見出し画像

『稲盛和夫一日一言』 1月12日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月12日(金)は、「経営はトップの器で決まる」です。

ポイント:経営者の人格が高まるにつれ、企業は成長発展していく。経営者の人間性、いわば人間としての器の大きさにしか、企業は大きくならない。

 2016年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第5巻 リーダーのあるべき姿』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)「徳に基づく経営」と題する講演の中で、「経営はトップの器で決まる」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 「徳をもってあたる」ということは、組織をまとめていくことだけに留まるものではありません。取引先やお客様と交渉する際にも必要となります。

 私も若いことには、自分で開発した製品を持って、自らお客様に売り込みに行っていました。そのとき営業の心得として、「商売には信用が第一」とよく聞かされていました。しかし、私はいつも、さらにその上があるのではないかと思っていました。それは、信用されるという状態を超えて、お客様から尊敬される、あるいは惚れられる、ということでした。

 そうした状態にまでなれば、値段が高いとか安いとかいうことではなく、無条件で購入していただけるはずです。そうした尊敬と信頼をベースとした関係こそが、ビジネスの理想ではないでしょうか。

 お客様との素晴らしい関係を築き上げていくためにも、また集団を統治していくためにも、経営者には「徳」が求められます。
 経営者の人格が高まるにつれ、企業は成長発展していくはずです。私はそのことを、「経営はトップの器で決まる」と言ってきました。

 いくら会社を立派にしていこうと思っても、「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」と言うように、その経営者の人間性、いわば人としての器の大きさにしか企業は大きくならないものです。

 例えば、小さな企業の経営で成功を収めた経営者が、企業が大きくなるにつれ、経営の舵取りがうまくいかなくなってしまい、会社をつぶしてしまうということがあります。
 それは、組織が大きくなっていくにつれ、その経営者が自分の器を大きくすることができなかったからです。企業を発展させていこうとするならば、まずは経営者としての器、言い換えれば、自分の人間性、哲学、考え方、人格というものを、絶えず向上させていくよう、努力していくことが求められるのです。

 かくいう私も、決して若いことから経営トップとしてふさわしい器を備えていたわけではありません。若いことは、やはり未熟な面も多々ありました。そのことを、自分自身でもよく理解していたために、私は至らぬながらも、少しでも自分が成長できるよう、日々懸命に努力を続けてきたのです。

 私は、経営者の人格と企業の業績がパラレルになるということを、「心を高める、経営を伸ばす」という言葉で表現しています。これは、まさに経営の真髄ともいうべきものです。
 経営を伸ばしたいと思うなら、まずは経営者であるあなた自身の心を高めることが先決です。そうすれば、業績は必ずついてきます。
(要約)

 今日の一言ですぐに頭に浮かんだのは、昨年から世間を騒がせているビッグモーターによる保険金不正請求問題です。なぜあのような大規模な不正事件が起きてしまったのでしょうか。

 創業者で前代表取締役の兼重宏行氏は、山口から出てきて一代で従業員6千人、年商5200億円のガリバー企業を作り上げられたのですが、古希を過ぎた今、その栄光は大きく崩れ去ろうとしています。

 ビッグモーターは非上場で、前社長自らが代表を務める資産管理会社が100%の株を持つ兼重家所有の、いわゆるオーナー企業です。
 「利益至上主義で、現場には厳しいノルマが課せられ、経営陣の意に染まない社員を平気で降格させたり、自主退職に追い込んだりするばかりか、内部告発を無視し、取締役会も開かれない、そうした企業風土だった」との報道がなされています。

 真実は知る由もありませんが、どうひいき目に見ても、企業規模に応じて経営者の人格、人間性が高まっていったとは私には思えません。

 連日のように報道されている、自民党裏金疑惑においてもしかりです。日本の政治の中枢にいる政治家の面々が、その地位に上り詰めた後、その地位と権力、さらには政治的基盤を死守することに汲々とするあまり、今なお日本の将来を台無しにしかねない失政を平然と続けています。

 もし、日本の行く末がトップの器で決まるとするならば、それはもちろん岸田さんではなく、ましてや麻生さんや二階さんでもないはずです。
 これからも一国民として、トップの器を正しく見極めていければと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?