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モチベーションに頼らず、自然体&安定の配信を 【志賀十五さんインタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『志賀十五の壺【10分言語学】』を配信する志賀十五さんにフォーカスします。

志賀十五さんは平成初期の生まれ。岡山県出身で、大学進学以降は関東住まいのタイガースファンです。大学時代に没頭した言語学をベースに、ロジカルなトークを展開する人気トーカーとして、現在は週二回の収録配信と毎朝7時から30分間のライブ配信を欠かさず継続しています。

トークの安定感もさることながら、ここに最近の配信回はジングルを挟んだ展開力も魅力となり、より本格ラジオ仕様に。アイコン(キャラ)から自作するというオリジナルコンテンツへのこだわり、そしてこの先に見据える自身の展開について、可能な範囲で迫ってみました。

(取材/文:鼻毛の森

きっかけは「Radio」という馴染みワード

――音声配信をはじめたきっかけを教えていただけますか?

志賀:実は……あまりよく覚えていないんですよ(笑)。自粛生活に突入する、しないの時期ではあったので、その影響が後押しした部分はあるのかもしれません。特に「ネット配信をしよう!」とも思ってなく、アプリ広告の「Radio」というワードにフックして、まずはアプリのダウンロードだけを先にして、あとは自然な流れでした。

――第1回から4回までは立て続けに「朗読」でした。初期はその路線を目指していたんですか?

志賀:いや、朗読なら失敗しないし、外れがないからということで。最初が自己紹介だと、自分の性格上、後々恥ずかしくなって消してしまうだろうなと思ったんです。記録としてナンバリングはしていこうと決めていたので、リセットだけはしたくありませんでした。なので、トークのクオリティと番組の方向性が固まったあたりからはほぼやってませんね。

――様々な発信方法がある中でなぜRadiotalkを?

志賀:やはり「Radio」ってワードに導かれたんだと思います。というのも、僕はもともと、関西のラジオ局をよく聞くラジオ好きの人種でして。きっかけは、岡山の実家の「食事中はテレビを消してラジオを流す」習慣だったんですが、受験シーズンに入ると、ABCラジオで夜10時に放送していた『ABCミュージックパラダイス』をBGMにしていましたね。

――はじめての収録、どんな心境でしたか?

志賀:朗読でしたから特に抵抗感はなかったですね。Twitterアカウントは持ってましたがシェアはせず、無告知で始めて、軌道に乗るまで触れませんでしたし。他のトーカーさんの番組を聞いていたわけではないので、「こうしないといけない」ということを意識することもなく、ずっと自然体で収録に臨むことができました。


50回近くで自信が生まれ、100回近くで確信に変わった

――反響を実感したタイミングは?

志賀:「#14」ではじめて言語学を話題にしたのですが、そこで初めてリスナーさんからのリアクションがついたんですよ。そのあとも、やはり言語学がテーマの回はウケが良いことが分かってきて、50本目あたりで番組の方向性が固まりました。ですので、もし初期の段階で野球の話の方がウケていたら、野球番組になっていたかもしれません(笑)。


――ご自身の中で、大きなターニングポイントは?

志賀:『#98 外国人はなぜ「コニチワ!」と言いがちなのか?(音韻論)』の配信回ですね。この話がはじめてTwitterでシェアされたんです。「他の人に教えたい」と思ってもらえたのがうれしくて、より言語学的な解釈を突き詰めようって思いが強まりました。

――これまでの配信で、特に感触がよかった配信回はありますか?

志賀:『#322 『まぶた』からはじめる言語学』ですかね。いつもより「言語学初心者に向けて」をより強く意識して、台本もしっかり作って臨んだのですが、その努力が最善の形で実った感触がありました。実際、再生も一番回った回ですし。

――話を聞く限り、「10分言語学」というサブタイトルは最初から、というわけではなさそうですね。

志賀:言語学に特化した番組、という自信を持てたのはここ1年なので、1年前ぐらいに、もともとの『志賀十五の壺』のメインタイトルに付け加えました。

――今は週2回の定期配信ということで。

志賀:実は、2021年12月の400回を機に、週3回から減らしたんですよ。はじめて聞いてくれた人が過去回を遡るにはそろそろ多すぎるんじゃないかということで。録り溜めに苦労はなく、常にネタは作れるのでまた増やすかもしれません。

――録り直しをすることはあるんですか?

志賀:ありますね。切り口や展開が納得いかなくて、ネタそのものを没にすることはないんですが、「もっとこうできるんじゃないか」とか、仕上げにはこだわっている方だと思います。

必要に応じて機材を投入した結果、理想の構成づくりも可能に

――収録環境を教えてください

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志賀:最初はiPhoneオンリーでしたが、1年ぐらい経ってからマイクを直刺しするようになって、BGMやジングルが不可欠になったここ半年は、ミキサーを経由してコンデンサーマイクを使っています。この機材については『#384 【機材紹介】MAONOCASTER Lite AU-AM200 レビュー』でも話していますね。

――トークに入念な仕込みが必要なイメージがあります。

志賀:ネタの収集については、話せそうなことを思いつくごとにスマホにメモする習慣づけをしています。台本は書いたり書かなかったりです。と言うのも、あってもなくても完成した収録物の質が変わらないんですよ。参考になりそうな文献はしっかりチェックしてますし、傍目には手間がかかってるのかもしれませんが、本人的には苦労や努力をしている感覚はないです。

――子供の頃から、読書など、言語に触れるのが好きだったんですか?

