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はじめに「【KAIZEN2.0】RPAホワイトカラー革命」執筆への思い

 こんにちは。NTTデータ中川拓也です。ホワイトカラーの業務自動化に取り組んで10年、オフィスの現場で練ってきた生産性向上の取り組み「KAIZEN2.0」を発表することにしました。株式会社ダイナックス澁谷さんのお知恵も借り、世界に向け提唱していきます。


 スマートフォンと同じ速度で普及するRPA(ソフトウエア型ロボット)により、ホワイトカラーの業務を自動化する取り組みが世界中で進んでいます。

 どこかのタイミングで詳しくご紹介しますが、RPAとは「Robotic Process Automation」の略、つまり「ソフトウエアのロボットによりパソコン業務を自動化すること」です。
 製造業の工場では、多くの「産業用ロボット」が活躍していますよね。ロボットが無いなんてありえない状況です。しかし、ホワイトカラーのパソコン業務において、以前はロボットを使うという発想がありませんでした。業務が大変であればシステムをカスタマイズするか、それとも人を増やすかの2択でしたよね。そこに、「ソフトウエアのロボットにパソコン業務を代行してもらう」という第三の選択肢が登場しました。これがRPAです。

工場とオフィスの対比

 しかし、このソフトウエアのロボットをとにかくたくさん使えばいいのかというと、そう単純でもありません。ロボットを有効活用するのはもちろん、本格的に業務を変革するためにも、ホワイトカラーの生産性向上のためのフレームワークが求められるようになってきたのです。

 これまでに私はRPAを4,300社に提供してきました。お客様の現場を見るたびに、またRPAの活用についてお客様とディスカッションするたびに、「日本人に最適なオフィス業務改善のフレームワークがありますよ。」と紹介してきたのが、「カイゼン」です。

 カイゼンと聞くと、製造業の工場を思い浮かべられたのではないでしょうか?そう、そのカイゼンではあるのですが、このフレームワークはオフィス業務の変革活動にも応用できるんですね。工場のカイゼンを1.0としたときに、オフィスのカイゼンは2.0だろうということで、「KAIZEN2.0」と名付けました。

 なお、「オフィスにもカイゼンを!」、という思想は私の独りよがりではありません。トヨタグループでトップクラスのメーカーの役員さんや、本記事を監修いただく澁谷さんなど、複数の生産管理のスペシャリストに相談し、有効性を確認しています。

 非製造業の方は意外に感じると思いますが、カイゼンの本家の製造業であっても、工場は工場、オフィスはオフィスと別モノの認識であったため、オフィスでカイゼンという発想は無かったそうです。そのため、既に工場は最適化され尽くしている製造業であっても、オフィスには無駄がたくさん潜んでおり、カイゼンを適用する余地が山ほどあるのです。

 ということで、これからKAIZEN2.0のtipsを、週に数本を目標にアップしていこうと思います。気楽に読んでいただき、少しでも業務の効率化・自動化や、スキルアップのご参考になれば幸いです。

 と、ここまでが本題になるのですが、「製造業のカイゼンをIT企業の中川が何故語るのか?」と疑問に思われる方もいるかと思うので、最後に、背景や私の思い入れ、経験等をお話しします。

 実はNTTデータは、総合的品質管理(TQM)において、優れた成果をあげた企業や個人を表彰する「デミング賞実施賞」を、1993年に受賞しています。情報サービス業界では初となる受賞であり、この時に大変な労力をかけて社内を徹底変革し、QC活動などのカイゼン文化が定着しました。

 私も入社して間もない頃に、カイゼンフレームワークを徹底的に叩き込まれました。当時は、「ここまでやる必要あるのか?」なんて疑問も持ちながら学習しましたが、結果的に、今の私があるのはカイゼンフレームワークを身に着けていたお陰です。というのも、カイゼンフレームワークを基礎スキルとして新規事業の立ち上げに取り組んだからこそ、数十億円規模の事業を3件作ることに成功し、そのうち1つは100億円規模にまで育ったのです。

 「カイゼンって部品製造の歩留まりを減らすとかじゃないの?」と思うかもしれませんが大間違い、ソフトウエア開発に適用すればバグを減らすことにも使えますし、検討の対象を「事業成長」に置けば、成長を阻害する要因を見つけて対策を打ち、事業を伸ばすこともできる万能フレームワークなんですね。

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 かつて日本の製造業を世界トップとして輝かせる原動力となったKAIZEN。非製造業の我々であっても、KAIZENを、そして日本の製造業を大変に誇らしく思ったものです。日本の労働生産性は2019年には世界34位まで落ちてしまいましたが、このKAIZEN2.0により再び世界のトップを目指したいと考えていますので、これからよろしくお願いします。

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