理想のアラサーになれなかった話

最近、いろいろなライフイベントが終わりやっと落ち着いてきたせいか、自分のことを見つめ直すことが多くなった。見つめ直す中で思い出すのが大学時代に掲げていた理想のアラサー像だ。『アラサーになってることには私はこうなってるはず!!!!』とかよく思っている痛いやつだった。

大学時代の私が掲げていた理想のアラサー像はこうだ。

笑わないで見てほしい。

①結婚をして、子供1人いる幸せな家庭

②旦那と共働きで世帯年収2000万越え

③食品会社に勤め、バリバリ働くキャリアウーマン都内マンション住み。

あげるとキリがないが、こんなところである。大学生の私は私なら本気でこうなれると考えていたのだから大爆笑である。上の3つとアラサーになった今の私を比べて叶っているのはまったくのゼロだ。

現実はこうだ。

①結婚をして、子供1人いる幸せな家庭→結婚はしたけど子供はいない。

②旦那と共働きで世帯年収2000万越え→750万くらい。

③食品会社に勤め、バリバリ働くキャリアウーマン都内住み。→地方公務員、事務職。田舎住み。ぎりぎり新幹線は通る。築14年のアパート住まい。超余裕がある職場だが刺激がない。

こんな感じ。別に私が掲げていた理想像は決して高すぎるものじゃないし、同年代でゴロゴロいると思う。しかし、当時掲げていた理想像とは程遠い自分が今いる。なぜなのか。コロナ自粛で家にいることが多かったため、自分の人生を思い返してみた。そうすると3つの理由を見つけた。

①自分のことを自分で考え、動けなかった

私の学生時代の話をすると、基本的に両親はやりたいことをやらせてくれたが、進路については割とアドバイスが多かった。『こうしなさい』『こうすれば間違いないから』と何回も聞いた。そして私もそれに特に反抗しなかった。親のいうことを聞いていれば、間違いないし困らないと本気でそう思っていた。(実際そうだったけど)だから私はいろいろなことをするたびに母に伺いを立てた。『○○大学と○○大学どっちがいい?』『○○ちゃんとテスト前に遊ぶんだけどやめた方いいよね?』など。事あるごとに相談した。そして親も答えてくれた。もちろん、私にも好き嫌い、やりたいことやりたくないこともあるため、親と意見が異なったことがある。でもそのたびに自然と軌道修正されてきた。こうして、自分のことを自分だけで考えることができないモンスターが誕生したのだった。大学に入って、周りのことを自分でするようになってある程度は自立できたが、大きな壁にぶつかった。就職活動である。食べることが好きだったから食品会社に勤めたくてそれを軸に就活していたが、『どうしてこの仕事(会社)なの?』などと面接で聞かれると、好きだから、だけでは内定はもらえなかった。今まで自分だけで考える力を身に着けてこなかったため、急にそういう質問に答えられなかった。そこから就活を頑張ったが憧れの食品会社から内定をもらえず、またもや親に強制的に勧められた地銀に内定した。自分で考えることができなくなったのは決して親のせいであるとは思っていない。私自身の思考が停止し、人に選んでもらった方が楽ということを知ってしまったのだった。

②他人頼りで自分の成長のために努力出来なかった

私が入学した大学は、ある程度有名な大学で著名人も輩出しており、就職率も良く、大手企業に就職した人も多くいた。また、周りの友人もスペックが高くお金持ちの子が割と多かった。(周りからはお嬢様大学と比喩される)そのため、ほかの大学の友人に男子に合コンのセッティングお願いされたから来て!とよく言われたし、就活では周りの学生に羨ましがられた。私自身はというと、その大学に通っている学生であるというだけで特別優秀ではないしそもそも大学も超優秀でもない。家も大金持ちでもない。そして何か特別なものを持っているわけでもない。それなのに私は『この大学に入学したんだから、就職も結婚も引く手あまた!人生イージーモード☆』と勘違いしてしまったのである。好きなことを学ぶために入学したのだから、学校の勉強は頑張り資格も取ったが、就職活動は『学歴でどうにかなるし、絶対大手にいきたい!』と思いあぐらをかいてしまったのだ。ちなみに就活は希望のところはすべて落ちた。そして、もう一つ私が勘違いした要因がもう一つある。当時運よく付き合っていた人が高学歴&ハイスペックだったのである。彼と結婚も考えていて彼は官公庁に内定した。『良い企業に就職したいけど、彼と結婚すれば安泰だしな』などと考えていた時期もあった。そんなこんなで必死になって自分を磨かず、全く努力しなかったのだ。(ちなみに体重も10キロも増え、ブスだった)そして、高学歴彼氏とは色々あってお別れした。

③自分が本当はどんな人間だか分からなかった

就活の時の話だが、よく自己分析をして自己PRにつなげよう!と言われた。私はこれが苦手だった。『私って〇〇な性格で〇〇が得意だから、営業職かな』とか『コツコツ仕事をして、集中するのが好きだからこの仕事かな』とかみんな見つけていたが、『そもそも私ってどんな性格で何が得意なの?』という謎が膨らむ一方だった。考えても考えても分からなかった。だから、よく人に聞いていた。私ってどういう職種が向いてる?どういう性格?と。よくよく考えたら、他人に見せてる自分って本当の内なる自分とは異なることだってあるわけで、鵜呑みにしてはいけなかったのだ。『りんは、明るくてコミュニケーション能力高いから営業職じゃない?事務ではない』と口を揃えてみんな言った。そっか、私は営業向きなんだと無理やり私という人間像を完成させていったのだった。また、自分を知るために今自分はこういう人間だというのを紙にまとめたことがあったが、『もしかして、こういう一面もあるんじゃない・・・?いや、これは就活には不利だから封印しよう』と除外した部分もあった。とんでもない捏造である。今振り返ると私が封印した自分こそ本当の自分だった。就活については、地銀に内定し、結局営業職に就いたのだが、去年体を壊して退職した。友達のアドバイスが悪いわけでは決してないが、本当の私には合わなかったのだった。

とまあこんな感じだろうか。いや、もっと色々あるだろ!と思う人はいると思う。うん、もっとある。けど、キリがないからやめておく。こんな感じで私の理想のアラサー像への夢は途絶えていったのだった。人にアドバイスする立場ではないが、もしこれからキャリアを築いていく人がいたとしたら、『自分の心に正直、そして自分のことは最低限自分で決めような』と言いたい。どんなに繕っても最後は全部自分に返ってくることを私は知った。

大学時代の理想のアラサーになれなかった私はやっぱり今でも朝起きて、スタバでテイクアウトしたパンとスタバラテを飲みたいし、丸の内や銀座で買い物したい。そんな生活に憧れながら、98円で買ったエリンギを炒め、お弁当と代わり映えしない朝ごはんを毎日作っている。そんな毎日が、最近楽しいと思えるようになった。私はやっと自分という人間がわかったような気がした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?