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母になるにあたり、過保護のカホコ見た。

少し前に流行っていたドラマ『過保護のカホコ』。
あまりドラマを見るタイプではなかったので特にスルーだったんだけど、気になってはいたんだよね。

なぜかというと、私自身が過保護な家庭で育った自覚があるから………

産休に入ってプライムビデオを徘徊していたところ、こちらのドラマを発見したので「私もお母さんになることだし、見てみるか」と軽い気持ちで見始めました。

母のリアルなヒステリック具合、闘うカホコ、最高!

いや、もう第一話から引き込まれました。
カホコが過保護にされまくってる様子はツッコミどころ満載で面白いし、家族だけじゃなくて親戚中がカホコのこと甘やかしていて、自分の家族と重なるところも多々…

特にママの過保護具合と、少しでも自分の思い通りにならないとヒステリー気味に怒り出して周りが気をつかう感じがすごく自分の母親と重なって、「あるよね〜」と笑うと同時に、心の中では笑えない自分もいて。
黒木瞳さんの素晴らしい演技で、「いつまでも子供を生きがいにするな!」「子離れして!」と思わず本気でイライラしてしまいました。

「ママ、悲しい」みたいなこと言って罪悪感植えつけてくる感じも、うちのお母さんとマジで同じ!(本人は流行りのアイメッセージ(自分を主語にして気持ちを伝える手法)を駆使しているつもりのようだったけど、子供にとっては逆効果だった)

だからママの呪縛から逃れて、家族以外の人に大切にしてもらう喜びを知って、一生懸命大人になろうとするカホコに自分を投影してしまって「頑張れ!」と手に汗握って応援しました。

特に、3話で大好きな麦野くんのことを悪く言われて「黙れ黙れ黙れ!」「これ以上カホコの邪魔しないで!」と親に初めて反抗して怒鳴るシーンには

よく言った!カホコ!えらい!!

と非常にスカッとしました。

親が絶対に正しい訳ではないと言うことに気づく瞬間ってあるよね。
私は大学に入って色々な大人や友人と出会って、世界の多様な価値観を知ったことがそのきっかけだったな。(遅いんかな?笑)

過保護な家庭で育った訳ではなくても、家族から独立した「自分」を観測する瞬間って誰にでも心当たりがあるんじゃないだろうか。
そういう誰の心の中にある大人になる瞬間を描いたからこそ、このドラマは共感を集めてヒットしたんじゃないかなと思った。

でも、アンチ過保護で終わらない過保護のカホコ

そして、このドラマは「過保護は悪」で終わらないところがすごい。
どうして過保護にしてしまうのか、親の目線もきちんと描かれている。

特に印象的だったのは、ママが家出しちゃう回。カホコが脱過保護宣言をしたことで、ママは「自分は必要とされていない」と感じて家を飛び出してしまう。

そんなママはカホコだけは無条件に自分を愛してくれたことを思い出し、「もう少しカホコと一緒にいたいだけ」と思ったことをこぼす。

ママも、私と同じ女の子だったんだよね。

それを聞いたカホコがこんなふうに言ったのが、印象的だった。
ママはママじゃなくて、寂しかった1人の女の子だったということ。
だから、自分に降り注いだ大きすぎる愛も理解できると思ったのかもしれない。

こんだけ束縛されて洗脳されてたら、外の世界に気づいた瞬間すんごい反動で反抗しそうなもんだけど、家族を愛しながら家族から独立したカホコすごい。

この回でも、カホコがめちゃめちゃ大人になったと感じた。そして、いろんな問題を孕みすぎた物語は「家族っていいね」的な結末に終始していく。

カホコになれない私

カホコが家出したママに「大好きだよ」とLINEを送り続けるシーンや、結婚式のシーンでママとハグしながら「長生きしてね」と言うシーン。

こんな素直な気持ちでお母さんと向き合えたらどれだけいいだろうと羨ましく思って涙が出てきた。

私は過保護な家族を嫌だと思ってきたし、どちらかというと「家族なんて大嫌い」と言い放つ反抗期炸裂の糸ちゃんにめちゃめちゃ共感できた。

昔から子育てを生きがいにされるのが重すぎて。(「お父さんと仲悪いけどあなたたちがいるからこの家にいるんだからね」と言われたことも…今思い出してもいや知らんがなと思う…)(カホコが家を巣立った後、パパに離婚を提案するところまで我が家と完全に一致w)

近年もお母さんのことを許せないと思う出来事があって、正直全然甘えたいとか大好きとか言えるような気持ちではない。

一方、私の妹はカホコに似てる。多分、親はこういう人間だって割り切ることができていて、親の前では子供のままの姿を演じて、親の望む言葉をいつまでも発することができるけど、私にはそれができない。

でもカホコを羨ましく思ったってことは、やっぱり私にもまだ母親に優しくしたい気持ちとか罪悪感とかがどこかにあるんだなと感じた。

たぶん「親も1人の人間だし」と思えたら割り切れるんだろうけど、許せないってことは、いつまでも親に「人間的にしっかりしてほしい」と理想像を見てしまうということで、ある意味親離れできてないのかもしれない。

でもやっぱり、まだ私はカホコにはなれないなああーーーーー笑

とは思うのであった。私の本当の意味での脱過保護宣言はまだ先になりそうな気がする。

私が選んだ家族と

まあ、そんな私も今は結婚して実家とは一定の距離を保って生活している。

自分が選んだ夫という新しい家族と暮らす毎日は、本当に気楽で充実している。実家に帰りたいと思ったことは、ほぼない。

どんなに辛くても、ちゃんと寝て、ちゃんと食べて、好きな人の手を離さないで。

ばあばがカホコに残した言葉のように、自分が選んだ家族の手を離さないで、思いやりのある温かい家庭を築いていきたいと思った。

そして、10月には娘が生まれる予定。
娘が無条件に私を愛してくれたら、私も過保護モンスター化しちゃうのかな……
それがちょっと怖くもある。私はそういう家庭しか知らないから。

ドラマではカホコが失敗しないように親や家族が先回りして全力でカホコを守ってきたけど、それってきっと自分が傷付くカホコを見るのが怖かったからなんだと思う。

失敗して、傷ついて、泣くこともあるかもしれないけど、それが人を成長させること。
いつでも、そんな子供のそばにいて見守ってあげる強さが親にはきっと必要なんだ。

子供が船なら、いつか碇を上げて海に出て行かなきゃならないのよ。厳しい航海に疲れたら、港に戻ってくればいいんだから。

これもばあばが残してくれた言葉。娘にとって、港のような家族になることが理想です。

いい親になれるのか、いい親がなんなのか、模索はまだ始まったばかりだけど、もがきながら、自分が選んだ家族とまた歩んでいきたいと思った。

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