見出し画像

技術をふかめ、思考をめぐらし、感動をつたえる

私のしごとは「衣服標本家」だ
旧き衣服を分解して「衣服標本」をつくっている
昆虫の標本が、虫から洋服に変わったものだといえばイメージしやすいだろうか
ただサイズは、昆虫標本の何十倍もおおきいけれど

アビ衣服標本

これは約250年前のフランス貴族が着た「アビ・ア・ラ・フランセーズ」の衣服標本だ
フランス革命が起きるより、ちょっとだけ前の服になる

私は、標本をつくることで、美の根源をさぐっている
「なぜ、美しいのか?」を言葉と構造で説明したいからだ

衣服標本のパーツひとつひとつは、すべてトレースされ1枚の「製図原型」に落としこまれる

アビパターン

さきほどの標本を二次元に落とすとこうなる
1本1本の線から、なぜ美しいのか?という問いに対する「美の構成」が少しづつ顔をのぞかせる

表層からは決してみえない美の構成が、分解することでみえてくる
視覚に映る美しさは、内部構造がつくりだす

そして「触覚」こそが美しさを知り得る、唯一の手段であると、私は主張する

アビ試着サンプル

二次元に落とした製図原型をもとに、構成美のみを抽出し、具現化したものが上のサンプルである

このサンプルに袖を通せば、私の伝えたい美しさをあなたの身体が、勝手に理解する
触覚にアプローチするために、分解 / 研究 そして「再構築」が必須だ

衣服標本が各年代、サンプルが各サイズ揃うのが、私の主催する半・分解展である

分解展2020-032 - コピー

そして、コロナショックで半・分解展は中止となった

2020年に懸けていた
くやしかった

3.11の記憶が蘇った
学生だった私は、無力だった
服をつくる意味を、失った

しかし、今は違う
一歩踏みだす覚悟がある

そうして始めたのが「オンラインの半・分解展」

画像5

「オンラインの半・分解展」は、コミュニケーションに重点を置いている

リアルの半・分解展は、ひとつの「集合場所」として機能する面が見受けられた
技術者や学芸員、コスプレイヤーやオタクの人たちが集まり、自然と交じりあいカオスコミュニケーションが生まれている

そのコミュニケーションを、オンラインでも大切にすることにした
オンライン半・分解展は、非公開InstagramとZOOMを使っておこなわれる

非公開Instagramでは、あらかじめ参加者の自己紹介や質問を募る
共通のテーマのもとに集まった参加者同士のコミュニケーションを活性化し、演者と参加者のコミュニケーションも深めるのが狙いだ

そうすることで、顔出しのハードルも数段下がるはずだ
ZOOMをする前に、問題解決をしてしまうノリで取り組もうと考えている

ZOOM終了3日後には、非公開Instagramはなくなる
消えてなくなるからこそ、次につながるものが生まれると、仮説立てている

これが良いのか悪いのかは、まだわからない
ただ「SNS以上、オンラインサロン未満」の曖昧なつながりが半・分解展らしい気がしている

興味があれば、覗いてほしい

「オンラインの半・分解展」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?