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北風が私を飛ばすとき

noteを書こうと思った。特に書きたいことはないが,何となくそう思った。

キーボードに手を置くと,その色の白さにたじろいだ。手首にマネキンの手を取り付けたような白さだ。

しかし,よく見ると血管があったし,爪の根元にある白いささくれも人間らしさを演出していた。

どことなく眠い。薄い布を頭にかけられているような肌寒い眠さだ。

「ああ」

「あ~あ」

こたつから抜け出せない。カタツムリの殻を,カタツムリから引き剥がすことができないように,私とこたつは一心同体だ。

そうでないと,やはりカタツムリと同様に生きてなど行けないのだ。

白い少年。

そうだな。

白い少年。

白い少年が,冬の凍てついた大地を駆け回っていて,その少年の後ろを北風がついていっている。

みんな,その少年を微笑ましくも迷惑そうに眺めている。

冬は何となく,そんなイメージだ。誰かが笑っていて,誰もが困っている。

彼の後ろをついて回る北風が,その内車や猫を飛ばしたり,電車や船を横転させてしまうような気がしている。

もしも,飛ばされた車の中に私が居たら。

「こんな時のために遺書でも書いておけば良かったな」

のんきにそんなことを考えているような気がしている。

ハックションヌ。


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