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【書籍紹介】サブスクリプション

読書レビューの掲載のつもりだったのですが、追記がメインになりました。サブスクリプション。Zuoraというサブスク専門コンサル会社の創業者の書かれた本です。

突然ですが、「サブスクリプション」て聞いてぱっと意味わかりますか?僕はなんとなく「月額課金」くらいのイメージだったのですが、先日ある提案資料で「保険はサブスクリプションだ」というコメントを見て「あれ、月額払いなら全部サブスクリプションなんだったっけ?」と疑問に思ったのがきっかけでこの本を読みました。

自分なりの答えとしては、サブスクリプション=月額課金というのは元々の単語の意味としては合っているものの、今の「所有からシェアへの移行」とか、「SaaS(Software as a Service≒買い切りのパッケージソフトではない月額課金のオンラインサービス。Office365やSalesforce等)、MaaS(Mobility as a Service)」の文脈で語られるサブスクリプションは主に「デジタル・サブスクリプションでかつ、定額サービスを通じて顧客のデータを取り続けてソフトやサービスを改善させ続ける」という商品設計の思想も含めて使われるというものでした。元々がIT分野でない業界でも、「顧客から見たサービスの部分をいかにUIの優れたアプリで最初から最後までストレスなく利用してもらい、データを吸い上げて改善を続けていくか」ということを各企業が必死に考えている訳ですね。(最近のCASIOのGショックが全てスマホとBluetoothでリンクさせているのも、利用データを取りに来ている訳ですね。月額課金ではありませんが似た話だと思います)

もっと言えば、そういう「永遠のベータ版(いつまでも完成しない)」といった思想は日本企業は苦手なので、旧来の「完璧主義や意思決定の遅さ」といった保守的な文化を「走りながら考える」方向に変えていこうと四苦八苦されている(であろう)訳でもあります。

デジタル・サブスクリプションを通じたサービス改善の話は単なるビジネストレンドとしてだけでなく、例えば「MaaSで自動車の利用ニーズに台数を最適化すれば今の1/6くらいの台数で足りる」と言われるように事業者側のリソースと顧客側のニーズの過不足のないマッチング(地球全体のムダの削減)にも繋がるので思想としても素晴らしいことだと思います。

全くの余談ですが、自分は音楽ストリーミングサービスの「Spotify」と「Google Play Music」の2つを使っているのですが、Spotifyは「ユーザー(自分)の視聴履歴に合わせたプレイリストのレコメンド」をしまくってくれることに対して、Google Play Musicは「新曲やアルバム単位の検索はすごくしやすいけれど、レコメンドは少し控えめ」という点が異なり、ここがSpotifyがサブスクリプションの代表格の1つとして言われる所以かなと思います。これまで「検索性に優れた万人向けのベストな無料サービス」を広告収入モデルで実現してきたGoogleが「そもそも検索すらしない個々の顧客へのレコメンド」といった個人最適のサービスにどう関わっていくのか(そもそもあまり踏み込まないのか)は今後よく見ていきたいなと思ったのでした。個人的にはGmailの自動応答機能の拡充とか、グーグルドキュメントでのグラフやレイアウトの提案など、多少お金を払ってでもやってもらいたいことは色々ありますね。Pixelの自動音声応答などワクワクしますし。

翻って上記のような見通しを新規事業を企画する訳でもない普段の仕事にどう生かすかですが、上記のようなビジネストレンドの流れを自分なりにイメージしつつ、現場で「今後こういうノウハウがミソになってくるんやろな」と思いながら組織をその方向に動かしていきましょうと。どうせアジャイルなら、現場から先に試行錯誤していっても変わりませんよね。誰にとっても不透明な未来を自分なりにイメージしながら、ミニマムタスク以外は自分達の肌感と頭で考えて現場で行動していくのがエキサイティングで楽しいですよと、そんなことを後輩に伝えたいのでした。(以上)

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※以下、自分のFBのレビュー転載です。

「サブスクリプション」という言葉について元々イメージがつきにくかったので読んだ本。単に月額課金というだけでなく「ITを通じて顧客体験のすべてをデータ化して、一人一人に合わせたサービスに反映し続けるビジネスモデル」だということがよくわかりました。ITだけでないあらゆる業界で今進んでいることですね。
自分のサービスがAmazonアプリくらい顧客から見えやすくなったとしたらどこのデータを基にアクションを(自動で)返すべきかとか、ヒトが強みを発揮しやすい分野(例えば「ケア」の部分)に強い組織を今から作っておこうとか、今ここできることに考えが膨らみます。基本的に仮説仮説なので正しいプランとかなくて、皆で試行錯誤していくしかないですね。(18.12.9)

※本文ハイライト引用→こちら

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