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ジョージアで誤魔化すディミトリの危険性

星組公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』、生田大和先生は、ジョージア舞踏を男役にやらせたら格好いいと思って原作を探し「斜陽の国のルスダン」を見つけたらしい。

とはいっても元々宝塚OGが関わりのある作品だし、ジョージアとなるとほぼ一択だったと思う。

ジョージア舞踏の指導を担当した方が宝塚のオファーを「信じられなかった」とも答えてたので、元々の繋がりで営業に応えたわけでもない。つまり今作は「ジョージア」という国が主導で、そこに合わせて理由を探してる。

問題は目をつけた本質的な動機は、どう見てもロシアのウクライナ侵攻ということ。
ちょうど騒がれていた時は宙組が『NEVER SAY GOODBYE』を公演中というタイムリー過ぎる事態で、舞台にも熱が入り感動もひとしおだった。他の先生が言っていた「オファーがくるタイミング」とも合うため、生田先生なのか劇団なのか、2匹目3匹目の泥鰌を狙ったんだなーと納得していた。

実際、ウクライナやロシアの関係者に聞くのが難しい時期に、同じような経験のある国としてジョージアに注目が集まってた時期だった。SNSも熱心な駐日大使が、インタビューにもよく答えてたのもあると思う。https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220617/se1/00m/020/003000d

ただ「いらっしゃい」はマズい……ましてや聖地巡礼とか、宝塚の名前出すのを止めて……というのが本題である。
https://www.google.com/amp/s/www.sankei.com/article/20221229-7JPJZ54J5NN35CWBFA7KXXXN74/%3foutputType=amp

ジョージア、ウクライナ、そしてロシア。場所を考えたら、普通は行かない。もちろん世界中で完璧に安全な地なんて無いが、戦地の周辺国は別格である。行くならそれなりの覚悟を持つべきだし、周りは当然止める。

これがウクライナの話をやったなら、テーマも明確で支援の意図も表明出来る。周囲も色々な点に気を回し、配慮してたはずだ。
写真は年末行ったウクライナ国立バレエのだけれど、ロシア人作曲家による作品はやらない方針を固めている。情勢により来日が叶わず、キャストの変更もあった。
これが今の現実なのに、聖地巡礼とか言い出す関係者が出るのは、はっきり言って恐ろしい。

ちょっと逃げてジョージアにすればいいだろうと思ってるんだろうが、1番危険を招くのは危機感の無さである。
避けたつもりが、逆に最も危ない橋を渡っている。

もちろん自国の身からすると、日常を送ってるのは分かる。観光業が支えなのに、危うくなってるのも理解できる。行こうと思えば行けるのだと思う。
しかし、普通なら行かない理由が多すぎる。それでも行くという人は、決して覚悟があるわけではない。かなり不用意な行動を取るであろう。

しかも何かに巻き込まれた時「渡航のきっかけは、宝塚歌劇団の礼真琴さんです」となる可能性がかなり高い。
SNS時代なのもある。また正直、脈絡無く行くような国でもない。ニュースになれば、こじつけられるであろう。

つまり「元々それなりにマイナー+社会情勢として普通は行かない」という状況下にも来てくれそうなターゲットとして、宝塚ファンはちょうど良い……ということだと思う。ジャンルとして享楽的で、それなりにお金もありフットワークが軽い。しかも度重なる中止や個人イベントの自粛で、お金も余ってるしパーッと遊びたいという層も増えているであろう。

駐日大使が公演そのものや中止に対してまで「ジョージアを知ってもらう機会」として扱ってくる違和感もあって、ジョージアからは観光宣伝としてそれなりにバックもあったのかなぁ……と感じる。

ウクライナだと当然売上の一部を支援に回す等が必要になる反面、ジョージアなら逆に支援して貰えるとなればそりぁ……

事実はなんにせよ、渡航を勧められない現状なのに野放しでいいのか?という話でした。文春にも目をつけられがちな昨今、危ない橋を渡らないで欲しい。
今正に戦争真っ只中の場所なのだという認識が、さすがに浅すぎる。戦争そのものを軽く考えていると捉えられても仕方ない。

センシティブな部分にあえて触れて、社会派作品を目指してるなら(善し悪しは別として)分かる。
でも今回は、危うさを危うさだと認識出来ないように、ズラしてボカしている。
これでは、無防備な相手を危険な道に引きずり込む手段と変わらない。

元々宝塚以外からも注目を浴び、多くの作品が日々量産されている国や歴史テーマなら問題ない。それこそフランス革命や忠臣蔵は、大胆な改変作品も記憶に新しい。それは元の歴史や作品が「知っていて当然」といえる程に、定着しているから可能なのである。

一方今回は、特に扱いにくい責任を負わされている。その自覚を持つことが、何よりの危機回避であると思う。

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