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書評 ゴダール映画史

ゴダールが亡くなった。彼の作品を初めて見たのは、映画をよく見るようになった若い時で、「ゴダールの決別」だった。たぶん何かの批評で取り上げられていたので、見に行ったように記憶しているが、見に行った後の感想は「ワケがわからない」だった。当日、買ったパンフレットに漫画家の岡崎京子がコメントを書いていて、「ゴダールは孤独だ」と評していた。何となく納得したのを憶えていて、その後ゴダールの作品を見るたびに「ワケのわからなさ」と「孤独」に惹かれて、昔の作品、最新の作品と上映の情報を知るとなると、映画館に足を運んでいた。のちに読んだ蓮實重彦の映画評では「どうしてこんな作品ができあがってしまったのか」と書いていて、それもまたゴダールの映画を鑑賞するときに、しっくりくる評として何度も想起するようになった。ゴダールの「映画史」も読んだ。1978年に行われた連続講義の記録がもとになっているが、本人の作品というよりは、映画界全体についての彼なりの批評が中心だった。「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」「中国女」「女は女である」など、初期の作品を見ていくと、撮影や題材などをも含めて、当時にしては斬新なスタイルだった印象で、やはり映画界というよりも、世の中にどこか挑んでいこうというスタイルがあったように感じる。そのような、ゴダールの「ワケのわからなさ」と「孤独」に惹かれていた。配信でも見られる作品があるようなので、またこの「ワケのわからなさ」を鑑賞したい。

#書評 #ゴダール #映画 #ヌーヴェルバーグ