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リツアンが還元率を下げる場合

私は毎日4名ほどのエンジニア社員と個別ミーティングを行い、会社の課題や改善案について話し合っています。最近「リツアンでも還元率を下げることがあるのですか?」という質問を受けることが増えました。ここ数日で複数の方から同じ質問を受けたため、会社としての見解を示すべきだと判断しました。

結論から申し上げますと、リツアンは還元率を下げることはありません。還元率はエンジニア社員との約束であり、それを下げることはその約束を信じて入社してくれたエンジニア社員を裏切ることになります。リツアンはエンジニア社員の信頼を裏切るようなことはいたしません。

ただし、唯一の例外として「非常事態」が考えられます。例えば、リーマンショックのような急激な経済危機が発生した場合、通常のサービス提供が困難になることがあります。そのような場合、様々な対策を講じても効果が足りないと判断されたとき、一時的に還元率を下げることが考えられます。

具体的には、還元率を下げて確保した利益を、契約が終了した待機社員の経費に充てます。リツアンのIT分野での「給与還元率」は平均73.7%であり、IT派遣平均の61.4%と比較して12.3ポイント高い割合です。非常事態のために仮に還元率を10%引き下げる場合、次のような利益を確保できます。

・1000人の社員がいる場合、年間で約8億6千万円の利益(来期には到達できる社員数)
・2000人の社員がいる場合、年間で約17億2千万円の利益(遅くても10年以内に到達が見込まれる社員数)

この利益は待機社員の経費に使用されます。また、待機費用の一部は国の雇用調整助成金で賄うことができるため、稼働率が75%〜80%であっても雇用を維持することが可能です。

繰り返し強調しますが、還元率を下げることはエンジニア社員との約束を破る行為であり、社員だけでなくその配偶者や子供の生活にも影響を与える重大な決定です。これは様々な対策を講じてもなお効果が不十分である「非常事態」に限られる最終手段であり、悪手です。

ですから、日常から急激な経済危機に直面しても還元率を下げずに済むよう、会社は急成長を望まず、無計画な人材採用を避け、不況に強い体質を築くことが重要です。

ちなみに、リツアンは創業17年の中で、リーマンショック、東日本大震災、コロナウイルスという3大経済危機を経験しましたが、規模が縮小するどころか、売上を拡大することができました。その理由については、先日のブログでご紹介しました。お時間がある方はご覧ください。

また、リツアンが「非常事態」で仮に還元率を10%下げたとしても、給与還元率は63.7%となり、これは依然としてIT派遣の平均よりも高い水準です。だからこそ、SES企業や技術派遣における還元率の高さは非常に重要です。話題の「還元率を下げるSES企業」の問題を簡単に受け入れず、その重要性に気づくことが大切です。

自社の失策を、起きるかどうか分からない100年に1度の経済危機を持ち出して正当化しようとする経営者がいますが、その詭弁にいち早く気づき、ご自身やご家族の安全と幸せを優先する行動をとってくれる方が一人でも増えることを願っています。


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