SES業界の給与システムを解剖！エンジニアのための還元率ガイド
近ごろ、エンジニアへの高還元を謳いながらも、実質的には全く高還元ではなく、エンジニアにミスリードを誘うような表現を使うSES企業が現れてきており、深く懸念しています。今回は、「還元率」についてお話をしようとおもいます。
SES企業は、クライアントから受け取った金額の一部を社員の給料として支払います。
このクライアントからの金額の中で、エンジニアに支払われる比率を「還元率」と呼びます。
例を挙げると、SES企業がエンジニアを100万円でクライアントに派遣し、そのエンジニアに70万円の給料を支払う場合、還元率は70%となります。
ただし、還元率の計算に際して、一部のSES企業は社会保険料の会社負担分を含めて計算している会社があります。
仮に社会保険料の会社の負担が10万円だった場合、還元率70%と宣伝していても、実際の給料の支払い率は60%になります。
SES業界は競争が激しく、多くの企業は高い還元率をアピールポイントとして掲げ、優れたエンジニアを惹きつけることを目指しています。
このような背景から、還元率を高く見せることで、求職者の関心を引き、優秀な人材を獲得しようという動きが見られます。
SES企業を評価・比較する際は、このような計算方法の違いを理解し、どのような経費が還元率に含まれているのかを正確に把握することが大切です。
追記：還元率と関連してよく使われる言葉に「マージン率」があります。派遣会社のマージン率は国によって定義されています。厚生労働省によって定義されたマージン率の表記内訳は以下の通りです。
・派遣会社が負担する社会保険料
・派遣会社での教育訓練費・福利厚生費
・派遣会社の社員の人件費
・営業利益
この内訳を考慮すると、マージン率は単に会社の儲け（利益率）を示すものではありません。
また、派遣料金からマージン率を差し引いたものが一般的に認識されている還元率、すなわち給料に関わる部分だということがわかります。
まとめると、
・SES企業が使う還元率は給料の支払い率ではない
・社会保険などの会社経費も含まれている
・還元率を派遣会社のマージン率と比較してはならない
・料金に対する給料支払い率を把握しておくべき
個人的には、SES企業も派遣会社にならって国が定めたマージン率の公開を義務化すべきだとおもいます。求職者がSES企業を選ぶ際に、明確な基準が定まっていなければ、良し悪しを評価できませんから。
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