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腰痛の方でコルセット装置の仕方を変えた症例

情報)
中腰姿勢や長時間椅子に腰掛けていると腰が痛む。

3年ほど前から症状が出現してきた。

中腰姿勢(前傾45度ほど)や長時間の座位姿勢で腰椎中部の中央付近に痛みが出現する。

痛みが出現する前傾姿勢


痛み部位


痛みは徐々に出現し重い感じである。

医師より筋の過緊張から来ていると告げられ、筋弛緩剤を処方された。
服用すると痛みは軽減するが完治には到っていない。

既往歴はない。

痛みの部位は、右腰椎中部の横突起および起立筋であった。


Q) 何が原因か?

A) 痛みが出現する前傾姿勢と座位における腰椎屈曲位・中間位・伸展肢位の比較から、痛みが出現する前傾位は靭帯性支持ではなく筋である。


伸展位            中間位            屈曲位


ここから、右腰椎中部の過可動に対する安定化のための筋の過収縮が筋および付着部に伸張性のストレスを与え痛みが出現したのではないかと考えた。

そこで、脊柱の過可動性について調べた。

Q) 評価では?

A) 体幹の屈曲・伸展では、伸展位で痛みのある部位を中心に伸展可動性が大きい。

伸展位        中間位        屈曲位


側屈では、左側屈が右に比べて可動域があり、痛み部位の右椎間関節の後方すべりが大きい可能性がある。

左側屈         右側屈


回旋では、痛みが出現する部位で、右回旋が左回旋に比べて大きい。

左回旋        右回旋


Q) これらの現象から見えてきたことは?

A)伸展、左側屈での右椎間関節、右回旋での右椎間関節で共通する動きは、右椎間関節の後方すべりである。

どうやら、局所の右椎間関節の過度の後方すべりを押さえる筋対応が、痛みに結び付いた可能性がある。

これは、長時間座位で症状が出現する理由に当てはまる。

また、前傾姿勢は、対応筋への負荷の増大である。

Q) アプローチは?

Q) 局所の右椎間関節の後方すべりを押さえる。

そのために
①過可動以外の上下の椎間関節の動きを引出して、動きを分散させる。
②後方すべりを押させる筋の収縮を促す。
が考えられる。

いずれも、評価による確認が必要である。

ここで、今回はコルセットの装着に着目した。

Q) それは?

A) 症例は、体幹前傾位を維持するためと、局所椎間関節の過可動を押さえるために背筋群が収縮して症状を呈した。


装具として、体幹の前傾位を維持するには、背部より腹部から支えた方が効率がよい。

理由は、コルセットの形状から通常背部に位置させる部分の面積の広く、支えやすいからである。

本来のコルセットの使用法)

痛みは軽減


症例に対応した使用法)

痛みは消失


この考え方は、装具全般に応用できる。

重要なのは、その方の状態に合った対応である。


最後までお読み頂きましてありがとうございます。









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