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『稲盛和夫一日一言』4/15(土)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/15(土)は、「正々堂々」です。

ポイント:企業経営には権謀術数(けんぼうじゅっすう)など一切必要ない。正々堂々と、人間として正しいやり方を貫けば、必ず運命は開けてくる。

 2007年発刊の『人生の王道 西郷南洲の教えに学ぶ』(稲盛和夫著 日経BP社)第四章「大義」の中で、策略で勝ち得た成功は長続きしないとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 昨今、大義を忘れ、ひたすらに自己の利益を追求するため、策を弄するような事例が散見させます。西郷はこう説いています。

【遺訓三四条】 作略(さくりゃく)は平日致さぬものぞ。作略を以てやりたる事は、その跡(あと)を見れば善(よ)からざること判然にして、必ずしたりこれある也。(後略)

【訳】 はかりごと(駆け引き)は、日常的に用いないほうがよい。はかりごとをもってやったことは、その結果を見ればよくないことがはっきりしていて、必ず後悔するものである。

 企業は常に厳しい生存競争にさらされており、いわば「弱肉強食」の世界です。そこには、自分たちが生き残るためなら何をやってもよい、狡猾(こうかつ)で卑怯(ひきょう)な手段であっても正当化される、負ける方が悪いのだという考えが潜んでいます。

 しかし、私はそうではないと思うのです。企業経営には、戦略や戦術が必要です。例えば、会社をこんなふうにしていきたいというビジョンを描き、研究開発の方針を決めて、どのような製品や事業に注力していくか、そのために何をやらなければならないかを洗い出して実行に移す。
 ところが実際には、どうやって競争相手をつぶすか、いかに同業者の足を引っ張って自社が浮かび上がるか、といった矮小(わいしょう)な視野で策略を練っていることが少なくありません。

 しかし、他社をどうこうする前にまずやるべきことは、とにもかくにも自分の会社を強くするため、脇目も振らずに努力に努力を重ねることです。
 経営者が率先して、競争相手の足を何とか引っ張ってやろう、相手を騙してうまい汁を吸おうなんていうことばかり考えているようでは、会社が発展していくはずがありません。

 策略で勝ち得た成功は、決して長続きしません。こちらが策略を用いれば、相手も負けまいと策略を用います。裏をかけば、そのまた裏をかかれる。いったん成功したように見えても、相手は必ずそれを覆すような策略を返してきます。

 ですから、他人のことをあれこれと意識することなく、己の誠を貫くこと、それがすべてなのです。(要約)

 今日の一言には、「正々堂々と人間として正しいやり方を貫けば運命は開けてくる」とあります。

 世の中には、小賢しい策略をめぐらせるのが好きな人がいます。いつもそういうことばかり考えていて、世渡りがうまく、笑顔を振りまきながら、他人を踏み台にすることなど何とも思わないような輩です。
 しかし、そういう人のペースに引きずり込まれてはいけません。なぜなら、そのような人がいつまでも栄えたためしはないからです。

 背筋をピンっと伸ばし、顔を上げてまっすぐ前を見て地面をしっかりと踏みしめながら一歩一歩、歩を進める。
 少し古くさい表現かもしれませんが、命ある限り、「人様から後ろ指を指されない」ような生き方を貫いていきたいものです!
 「天網恢恢(てんもうかいかい)疎(そ)にして漏らさず」


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