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【掌編小説】 ほのか

嫌な事があると
無性に掃除がしたくなる

ただひたすらに
無心になって
汚れと向き合う

綺麗になる
イコール
こころのモヤモヤがなくなっていく
ような気がするのだ


ピカピカになった
窓ガラスを
眺めながら

心が
平穏に
なっていくのを
感じる


生きていれば
いろいろ
ある

一つ一つは
どうってことない
些細なこと

つもり
積もって

かたまりに
なる前に

粉々にして
吹き飛ばして
しまおう

旦那や子供たちの
あって当たり前の
わたしの存在も

時々
全てを
捨てて
どこかへ
行ってしまいたい

衝動を

コントロールしながら

成り立っていることを

誰も
気づかない


いつか
本当に
そんな日が
訪れるかも
しれないことを

一番
恐れているのは

この
わたし自身なのだ

さぁ
次は
どこを
綺麗にしようかしら

日常と

未知なる世界への
欲求

の間を

絶妙な
バランスを

保って
いられるように

わたしは
今日も

掃除に
勤しむのだ




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