『稲盛和夫一日一言』 2月18日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2月18日(日)は、「誰にも負けない努力」です。
ポイント:「誰にも負けない努力」とは、終点を設けず、先へ先へと設定されるゴールを果てしなく追いかけていく、無限に続く努力のこと。
2010年発刊の『六つの精進』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、[「一生懸命に働くことが幸せな人生の条件」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
「六つの精進」の最初は、「誰にも負けない努力をする」です。
私は「稲盛経営十二ヶ条」の中でも、「誰にも負けない努力をする」ということを強く説いていますが、「六つの精進」では、これが一番目にあげられています。
企業経営をしていく中で一番大事なのは、「誰にも負けない努力をする」ことです。言葉を換えれば、「毎日一生懸命に働く」ことが最も大事なことなのです。また、幸せな人生、素晴らしい人生を生きるためにも、毎日真剣に働くことが第一条件です。このことを除いては、人生の成功も企業経営の成功もあり得ないのです。
一生懸命に働くことを忌み嫌い、少しでも楽をしようと思うならば、企業の成功はもちろんのこと、素晴らしい人生を得ることもできません。
今後厳しい不況が襲ってくるかもしれませんが、どんな不況がこようとも、またどんな時代になろうとも、一生懸命に働きさえすれば、十分にそれらの苦難を乗り切っていけるはずです。
一般的に、経営には戦略、戦術といったものが大事だといわれていますが、一生懸命に働くということ以外に成功する道はないと、私は思っています。
企業経営に限らず、学者や芸術家でも、立派な業績をあげてこられた方々はみな、ひたむきに一生懸命に働いて努力を重ねてこられた方ばかりです。
また思い出すのは、終戦後、満州から裸一貫で鹿児島に戻り、野菜の行商をしていた私の母方のおじ、おばのことです。
自分の身体よりもはるかに大きな大八車に野菜を積み、暑い日も寒い日も行商をしている姿を、まだ幼かった私はよく見ていました。
おそらく二人は、経営とか商売とか経理とか、そういうものはまったく勉強していなかったと思います。しかし、ただ一生懸命に働くということで、やがて大きな八百屋を経営するようになり、晩年まで素晴らしい経営を続けました。
そうした二人を見ていて、学問がなかろうとも、黙々と一生懸命に働くことが、素晴らしい結果を招いていくのだということを、私は子ども心に強く感じました。
どんな不況がこようとも、どんな厳しい環境がこようとも、人一倍努力をしていくことが、経営者としても人間としても最低条件なのだということを、私は今でも固く信じています。
あなたは、自分では一生懸命働いていると言っているけれども、そんな働き方では不十分です。もっとまじめに、もっと一生懸命に働かなければ、会社でも人生でもうまくいきませんよ。
そういう意味で、私は「誰にも負けない努力をする」と表現しているわけです。
一生懸命に働く、誰にも負けない努力をするということは、この世に生きるものの当然の義務であり、生きているかぎりはその義務から逃れることはできないとも、私は思っています。(要約)
今日の一言には、「いくら人並みの努力を続けても、みんなが等しく努力を重ねている中にあっては、ただ当たり前のことをしているだけです。人並み以上の、誰にも負けない努力を続けていかなければ、大きな成果など期待することはできないでしょう」とあります。
よく「努力は嘘をつかない」という言葉が使われますが、オリンピックを連覇して世界の頂点を経験したフィギュアスケーターの羽生結弦さんは、あるテレビ番組のインタビューで「努力は嘘をつく」と発言し、「努力が嘘をつかないんだったら、やっぱり練習量を一番している人が、毎回毎回優勝できると思う」と続けました。
これは「努力」することを否定したわけではなく、「努力は嘘をつく。でも無駄にはならない。努力の正解を見つけることが大切だ」、つまり正しい努力をする必要があるということを言いたかったのだと思います。
またある人は、「努力は裏切らないという言葉は不正確だ。正しい場所で正しい方向で、十分な量をなされた努力は裏切らないということ」とも言っています。
いずれにせよ、「誰にも負けない努力」とは、「ここまでやったからOK!」というようなゴールや基準があるものではないということです。
生涯を閉じようとする直前に、「ああ、自分人生はいい人生だった」と心底満足してあの世に旅立っていくためには、「誰にも負けない努力」を続けることのできる心身をキープできていることが大前提でしょう。
誰にでもできることではありませんが、少しでも長く、そうした充実した時間を過ごしていきたいものです。