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地頭は良いけど仕事が回ってなかった若手へのアプローチ

今日は、「地頭(≒受験頭)が良いけど仕事が回ってなかった若手へのアプローチ」について。1つ前の部署に赴任した時くらいから「地頭は良いのに仕事しんどそうやなぁ」と思う若手4−5人(年次は2−7年目、男女とも)の上司や先輩として仕事を教える機会があり、結果として皆さん頼もしく成長してくれていると思うので(当然本人の努力ありきですが)、自分がどのような接し方をしてきたかを今のうちにメモしておこうと思います。前提として、地頭はともかく新人時代の自分がめっちゃ苦戦したことが彼ら彼女らへのレクチャーにそのまま役立っています。

彼ら彼女らは皆、「地頭は良いはずなのに仕事がとにかく回ってない」「少しマイペースキャラ」みたいなところが共通していたように思います。基本的に仕事は自分が理解できるまで動き出さないしキッチリ進めていかないといけないと思っているので、概ね「要領が良くない」扱いをされているのが特徴的でした。「納得の行く説明を受けられずに腑に落ちないので動きがワンテンポ遅い」みたいな感じもあり。基本的に過去の自分と同じでしたので気持ちはよく理解できました。

彼らと接する上でまず心がけてきたことは、仕事の質問を受けたり対話をする度にHow?(どうやるか)でなくWhy?(なぜこの仕事があるか)という「その作業の目的」について簡潔に説明をすることでした。

次に、「目的から逆算して許容できる、最終的な条件範囲といくつかの解決シナリオ」について見通しを示した上で、上司として彼・彼女らに示した許容範囲をなるべく早い段階で業務記録(誰もが見れる)に残します。これで、彼らが指示の意味が理解できてないのに聞き返せずフリーズするとか、こちらの様子を伺いながら何度も相談しにくるというような時間の無駄を大きく減らすことができます。

そして、一度任せた仕事が打合せ通り進んでいるか、自分のTODOに入れて3日間〜1週間起きに記録を確認し声をかけ続けること。その際に微妙な軌道修正までやっていくことをします。

上記を繰り返していくことで、予め打合せしていた複数のシナリオの中から彼ら自身で判断して仕事を進める自信がついてきますし(その判断は上司のお墨付きの範囲内なので迷いも少ないですし)、考え方の根っこのところを共有しているのでその後の再現可能性も高まり、地頭の良い彼らはコツコツと自分の経験値として積み重ねていきます。

もちろん前提として、部下から見た上司(自分)への相談のしやすさの追求(コミュニケーションコストの最小化。話は膝に手のひらを置いて聞くもしくは話のサマリーを記録しながら聞く等)はあります。上司の立場から見れば「仕事の相談・伺い」という貴重な機会をスポットで消化してしまわずに、育成の機会(なるべく一般化して再現可能性を高めたレクチャーをしていくこと)、リスク管理の機会(問題解消までウォッチし続ける対象として情報をストックすること)という「育成とリスク管理」の両面に生かし続けることで、自分にとって重要な問題に効果的に時間とロードを投下していくこともできてくると感じます。

ここまでをまとめると、「地頭が良いけど回ってない若手」の多くは膨大な短期的タスクに翻弄されていつつも彼らが納得できる仕事の目的の本質のところが知らされてない(そのため都度立ち止まってしまう、話も聞きにくくなってきている)というようなケースが多いので、自分の部下になった後は「作業のやり方ではなく目的」を伝えて「許容される精度と判断基準」について示して、その枠の中で彼ら彼女らがどう整理するかをウォッチしていくようにしているという話でした。
彼らに対して「考えが浅い」「それが組織の常識」や「相手の気持ちを考えろ」的な本人が理解できていない価値観で指導すると、あんまり上手くいかないように思います。(抽象的な指導はただのマウンティングになりかねないので要注意です。)

彼らのような若手の苦戦は転勤する度に目にする場面でもあり、その都度自分が上記のようにやってきてまぁまぁブレイクスルーできていると感じるので(それぞれに自信をつけていくプロセスが嬉しいです)、一定の普遍性はあるのかなと思います。
そして、一度「仕事を回せる」ようになってもまだ入り口の段階で、そこからいかに「理屈を振り回さず、ルーティンだけに頼らず、目の前のお客様の立場に立って考えて判断し続けられるか」はその次のハードルですね。ここもなかなか高いハードルではあります。まだ整理しきれてないですが、自立してからも対話を欠かさないことなどかもしれません。だんだん、一方的なレクチャーから対等な「対話」に変わって行く感覚はありますね。こちらの反省点に気付くこともよくあります。

自分としては部下個人へのフォーカスのしすぎには(業務配分の観点で)注意しないといけないのですが、上記の若手へのアプローチは育成だけでなくリスク管理としてもまぁまぁ有効だと思っています。自分自身に疑問を突きつけることを繰り返しながら、少しずつさらに改善しながらシェアしていければと思っています。(以上)

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