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書評 捨てる技術 辰巳渚

この本の初版は2000年。それから本が新装・増補版も出され、この本の延長線上に、いわゆる「断捨離」や「こんまり」の登場があるともいえる。自分が読んだのは話題になって、少し置いてからだったと記憶しているが、これを読んでから、時々整理整頓するときの基準は、自分にとっていま必要か必要でないか、という点に尽きる。例えば、本にも書いてあったが、商品のマニュアルなどは早々必要な場面は来ない。本当に必要ならカスタマーサポートに電話しても要は済むとあった。いまではネットでちょっとしたことなら手っ取り早くAI回答でわかってしまう。当時、立花隆がこの本について批判していたが、彼は田中角栄への追及もそうだったが、資料の読み込みから取材をしていくスタイルで、資料保管のためにビルを借りていたほどだったので、「捨てる」という行為に対して、半ば感情的に批判していた印象があった。とはいえ、著者のスタイルは、ただ捨てるということだけではなく、使えるものは使おうということであったことも重要である。実際に鎌倉に中古物件を持ち、そこに家具も中古のアンティークな物を使っているとその後、雑誌のインタビューで目にした。必要に応じて、取捨選択をしていこうということが著者の言わんとするところだったのではないか、というのが今も感じるところである。著者は2018年にバイク事故で急逝したが、物との付きたい方や向き合い方という点で、世の中に与えたインパクトは大きかったと感じる。個人的には、アラフィフを前にして、何を選択し何を捨てるかということの重要性を日々感じることが多くなり、随分と本、衣服、各種グッズなど、身の回りの物を整理した。この本が示した取捨選択の重要性を強く噛みしめる毎日である。

#書評 #捨てる技術 #断捨離