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『稲盛和夫一日一言』 5月11日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5月11日(土)は、「心にある障壁」です。

ポイント:自らをより高く導いていこうとする際に障壁となるのは、安逸を求める自分自身の心。自分自身に打ち勝つことによって、障壁を克服し、卓越した成果を上げることができる。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「自分に打ち克つ」の項で、自分自身に打ち克つ強さを持たなければならないとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 あまり頭はよくないが、まじめによく勉強したので、優秀な成績で学校を卒業する人がいます。それに対して、頭の回転が速く、全然勉強しなくても楽々卒業してしまう人もいます。
 前者について、後者は「あいつはガリ勉だからできて当然だ。おれが本気で勉強すれば、あいつなどおれには歯が立たない」と言うのです。

 また、卒業後、社会人となって成功した人を見て、こうした人は「あんなやつ、学生時代は大したことはなかった。おれのほうが数段出来が良かったんだ」とその友人を見下し、自分のほうがもっと成功することもできた、と言うのです。

 果たしてそうでしょうか。ガリ勉であるということは、例えば遊びに興じたり、テレビを見たりという、目先の快楽を求めようとする自分自身に打ち克つことでできるものです。また、卒業後成功した友人も、同様に遊びたい気持ちを抑えて、一生懸命仕事に励んだに違いありません。

 ですから、自分自身に打ち克つには、たいへんな強さが必要です。人間の能力を考えるとき、その人の意志の強さといったものも考慮に入れるべきでしょう。自分自身と闘うことをやめ、安易な道を選ぶような人の能力は劣っていくはずです。

 人生という長い旅路で成功するための能力とは、いわゆる「知能」だけではないのです。(要約)

 今日の一言には、「より高く自らを導いていこうとするならば、あえて幾重にも立ちふさがる障壁に立ち向かっていかなければならない」とあります。

 同著「自らに厳しい課題を課す」の項で、自分を極限にまで追いつめる強さと勇気を持たなければならないとして、名誉会長は次のように説かれています。

 「板子(いたご)一枚下は地獄」という、船乗りの古い格言があります。

 創業まもない企業の社員というのは、これと同じ状況にあります。ところが、会社が発展し、成功するにつれて、豊かな状態を当たり前と考える世代が増えてきます。そして、次第に社員の働く姿勢、意欲が変質していくのです。

 それも当然かもしれません。豪華客船の乗客に、「小さな漁船に乗っているつもりになれ」「板子一枚下は地獄の気分になれ」と言っても無理な話です。誰も本気で聞きはしないでしょう。

 私たちが会社を始めたころは、危機感を持って必死に働くほかありませんでした。ところが今では、素晴らしい設備があり、豊富な資金もあります。
 この豊かで恵まれた環境の中で、同じように危機感を抱いて新しい事業を続けることは、精神的にはるかに困難なことだと思います。しかし、そうした危機感なしに、今日の成功はあり得なかったのもまた事実です。

 今の私たちに必要なのは、現状に甘んじることなく、自分の限界にチャレンジし続ける精神的な強さと意志の力を養うことです。
 自分に負けない人だけが、どんな苦労をも厭わず、ビジネスを成功させ、全力で仕事に打ち込むことができるのです。

 豊かな時代に新たな活路を開いていくには、自らを極限にまで追い込める強さと勇気を持っていなければならないのです。(要約)

 名誉会長は、「正しいことを正しいままに貫くためには、大変な強さが必要だが、その反面、自分の行為にほんの少しでも不安や躊躇(ちゅうちょ)があれば、すぐにその自信は揺らぎ、勇気を失ってしまう」と言われています。

 「克己心」、「自己に打ち勝つ心。欲望を抑制しようとする意志」といった意味のある言葉です。
 いくつになっても、ともすれば平穏安逸を求めようとする自らの心に打ちち、自身の未来の能力を信じて積極果敢にチャレンジしていきたいものです。


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