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マタニティライフは色んな「べき」で溢れてる

妊娠してから、涙腺スイッチがおかしくなっている。疲れすぎると涙が出てくるのだ。

妊娠前だってヘトヘトに疲れて布団にばたんきゅーすることは頻繁にあった。
肩がバキバキで頭が痛いことだって、生理痛が重くて腰が痛い時だってあった。
でも、疲れすぎて泣くことなんてなかったのに。

なんかもう限界、って感じでいきなり涙が出てくる。
お母さんになったから、赤ちゃんに危険が及んでいることを知らせるための「休めスイッチ」なんじゃないかと思っている。

このスイッチのせいで、上司に怒られても職場で泣いたことがなかったのに息が上がっているときに上司から「大丈夫?」と労られ号泣し、早退するという失態も犯している。

この前もそうだった。
久しぶりの立ち取材でヘトヘトになったあと、話上戸のインタビュイーへの取材は1時間半にも及んだ。

帰る頃には頭がガンガン痛くて、もう疲れてご飯も食べずに寝てしまいたいくらいになっていた。
それでも夫にすべて家事をしてもらうのは悪い気がして、食事やお皿洗いに一緒に台所に立つ。

「そういやさー、今日のディスプレイの引き取り二千円以上もかかったよ」
2人でお皿洗いをしているとき、私が引っ越し前に捨てられなかったディスプレイの話を夫が始めた。引っ越し後の片付けもひと段落したので、私が段ボールに詰めて、今日夫に処分業者への引き渡しをお願いしていたものだった。
色んな事情で発払いになっていた。

「せっかく車あるんだからさ、業者に直接持っていけば良かったじゃん。そしたら安くて済んだのに」
つまり彼は「次から相談してね」ということを言っているのであったのだけど、疲れに疲れた私はその一言でお皿を洗いながら「なんでそんなこと言うの」と涙が止まらなくなってしまった。

あーーーーこれは休めサインや。(そろそろ学んだ)

でも、大きなお腹抱えて一生懸命段ボールにディスプレイ詰めて業者手配したのになんでそんな風に言われなきゃいけないんやーーーー!!

分かっていても怒りが込み上げてきて涙が止まらない。

夫もただ事ではないと感じたのか「もういいからあっちいって休んで!」と作業をかわる。
私は手を止めて、先にお風呂に入らせてもらったけど、お風呂から上がってもまだ涙が出てきた。これは結構重症。

結局、次の日も仕事を休んだ。

久しぶりに徹底的にゴロゴロした。

一日中ベッドの上にいて、眠くなれば寝て、暇になれば本も読まずイラストも描かず、ただひたすらYouTubeを観るという生産性のない時間を過ごした。

この1日が、すんんんんんごく癒された。

思えば、妊活してから妊娠してから情報の海に飲まれて、あれ食べなきゃとか、これ買わなきゃとか、色んな「べき」に自分が追われてたんだな。

「妊娠したら性交渉を控えるカップルもいるかましれませんが、していいんですよ」と言われれば、なんかしなきゃいけないような焦りに駆られるし。(うちは怖いのでしてない)

「安定期に入ったら旅行のチャンス!」と言われれば旅行行かなきゃと思うし。

特によく見る「赤ちゃんが生まれる前にやりたいこと全部やった方がいい!!」という先輩ママや雑誌の言葉。

だから今のうちに絵描かなきゃと思ったりブログやらなきゃと思ったり、英語の勉強しなきゃと思ったりしてた。
じゃないと自分の人生が止まってしまう気がして。

「妊婦だからって甘えてる」と思われるのが怖くて、仕事も頑張ってた。テレワークを選択できても皆が来てるからと欠かさず出社してた。

何かを生み出して、役に立つことだけが出産後の自分に「何か」を残す。
自分を労ることになっている。
そう思ってたんだなーーーー。

でも正直やっぱり自分が一番休まるのは、病人かのようにベッドでずっと寝ることだし(実際めちゃくちゃ疲れやすいし)、意味もなく頭を空っぽにしてネットサーフィンすること。
夫や周りに甘えさせてもらうこと。

本当はこういうことが、自分を労るということなんだろうな。
マタニティ期間にやりたいことだって、雑誌やネットの言葉じゃなくて自分の欲求に従っていいんだ。そう思えた小休憩だった。

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