仕事がしんどい時・やるせない時の振り返りについて
今の仕事は社会的意義もあるし面白くて好きなので「仕事が根本的に嫌になるほどしんどい」ということはほぼないのですが、どれだけ経験を重ねて立場が変わっていってもそれぞれタフに感じる仕事はあるものですね。短期的なストレスや悔しい・やるせない思いをする状況というのは(自分にとっては)いつまでもなくならないものだと思っているので、そんな時に自己管理のために考えるようにしていることの整理です。ストレスの発生そのものをネガティブに捉えずに状況をなるべく客観視して(思い込みを削ぎ落として)過去の経験も照らしながら打開策を考えていくようなイメージです。リアルタイムではなかなか冷静に考えにくいですが、自分の思考パターン・改善パターンを蓄積させていくことで多少は自己管理をしていけるようになってくると実感しています。(前提として、「なんとなく気持ちが乗らない・しんどい」ではなくて「やりたいことが上手く進められなくてしんどい」場合のイメージです。)
1.しんどい時ほど「生の気持ち」を書き出して客観視してみる
日記をつけることは自分が社会人になって自分がやっていて一番良かったことなのですが、特に自分がしんどい時、やるせない気持ちの時には必ず生の気持ちを日記に綴って、後から見返せるようにしています。そしてその際には「自分が何をしんどいと思っているか」「自分はどうしたかったのか」等、他人への愚痴ではなく自分に矢印を向けて考えることに気をつけています。そうして文字にすることで、自分が落ち込んでいることの理由が一部思い込みだったり根拠のないことだったりすることに気づき、徐々に冷静さを取り戻して「そもそも自分で抱え込む話ではなかった」とか「次にどうアクションしようか」という前向きな思考になることができます。めっちゃ落ち込んでいる時はほとんどのケースでその後数日間で「思ったほどでもなかった」と思えたり少し改善したりするものなので、思い込みを含めた「生の気持ち」は中長期で自分を客観視するための貴重な記録になっています。
2.自分のストレスの原因が「自分がどう思われたいか」という利己的な感情でないかを考える
今の職場に転勤してきてしばらくして、自分の裁量がそれまでよりも小さくなったように感じてしまってすごくストレスフルに感じてしまったことがありました。その時にふと原始仏教の本を読んで、釈迦の3つの教えという「一切皆苦(生きてることは全部しんどい)、諸法無我(自我なんてないのだから自分にこだわるな)、諸行無常(状況は変わっていく)」、を読んで目から鱗が落ちたのを覚えています。特に2つ目の「諸法無我」は「自分に拘ってるからしんどくなる」という意味で、何か自分がしんどいと思った時に「しんどいのは自分がどう思われたいかという利己的な感情ではないのか」と振り返ることで気持ちが整理できることが多いです。
自分は基本的に無宗教ですが、原始仏教(≒禅のもと)は非科学的な迷信はほぼなくて合理的なところがビジネスパーソン向きだと感じます。数千年前から人の悩みは変わってないものなんだなと思うと自分の悩みなんて人類史の中では既に想定内の小さなもののように思えてきますね。
3.メンタルの落ち込みをフィジカルな要因(寝不足・偏食・運動不足)に結びつけて解消する
これは上記2.を知るまで第一優先だったことですが、メンタルの問題をフィジカルな要因に無理にでも結びつけると解決策が具体的になるのでアクションしやすいという話です(結構解消します)。具体的には「早く寝る、ビタミンを摂る、筋トレとジョギングをする」等です。睡眠は記憶の整理、ビタミンは代謝が良くなる(気がする)、体力充実は単純な前向き感の向上、といった感じでしょうか。ただし対症療法的なものなので、特に若手の頃はストレスの根本原因になりがちな知識やスキルそのものの向上をまずはオススメします。
4.上記で自分の感情を冷めさせた上で、なるべく関係者と1対1の対話をする
上記の振り返りをすることで自分の熱をある程度下げられたら、可能な範囲で関係者の方に時間を取って頂いて「自分はこうしたいと考えている」「どこが問題か」等のクリアにしたい部分について対話をしてみます。多くの場合、熱を冷ませた状態で1対1で向き合って対話すれば「相手が自分の考えを一度でも聞いてくれた」というそのことだけでも自分のしんどい気持ちはほぼ解消するように思いますし、その後の打開策についても自分と相手の意図が一致する妥結点が見いだせることが多いです(ほとんどの場合もともと相対する立場ではないので)。
5.最後に
上記をまとめると、仕事を進める上でのストレスが大きいと感じる時には気持ちがしんどい理由を書き出して自分を客観視して、そこから「自分がどう思われたいか」という利己的な要素をなるべく削ぎ落として、関係者との対話で相互理解を促して現実的な解決策を進めていく、というようなイメージです。
立場が上がるにつれてこのようなストレスは減ってきてはいますが、部下や後輩が同じような調整に四苦八苦している姿も目にするので自分が上位者・先輩としてこういうストレスは除いていってあげられないといけないなとも思います。やるせない顔の後輩や部下を別室に呼んで考えを聞いて、あなたの考えは間違っていないと伝えて、管理者としての自分の考えを伝えた上でこういうことに協力してもらいたいと上位者としての意思決定を伝える、というような感じかもしれません。
ストレスの要因や仕事の状況によっても当然打開策は変わってくるものですが、なるべく自己管理の観点で整理したつもりです。順次補記訂正していきます。
※書籍紹介
宗教本って抵抗があるものですが、第三者的解説の「100分de名著」シリーズならすんなり読めました。昔のようにタスクが明確な中で決まった仕事だけしていれば皆幸せになれた時代と違って、自分なり価値観や幸せを問われる現代に宗教は結構フィットするものだと思います(あまり軽率には言えませんが)。昨今話題のオンラインサロンなんていいうのも、主催者の思想に共感する人の集まりという意味では宗教との共通点はあるのかもしれませんね。(自分はもっぱら読書と内省だけの日々ですが)。