見出し画像

リスナーの存在を感じ続けるために。【えんちょうせんせ さんインタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『えんちょう部屋』を配信するえんちょうせんせ さんにフォーカスします。

えんちょうせんせ さんは東京に生まれ、中学以降は札幌で育ち、現在は仙台を拠点とする現役保育士です。45歳となった現在、認定こども園の園長という重責も担っています。2021年6月に収録トークとライブ配信を立て続けに開始し、イケボと人間味あふれるトーク、弾き語りなどの企画も続々とハマり、今やトークの日で1位に輝くほどの人気トーカーとなりました。

もともとは「聴き専」だった彼が自らトーカーデビューしたきっかけ、人気番組を抱える今、そしてこれから描く未来について、色々と聞いてみました。

(取材/文 鼻毛の森

メディア関係者から30代半ばで保育の道へ

――現在40代ですが、保育士としてのキャリアも長いのですか?

えんちょ:いえ、前職は全く違う仕事をしていまして。保育士になったのは、北海道に住んでいた11年前のことです。もともと大学卒業後は雑誌の編集ライターとして働いていて、その後、広告代理店の営業職を担っていました。そこから突如、取引先の子ども園の園長からスカウトを受ける流れとなりまして。

――全くの異業種!たしかに唐突なお誘いでしたね。

えんちょ:施設の内装工事関連のお仕事でしたので打ち合わせも多く、頻繁に通っているうちに子どもたちがなついてくれて。コミュ力はある方なので保護者ウケもよく、そのあたりが評価されたのかなと。

――園長まで任せられるとは……天職だったんですね!

えんちょ:いや、最初はきつかったですよ。園長になれたのは、子どもウケというより、前職の経験値もあって保護者ウケがよかったことが理由だと思います。ちなみに、仙台に来たのはまた異なる子ども園からの引き抜きがきっかけです。当時は離婚もしておりまして、心機一転という思いでの移籍でした。

トーカーになったきっかけは“推し”の無茶ブリ

――Radiotalkに出会ったきっかけを教えてください。

えんちょ:本当に偶然なんですよ。コロナ生活に突入して、あまり知らない土地な上に人にも会えなくなって、音や声が恋しくなったんです。学生時代に親しんだ地上波のラジオにも耳を傾けたんですが、芸能人という遠い人ではなく、近しい存在の、一般人の声が聴きたいなーとなって、ネットでザッピングして、辿り着いたのがRadiotalkでした。

――当初は聴くことが目的だったんですね。

えんちょ:アプリをダウンロードしたのが2020年7月で、1年弱は聴き専で過ごしましたね。しゃべり始めるきっかけは、2021年の5月にたまたま参加していた推しトーカー、きいさんのライブ配信でした。彼女がかなりの自由人で、配信中に席を空けるんですよ(笑)。それで僕が中継ぎしたところ、リスナーさんウケがよくて、背中を押された感じです。

人が来ない、初期のライブ配信は暗黒期

――トーカーデビューしたときの心境は?

えんちょ:ライブ配信だけをやりたかったのですが、まずはお試し感覚で収録トークでの自己紹介を行いました。実は当日、朝まで飲み明かしてその勢いで収録してるんですよ。ぐったりしているのと慣れていないのとのダブルパンチで、とんでもなく低いテンションになっています(笑)。消去できるのを知ったのが数か月後でしたし、戒めとして残していますね。

――初のライブ配信はいかがでしたか?

えんちょ:これが……最初は誰も聴きに来なくて(笑)。黙って待ってました。それじゃだめだって他のトーカーさんには言われたんですけど、聴かれてない状態ではテンション上がらなくて。最初の1週間は、来てくれたとしてもアイコンで女子と勘違いされ、勝手にがっかりされて即離脱という、暗黒時代でした。番組アイコンの注釈はその予防線ですね。

画像1
▲当初のアイコン。失敗を踏まえて、「男性です」という注釈をつけて対策
▲今は見た目も覚えてもらえるようなアイコンにさらに改善!

――暗黒の時期から、どのように立て直したのですか?

えんちょ:毎日30分のライブ配信を8~10回、根気強く続けました。帰宅してから就寝までずっとですね。休日は半日近くしゃべっていたこともあります。その結果、スタートから3週間ぐらいで10人ほどが立ち止まってくれるようになったので、以降4か月間ほどはモチベーションを保てましたね。増えていくリスナーさん一人一人にがむしゃらに向き合ってきて、今があります。

――立ち止まってもらえた魅力は、どこにあると思いますか?

えんちょ:僕の声質やテンポ感がちょうど夜の時間にハマったみたいで。実際、「よく眠れる」という理由で最後まで聴いてくれる人が増えていきました。最初は「寝るんかい!」とも思いましたが、逆に「1日の最後に選ばれる番組はすごいんだ」って考えられるようになりましたね。

――たしかに、語りかけられているような安堵感を覚えます。

えんちょ:他のトーカーさんの番組のように、しっかり作り込んで盛り上がれるのも魅力的なのですけど、僕は脚本制作や構成はできないですし。だからタイトルに「ラジオ」とつけずに「部屋」としたんです。ゆっくり座ってくつろいで、まったりしていってね……みたいなノリです。

とにかくしゃべる!Radiotalkに捧げた自分時間

――収録や配信は自宅で行っていると聞きました。

えんちょ:すこぶる素朴な環境ですよ(笑)。仙台に転居して心機一転、はじめての一人暮らしレベルの環境から始めようと思ったので、今のアパートは学生時代と同じロフト付きの1DKです。この部屋には出窓があるんですが、でっぱり部分にスタンドを立てて、iPhoneのマイクをそのまま向けて。僕は喫煙者なので窓を開け、時に空を見上げながらしゃべっています。

画像2

――時間帯にこだわりはありますか?

