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SES企業で使われる「清算幅」について①

今回はSES業界で一般的に使用される「清算幅」について説明します。

IT系の求人では、「清算幅140時間〜180時間/月額単価100万円」という表記をよく見かけます。これは、1ヶ月に140時間働いた場合でも、180時間働いた場合でも、どちらの場合でも一律に100万円を報酬として支払うことを意味します。この場合、140時間を「下限」、180時間を「上限」と呼びます。一般的な清算幅は「140時間〜180時間」ですが、「140時間〜200時間」「150時間〜190時間」など、他の範囲も存在します。

では、実際の稼働時間が清算幅に収まらなかった場合はどうなるでしょうか。その際は「清算」が行われます。清算幅の上限を超えた場合を「超過清算」、下限を下回った場合を「控除清算」と呼びます。

上限割

清算は一般的に「上下割」で計算されます。これは、上限時間と下限時間を用いて月額単価を割る方法です。たとえば、「140時間〜180時間/月額単価100万円」という契約の場合、180時間を100万円で割ります。

100万円 ÷ 180時間 = 5,555円

1時間当たりの超過・控除単価は5,555円です。

例として、稼働時間が清算幅の上限180時間を20時間超える200時間だった場合を考えます。この場合、超過・控除単価に20時間を掛け、基本単価に加算する金額を計算します。

5,555円 × 20時間(超過時間) = 11万1,111円(精算額)

この額に月額単価を加算し、実際の支払額を求めます。

11万1,111円(精算額)+ 100万円(月額単価)= 111万1,111円(支払額)

したがって、「140時間〜180時間/月額単価100万円」(上下割)の契約で、実際の稼働時間が200時間だった場合の支払額は111万1,111円となります。

中割

また、中割計算もあります。これは、上限時間と下限時間の中間時間を用いて計算します。

「140時間〜180時間/月額単価100万円」という契約を例に取ると、中間の時間は以下のように計算されます。

下限140時間+上限180時間 ÷ 2 = 160時間(中間時間)

月額単価を中間時間で割り、中割単価を求めます。

100万円 ÷ 160時間 = 6,250円

1時間当たりの中間単価は6,250円です。

稼働時間が清算幅の上限180時間を20時間超える200時間だった場合を考えます。このケースでは、中間単価に20時間を乗じ、基本単価に加算する金額を計算します。

6,250円 × 20時間(超過時間) = 12万5,000円(精算額)

この額に月額単価を加算し、実際の支払額を求めます。

12万5,000円(精算額)+ 100万円(月額単価) = 112万5,000円(支払額)

したがって、「140時間〜180時間/月額単価100万円」(中割)の契約において、実際の稼働時間が200時間だった場合の支払額は112万5,000円となります。

この他に、日割の計算方法や固定で報酬を支払う方法については、次回の記事でご説明いたします。


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