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変わり続ける顧客ニーズを「肌で」感じ続けること

2018年も終わりに近づいてきたので今年一番よく考えたことについて振り返っておきます。仕事における判断の「正しさ」って世の中の流れでどんどん変わっていくので、今目の前にいる「顧客との対話」を通じて価値観を「自らアップデートしていくこと」がかなり大事だと思いますという話。言葉にすると月並なのですが無意識のうちに「自分達は正しい」「相手を説得しなければ」と決めつけてしまう場面は多いので自戒を込めた話です。

きっかけは、今年のある時期に自分達の「全国的に見て絶対正しいはず」のサービス基準が地元の顧客から全く受け入れられず、後手後手で対応変更を余儀なくされたことでした。自分達の常識で「当たり前」「違うことはありえない」と考えていたことを徐々に見直していかざるをえなくなったことを経験して、「そもそも最初から自分達で顧客と対話をして判断しておけばこんなにコストをかけて組織内外のコンフリクトを生むこともなかったのかもしれない」「最初に自分達が正しいと確信している時点で、思考停止してたのかもしれない」と、しみじみ思ったのでした。

それ以降、日常業務においても自分達の積み重ねてきた常識や正しさではなく「第三者から見て今ここで正しいと思われる判断をしているか」を常に自問するようになりました。上記の観点についてメンバーと対話しながら自分達の判断・価値観を見直していくことは結果として「メンバー個人の消費者感覚と業務判断をすり合わせていくこと」にもなり、仕事への納得感ややりがいは徐々に増していくように感じます。少し理想論過ぎるかもしれませんが、そんなふうに「今、地元で自分達が求められているサービス」を顧客やメンバーと対話しながらアップデートさせ続けられるような「変化し続ける組織」を、これからもずっと作り続けたいと思っているのでした。(もちろん、自分達が「やってはいけないこと、絶対にできないこと」はあるので、そこの判断の幅を普段からメンバーとシェアしておくことも大事になってきます。)

冒頭のコンフリクトの渦中にいた時に、下記のハンナ・アーレントについての新書を読んで目から鱗が落ちる思いだったので繰り返し日記に書いていました。当時の自分のコメントとして過去のFB記事と日記の抜粋を以下に転載します(一部微修正あり)。

ナチスドイツのアイヒマンという極悪非道の戦犯が、個人としてはただの真面目な官僚だった(特別な危険思想もなかった)ことを通じて「組織で思考停止していれば、知らず知らずのうちに組織全体の暴走に加担していることになりうる」ことを書いた本。敵と味方をシンプルに分けて、「敵」との対話をしないまま個人が組織内のタスクに没頭するという状況は、いつの時代のどこの組織でも見られることなんでしょう。大切なことは「今の自分は偏った思考に陥ってないか」を常に自問して異なる立場の人と対話し続けることなんだろうと。仕事でも、よく話してみたら実は誰も対立してなかったということは度々あるなということも思い出したのでした。(18.7.31)
自分の中で仕事の醍醐味の1つは、自組織の中での善悪の基準を熟知した上で、それを社内外の組織外の人とシェアして彼ら彼女らとの対話を通じて、外から自分達の判断を見直す瞬間だといつも思います。組織外の方々との対話を通じて常に自分達の見られ方についてを意識して、「自分達はこうあるべき」をアップデートしていくような。
「こんな無茶な人と話しても意味ない、時間の無駄」みたいな姿勢は組織内ではカッコ良くも見えるのですが、相手との対話を拒んでいる時点できっとその価値観は淀んでいってしまうんだろうなと。時間をかけていられないこともあると思うのですが、一見対立する立場の方との対話ってやはり組織の方向付けをしていく上で肝になってくるところやなと思います。(18.7.31)
最近自分でよく思うのが、自分達のルールの中で「自分達は正しいことをしている」と思ってしまっている時は危ないということです。社会から自分達が求められる役割は常に流動的ですし、かつてのルールではなく「今ここのお客様・地域社会は自分達に何を求めているのか」をよく考えて、実際にお客様と出会って話して、自分達の判断で自分達のルールを変えていくほうが喜ばれることも多いしめちゃくちゃ面白いし、何よりその時点では「正しい」のではないかと。正しさは常に変わる(法律の解釈だって時代によって変わっていく)のだから、誰かがルールを変えるまでルールを死守するのではなく、自分で顧客の声を見て聞いて、判断していったら良いのですよね。そういうことを考えて他部署の人と議論していると目線の違いはほぼないですし、いつの間にかセクショナリズムを超えている感覚にもなります。(18.8.16)

自分たちのサービスを外から「変えさせられる」ことは時に無力感・屈辱感を生みますが、自分たちから「変わっていく」ことは高揚感や自己効力感を生んでいきますね。自分たちで「運用ルールや設計図」とだけだけでなく「一歩外に出たら会える地元のお客様」と対面して「自分達から変わっていく」ことを皆がしていけば、その対話姿勢だけでももっとめちゃくちゃ喜ばれるサービスができていくのだと実感しています。(18.11.21)

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