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【掌編小説】 わかこ

今日は10年目の
結婚記念日だ

でも
きっと
忘れてるんだろうな

昨年の
誕生日も
忘れられてたし

子供はいないが
割と仲良く
やってる方だと
思うけど

時間の経過とともに
互いに
気遣いが
減ってきたかも

別に
スイートテンダイヤモンド
が欲しいなんて
思わないけど

10年の節目
なのだから
一緒に食事くらい
したかったな

きっと
今日も
仕事で遅くなるのだろう

若い頃は
いちいち
帰りの予定の確認を
していたものだが

最近では
聞くこともなくなった

夜は適当に
用意しておくが
食べなければ
翌日に食べるだけ

連絡が
ないことに
いちいち
イライラするより
ずっと
気が楽だ

そうは
思っているが

今日は
いつもより
ちょっと
豪華に

彼の
好きなものが
中心だ

共働きだから
凝ったものは
滅多につくらないが

わたしなりに
心をこめた
料理なのだ

なんか
今日は
好きなものが
多いな

くらいの
感覚だろうな

想像が
想定内すぎて
笑える

いつもは
先に
食べてしまうけど

今日は
もう少し
待ってみようかな

って
思ってたら

突然
帰ってきたから
ドキリ
とした

しかも

手には
花束を
抱えてる

明日は
雪でも
降るのだろうか

と呆然と
してる
わたしに

『結婚記念日
おめでとう
いつもありがとう
これからもよろしく』

と旦那様

想定外すぎて
言葉も
でない

『おっ
今日は
俺の大好物ばかりだな』
と満足気

後日
聞いたら

誕生日忘れてたから
これは
マズイって思って
結婚記念日は
スケジュール管理に
組み込んでたみたい

久しぶりに

ちょっと
惚れなおしたよ

あと
10年は
大丈夫⁈

かな
なんてね





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