志賀:それが・・・・・・どちらかといえば外で遊ぶ子で、中学高校も運動部で、アクティブな方でしたね(笑)。ただ、大学で言語学を専攻する下地になったのは中学校の国語の授業だと思います。「動詞がすべて段で終わる」という事実に衝撃を受けて、理路整然とした規則があるのに自分は知らない、でも日常会話で使っているという、日本語の奥深さにハマりました。

――言葉選びの妙は、タイトルにも活きていますよね。

志賀:「タイトルはキャッチーなものにしよう」という軸はあるので、一番苦労しているところかもしれません。「釣り」にはならないようにというさじ加減もあって、ポップなノリとの狭間で試行錯誤していますね。

――番組の構成、展開も本格的なラジオに仕上がっている印象です。

志賀:今、自分の中で理想のリズムがあって、2回ジングルを入れて全体を3分ずつ、3分割する構成にしています。リスナーさんの中でも自然と区切りができて、聴きやすいように。僕自身も「ここでまとめる」っていう展開を作れるので、番組が安定するメリットがあります。12分は短いですが、言語学に馴染みがない人にとっては、ぶっ通しだとしんどいだろうなと。

軸をぶらさず、新しい取り組みも着々と

――アーカイブは残さない形で、ライブもやっていますよね。

志賀:ここ1年、毎朝7時から30分間、一日も休むことなく続けています。僕にとっても、リスナーさんにとっても聞き流せるぐらいになるように、Wikipediaの朗読などを緩い感じで続けていますので、わざわざアーカイブには残していません。朝活みたいなもので、お互いの生活のリズムになれたらなと。休まないのは、例外を作ると甘えてしまう自分への戒めです。

――収録では、ゲストを迎えたコラボ回も!

志賀:1年以上前に2人だけ、ですね。イベントで出会った三拍子高倉さんとむいむいさんに出てもらったのですが、基本はゲストを迎えることはしない番組なので、レアな機会でした。他のトーカーさんのライブ配信でのゲスト出演はありますけど、音声だけでの会話コラボを自分の番組の中で成立させることにハードルの高さを感じ、あれ以降はまだやっていません。

――潔いですね(笑)番組を配信するうえで、決めていることは?

志賀:「面白いと思えるものしか配信しない」ことですね。タイトルが「志賀十五の壺」なので、僕のツボにはまらないと意味がないですし、そこだけはぶれてはいけないと思うので、リアクションをもらうために聴き手に媚びた配信ってことだけはしないように、意識しています。

――クオリティを保って番組を続けていくコツは?

志賀:やる気を出さないことです(笑)。モチベーションに頼ると、常に上がった状態を意識しないといけないじゃないですか。モチベーションの有無を問わず、安定したクオリティを出せる自然体でいたいなと。ごはんのとき、「箸を使う気分じゃないし手で食べよう」とはならないわけで。配信が生活の一部になるよう、朝のライブを休まず続けている部分はあります。

好きな分野でちやほやしてもらえることが、素の日々の励みに

――Radiotalkを始める前と今、自分の中での変化は感じますか?

志賀:実感とまではいかないですが、願望としては「おしゃべりがうまくなっていたらいいな」とは思っています。外に出る機会が乏しい生活が長くなる中で、言葉を口にする機会があること自体、僕自身のプラスになっていると思っています。

――今後、Radiotalkで挑戦してみたいことはありますか?

志賀:以前は「公式番組を目指す」と言っていたんですけど、今はいい意味でそのモチベーションがなく、「公式番組でなくてもいろんな人に聞かれる番組」でありたいと思っています。思い付きで単発企画もやりますし、とにかく「楽しい」を軸に続けていけたらなと。

――志賀さんにとってリスナーはどんな存在?

志賀:つきなみですが……やはり心の支えです。励みになる存在というか、今、他のツールでの配信もやっているものの、やはりRadiotalkのリスナーさんが抜群に温かいんですよね。反応もダイレクトだし。ただその上で、「反応がない方が普通だ」と思うようにしています。甘えすぎてもいけない、という思いで。

――Radiotalkはどんな場所?

志賀:シンプルに「お友達を増やす場所」です。リスナーさんやトーカーさんとコミュニケーションが取れるツールだからこそ、リアルな交流も増えましたし、波長の合う人と人がしっかり出会える場所だと思います。別に日常に不満はないのですが、志賀十五としてちやほやしてもらえるこの場所も、居心地が良いんです。今後も皆さんと「ツボ」をシェアできたら嬉しいです。

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