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書評 急に売れ始めるにはワケがある マルコム・グラッドウェル

最近、本業以外の勉強でお世話になっている方から、「ティッピング・ポイント」というワードを教えてもらった。恥ずかしながら、それについて知らず、慌てて調べてたどり着いたのが同書である。もともとは、「ティッピング・ポイント」のタイトルで、2000年に出された本で、これを文庫化したのが同書。kindle化されておず、メルカリ経由で購入したが、その帯を書いていたのが、カツマーだった。

文庫版は07年初版だったので、一番カツマーが脂の乗っていた時期だったのだろう。本のコピーは、「どうすればブームを作れるのか、私のバイブルです」となっている。テーマは、カツマーが言う通りの内容。ここに出てくる事例は、やや古い部分もあるので読んでいてピンと来ない部分も正直あったのだが、結論部分を読むと、莫大なコストをかけるよりも個人の小さな行動が大きな成果をもたらすという点を強調する。あとがきを書いている小阪裕司は、行動経済学の研究がノーベル経済学賞を受賞した例も挙げて、個人の行動や大衆の行動が、これからの世の中を動かすと指摘するが、同書はこの重要性を挙げている。そして、人間の行動は錯綜して不透明であり、むやみやたらに力を傾注するのではなく、限られた資源に一点集中することが大きな成果を生み出すと説く。そのなかで、情報伝達能力に優れたセールスマンやコネクター、情報を記憶に残すために不可欠な「粘り」、行動を誘発することになる背景といった3つの存在を挙げる。

インターネットの隆盛とともに、マーケティングも変容していることを指摘しており、20年余たった現状でも、極めて有効なのだなと感じた書だった。

#書評 #マーケティング #ティッピング・ポイント