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『稲盛和夫一日一言』1/31(火)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1/31(月)は、「幸福の鍵」です。

ポイント:どれだけ利己的な欲望を抑え、他の人に善かれかしと願う利他の心を持てるかどうかが、幸福の鍵となっていく。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、人間としてのあるべき生き方について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 宇宙に存在する森羅万象はすべて、大きな宇宙という生命の一部であり、けっしておのおのが偶然に生み出されたものではなく、どれ一つとっても必要だから存在している。そう考えれば、人間はより大きな使命をもってこの宇宙に生かされていると、私は考えています。

 人間が「万物の霊長」と表現されるように、知性や理性、さらに愛や思いやりに満ちた心や魂をも携えてこの地球に生み出されたとすれば、そこにはきわめて重要な役割が与えられているはずだからです。
 したがって、私たちはその役割を認識し、人生において、努めて魂を磨いていく義務があります。

 一生懸命働くこと、感謝の心を忘れないこと、善き思い、正しい行いに努めること、素直な反省心でいつも自分を律すること、日々の暮らしの中で心を磨き、人格を高め続けること。まさに、そうした当たり前のことを一生懸命行っていくことにこそ生きる意義があり、それ以外に、人間としての「生き方」はないように思います。

 混迷を深める社会の中で、人々はいま、手探りで闇夜を進むかのごとく生きています。しかし、私はそれでも、夢と希望あふれる明るい未来を思い描かずにはいられません。

 まずは自分自身が、また一人でも多くの人々が、それぞれ与えられた崇高な使命を理解し、人間として正しいことを正しいままに貫き続ける。そのような「生き方」の向こうには、かならず光り輝く黎明のときを迎えることができる、私はそう信じています。(要約)

 著書『生き方』は、一個の人間としての生き方のみならず、企業や国家、さらには文明あるいは人類全体までも視野に入れたものです。
 そこには、「それらはいずれも一人ひとりの人間の集合体なのだから、そのあるべき生き方には、何ら差異がないはずだ」との名誉会長の想いが込められています。そしてそれは、名誉会長がご自身の人生に対して真正面から愚直に向き合うなかで、少しずつ体得、確立されたものでもあります。

 あとがきには、「本書が、混迷の世相の中にあって、真摯に生き方を模索する一人でも多くのみなさんにひもとかれ、いささかなりとも指針になりますことを、著者として願ってやみません」と書かれています。

 私たち一人ひとりが、どれだけ利己的な欲望を抑え、「他の人に善かれかし」という利他の心で接していくことができるかどうか。本当に、そこに幸福の鍵があるのかどうかは、それを実践し続けた人にしかわからないのですが、そのことに一人でも多くの人が共感し、自身の行動を変えていくことができれば、世界終末時計の針の進みを止め、さらに戻すことも可能なのではないでしょうか。

 日本では連日、大手回転寿司チェーンでのいたずらを通り越したような信じがたい悪質な迷惑行為や、特殊詐欺に酷似した手口の連続強盗殺人事件など、どうしてそんなことを!と唸ってしまう事件が報道されています。
 3年に及ぶコロナ禍や、相次ぐ値上げ等による日常生活の息苦しさから、なかなか心穏やかに過ごせるような社会状況ではありませんが、どのような視点から見ても、そうした一連の事件に関与している人たちの心が、穏やかで幸福なレベルにあるとは思えません。

 まずは自分自身が、「人間として正しいことを正しいままに貫こうとする気概を持つ」ことからすべてが始まるのではと思っています。


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