はじめに

本論文の目的は、女性アイドルグループの楽曲を対象にそれらが何を表現しているかを歌詞と映像の分析から考えることである。


私は小学生の頃から「アイドル」という存在に興味を持ち、現在もいくつかのグループを応援している。本論文ではその中の1グループである「欅坂46」を対象に研究を行う。多くの女性アイドルが音楽番組に出演する際、笑顔で可愛らしい曲を歌い踊ることが多い中、欅坂46はデビュー以来「笑わないアイドル」と称され、中高生や我々大学生といった若者に向けて何か訴える楽曲が多い。楽曲では笑わない彼女たちが素顔を見せる深夜に放送されている冠番組を見たとき、そのギャップに胸を打たれ、気づいた時には彼女たちの楽曲を聞き応援するようになっていた。


 「絶対的センター」と言われ、デビュー以来全ての楽曲で中心的役割を務める1期生(当該グループ最初期メンバー)最年少の平手友梨奈が表現する「僕」が一体どんな人物であるのか。欅坂46が「僕」を通して我々聞き手に伝えたいメッセージとは何か。他の女性アイドルグループとの違いとは何か。欅坂46のデビューから2019年4月までにリリースしたシングル表題曲8曲を研究対象とし、歌詞を書き写し、キーワードを取り上げつつ何を意味しているのか。映像と共に楽曲が流れてきた際にどのような効果があるかを考える。