレンには周りを見ず、自分のフィールドで本領を発揮し続けてほしいです。

ーーこれから実現してみたいことはありますか?

山本:自分たちの番組については、報酬を意識することなく、好きにしゃべり続けていけたら最高です。ただ、そのうえで企画そのものの考案や提供といったお仕事の需要が高めていけたらなとも思っています。そのための実験も、引き続き並行していきたいなと。

小林:僕自身の展望はありません。山本についていこうと思っています。

セレン:僕は報酬はいらないので、3人で楽しくやれたらなによりです。

ーー3人にとって、Radiotalkとはどんな場所ですか?

山本:僕が早々にあきらめた芸人やテレビマンの夢が、疑似的に体験ができている大切なコンテンツです。なので「夢のある場所」ですね。

小林:戦場…… あえて読み方を変えれば「いくさば」ですね。

山本:うざいな。

セレン:パン屋ですね。パンは、好きな人もいれば嫌いな人もいる。好きな人だけが、好きなものを買ってかじればいいと思っています

小林:……。

山本:ありがとうございました。

1タップで誰でも今すぐ音声配信!Radiotalk(ラジオトーク)
アプリはここからダウンロード(iOS版/Android版)