えんちょ:平日は仕事から帰宅して、21時までに終わらせることを目標に取り組んでいますが、始まる時間はランダムです。やれるときに必要な時間を確保して、とにかく毎日ライブ配信を成し遂げようといったスタンスですね。収録トークは休日に7本分まとめ録りして、予約での毎日配信を欠かさないようにしています。

――脚本も構成もないとのことですが、大枠のテーマは決めていますよね?

えんちょ:だいたい決めますが、決めるにしても直前ですね。余裕がある日は他のトーカーさんの番組からインスピレーションを得たりもします。話し始めれば勝手に転がりますし、僕はプライベートでは聞き役に回ることが多いので、しゃべりたいことが溜まってるのかも(笑)。12分に収まりそうな内容だなとなったネタについては、収録トークに回したりもしていますね。

反響の中で番組カラーもより色濃く

――自身で神回と言える、ライブ配信のアーカイブは残っていますか?

えんちょ:2021年7月9日配信の「僕と、5人の父親との物語。」が、特に反響をいただけましたね。僕は母子家庭で育った一人っ子で、毎日日替わりで別の家に預けられていたんですね。5つの家族を疑似体験できていて「自分の中に5本の柱があるから、強く生きてこれた」という話だったのですが、特に子育て中のお母さんリスナーに刺さったようです。

――ライブ配信では「トークの日」1位に。

えんちょ:2021年12月19日の36時間ライブですね。この年に出会ったすべての人に感謝を伝えたい、とライブ配信を個人的に企画していたところ、リスナーさんから「トークの日」でやろうよと言われまして。94人とコラボして、36時間ほぼ休まずしゃべり続けて、トップになれました。

――36時間? 94人? スタミナがすごいですね。

えんちょ:ただ、実は36時間に収まらなくて、トークは企画終了後もしばらく続けたのですけど(笑)。ちなみにその特典で生まれた「ありがとうギフト」のアイコンは、最初に話したきいさんが提供してくれたものです。

画像3

――収録トークで、特に手ごたえを感じた回を教えてください。

えんちょ:やはり弾き語りの回ですね。始まりはMIYA&YAMIさんの「神様の宝石でできた島」で、トークより反響がありました(笑)。で、コンスタントに続けてきたのですが、決め手は2022年5月に公開した斉藤和義さんの「おつかれさまの国」を歌った回です。このリアクションがすさまじくて。

――もともと音楽はやっていたのですか?

えんちょ:学生時代に「ゆず」ブームに乗っかる形で路上ライブなどをやってましたが、かじった程度ですね。それからは無縁だったのですが、コロナで最寄りのカラオケ屋が閉まってしまい、ストレス解消できないなと思っていたときに、他のトーカーさんの影響を受けて、ギターを再び買いました。

――路上時代から20年以上……オールドルーキーですね(笑)

えんちょ:もちろんブランクはあり、ライブ配信はさすがに無理なので、何十回も録り直しての収録トークを配信していたんですけど、斉藤さんの曲はライブ配信で歌っていってもいいなと思えて。で、ラジオ番組的な構成が自然とできるようになりました。拙い演奏だからこそ勇気をもらえる人がいるようで、影響を受けたリスナーさんが出てきたと知ったときは嬉しかったですね。

リスナーファーストで、これからも

――Radiotalkと出会ってから、自信の変化や成長はありましたか?

えんちょ:リスナー目線で見ると、一般人のトーカーさんだからこそのドラマがあったり、コアな知識を得られたりする環境なので、有料コンテンツ以上の学びを得られますよね。トーカーとしては、伝えるスキルが上がったのではないかと。1回目を聴けばよくわかりますから(笑)

――大量の配信を続けられるモチベーションはなんでしょう。

えんちょ:楽しみにしてくれるリスナーさんがいることに尽きますね。誰も来ない時期を知っていますから、今、ライブ配信で50人以上がしっかり聴いてくれて、フォロワーも3000人を超えて、こんな幸せなことはないと思います。今、やりたいことは全部やれているので、あえて望むなら公式トーカーへの昇格を目指したいなと。

――トーカーデビューから1年。リスナーさんは、どんな存在ですか?

えんちょ:一人一人が大切な存在です。リスナーさんがいないと配信する意味がないですし、たまたま来てくれた1人目にも、フォロワー3500人目の人にも、同じ大切さを感じていたいですね。ちなみに、アイコンのイラストは、リスナーさんからの誕生日プレゼントなんですよ。声だけで僕をイメージしたらああなったようです。

――最後に、Radiotalkはどんな場所ですか?

えんちょ:「子どもの頃できなかった、本気でのめりこめる、壮大な遊び」ですね。小さい頃、砂場で船を作りたかったけど下手くそで作れなかったので、今、自分の声や音で架空の船を作り、リスナーさんを乗せ、楽しい遊覧を続けていけたらなと思っています。

1タップで誰でも今すぐ音声配信!Radiotalk(ラジオトーク)
アプリはここからダウンロード(iOS版/Android版)