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喪中110周年明け礼真琴大規模コンサートへの期待
宝塚歌劇110周年は喪中である。友の会から記念ポストカードが届いたとき「喪中ハガキを受け取った」のを感じた。定型文ではなくトップスターやスタッフ1人1人が、ちゃんと喪中していると思っていいだろう。
ただ劇団上層部が本当に反省しているかというと、していないとは思う。筆頭が星組公演予定の『記憶にございません!』だ。
事件に乗じて生まれ変わる「ピンチはチャンス」な話である。
転落死事件をポジティブに捉えようとしているのだ。コメディなので会見の失態や、リークが飛び交い記者に追いかけられた事実を茶化すことにもなる。
宝塚GRAPHヘアアイロンの記事が駄目なんだから、演目丸ごとパワハラだろう。自殺報道前の文春砲連発期に決まったとしても、他を探す時間はいくらでもあった。
人が亡くなった時点で取り止めるべきなのに、未だにやる気らしい。
何より生まれ変わるべき史上最悪のダメ総理に重なるのが、宝塚そのものかというと微妙だ。悪い意味で日本中にインパクトを与えた、現理事長にどうしても重なる。
……理事長が心機一転生まれ変わる後押しを、組をあげてするのか?
『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-』でも「弁護士になるといってたのに助手兼ニートの男が王女と結婚する」、小室圭さん眞子さん夫妻と重ねるための演目であった。
世間に批判されている人間を擁護するのに、トップスター(というか礼真琴?)を重ねるのは常套手段かもしれない。
ただ皇室へのフォローは、世のため人のためといえる。若きエリートと内親王の立場に縛られてきた女性が、モラトリアム期間を持ったぐらいで日本中騒ぎすぎてもいた。問題があるとは思わない。
一方、理事長へのフォローはすべきなのか?
「日本中から白い目で見られてるけど、きっかけさえあれば上手くやれる」と理事長にエールを送るべきなのか?
そういう巨大組織特有の、気持ち悪い忖度が叩かれた原因だろう。
しかし理事長への媚びというか、接待に使われるのは「近いうちにご褒美があるから」なのも組織あるあるかと思う。
ただ大規模会場でライブをするには、もう一歩理由が欲しい。
近年ではトップオブトップは1つの役職のようなものとして、誰なのか誰になるのか論争が起こる。
しかし公式的にトップスター間の優劣はなく、通常通りの学年で年功序列に就任順の先輩感が加わる程度である。
トップ同士で序列を付けるのは、かなりセンシティブな話題なのだ。
そんな概念のようなトップオブトップという立場に、お墨付きを与えるのが大規模会場での公演だ。
リピーターありきの宝塚にとって大規模会場を埋めるのは、単にチケットを売ったのとは大きく違う。ファンの熱心さではなく、純粋な人数を求められる。
横浜アリーナで行われた『恋スルARENA』は、まさしく宝塚歌劇団の最盛期を象徴するものとなった。
伝統文化とサブカルチャーの中間のように扱われがちな宝塚が、スポンサーを強め、豪華で話題性のある舞台を作り、売上やクオリティを上げて……ともかく拡大、上昇、勢いをつけ「ついにここまできたか」という、華々しい時代のピーク。
その後コロナで強制的にバブルが弾け、転落死事件によりスポンサーの偏重も批判の的となった。
この期に及んでアリーナクラス以上の会場では、変な癒着や疑惑を招く。さすがに無いかなと思われる。
日本武道館での『REON in BUDOKAN~LEGEND~』も、定番であるプレ退団のコンサートが大規模になっただけではない。
やはり100周年という一大イベントの後夜祭な面があった。メインが潰れた110周年では、後夜祭も何もないだろう。
オリンピックのように110周年にやるはずだった行事を、111周年に繰り越しても良いとは思うが。
明確で納得しやすいのは東京ガーデンシアターで行われた、LDHとのコラボである『FLY WITH ME』だ。その後双方のコラボとなる『HiGH&LOW』の前夜祭的イベントにもなっていた。
事件によって宝塚から離れたり距離を取った話は多い。このパターンで新たに大きなコラボを行えれば、他も戻るきっかけとなりそうだ。
ただ転落死や原因となったヘアアイロン事件時の宙組と重なる、体制や状態は避けるべきだろう。
生徒個人ではなく運営責任とした以上、彷彿とさせる事象を極力無くすのは必要な配慮だ。
以上を考えると「礼真琴大規模コンサート」は宝塚歌劇団の復活のためになりそうではあるが、今までとガラリと変える工夫が欲しい。
一方で数字の上で最長トップスターでも、トップオブトップをあまり気にしたり押し出す必要はないとも思う。
95期は既に3人のトップスターを出し、まだ出ると思われる。1人の特別なスターというよりは、宝塚音楽学校の絆が起こした大きなムーブメントだ。
これこそが令和の時代に最適なスター像かもしれない。
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