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『稲盛和夫一日一言』 7月23日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月23日(火)は、「失敗してもクヨクヨ悩まない」です。

ポイント:時に失敗してしまっても、決してクヨクヨと感性的に悩んではならない。厳しく自省した後は忘れてしまうこと。いつまでも思い悩むことは百害あって一利なし。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、感性的な悩みをしないことが大切であるとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人生では、心配事や失敗など、心を煩(わずら)わせるようなことがあります。しかし、一度こぼれた水が元に戻らないように、起こってしまったことをいつまでも悔やみ、思い悩んでも意味がありません。

 くよくよと思い続けることは、心の病を引き起こし、ひいては肉体の病につながり、人生を不幸なものにしてしまいます。
 すでに起こってしまったことはいたずらに悩まず、新しい思いを抱き、新しい行動に移っていくことが大切です。

 済んだことに対して反省はしても、感情や感性のレベルで心労を重ねるのではなく、理性で考え、新たな行動に移るべきなのです。そうすることが、人生を素晴らしいものにしていくのです。

 「覆水(ふくすい)盆(ぼん)に返らず」です。
 「なんであんなことをしたのだろう」「あんなことなどしなければよかった」と、いつまでも考えてみたところで、詮(せん)ないことです。

 もちろん、反省はしなければなりません。あんなバカなことを起こしたのはなぜだったのか、十分に反省し、二度とそういうことはすまいと心に決めさえすれば、あとは全部忘れてしまえばよいのです。
 そして、新しいことに明るく立ち向かっていく。くよくよと後ろ向きなことを考えてはいけません。キッパリと忘れ、新しいことに向かって行動を起こす努力をすることです。そういう人は、失敗しても後々成功を収めていきます。

 感性的な悩みをする人が非常に多くなっています。そのせいか、日本では自殺をする人が毎年二万人を超えています。確かに金銭的な問題や人間関係等、思い悩むことも多いのだろうと思いますが、そういうときであっても、「命までは取られないだろう。生きているだけでも、まだマシではないか」と自分に言い聞かせ、ケロッとしてその苦労を克服していく。そうしていくことが大事なのです。

 感性的な悩みをしないということは、本当に大事なことです。どんなことがあろうとも、どんな問題が起ころうとも、よしんば生きてはいられないと思うようなことがあったとしても、悩む必要はありませんし、悩んではいけません。決して心を煩わせてはならないのです。

 人生では、誰もが失敗もすれば、間違いも起こします。失敗、間違いを繰り返しながら、人間は成長していくのですから、失敗しても悔やむ必要はないのです。反省をしたら、未来に目を転じ、新しい行動へと移っていく。
 人生を生きていくうえでは、そうすることが何よりも大切なことなのです。
(要約)

 2007年発刊の『人生の王道 西郷南洲の教えに学ぶ』(稲盛和夫著 日経BP社)「大きな失敗をしてもくよくしない」の項で、名誉会長は遺訓ニ七条を紹介されています。

【遺訓ニ七条】

 過(あやま)ちを改むるに、自ら過ったとさえ思い付かば、それにて善(よ)し。その事をば棄て顧みず、直ちに一歩踏み出すべし。過を悔しく思い、取繕(とりつくろ)わんとて心配するは、譬(たと)えば茶碗を割り、その欠けを集め合わせ見るも同じにて、詮(せん)もなきこと也。

【訳】
 過ちを改めるにあたっては、自分から誤ったとさえ思いついたら、それでよい。そのことをさっぱり思いすてて、すぐ一歩前進することだ。過去の過ちを悔しく思い、あれこれと取り繕おうと心配するのは、例えば、茶わんを割ってそのかけらを集めてみるのも同様で、何の役にも立たぬことである。
(要約)

 一番良くないのは、くよくよと思い悩んで心労を重ねることです。いつまでも思い煩っていては、問題が解決しないどころか、事態はさらに悪化して、ひいては健康まで害してしまうでしょう。

 そう言われても、くよくよ悩んでしまうのが、人間の悲しい性です。
 「気持ちまで弱ってしまうような心配をしても何もならない」と割り切って、「自分の人生は、自ら切り開いていくしかないのだ」という気概を持って、元気を出して生きていきたいものです。

 「自ら過ったとさえ思い付かば、それにて善し」 (西郷南洲)


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