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『稲盛和夫一日一言』10/17(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10/17(月)は、「偽・私・放・奢」です。

ポイント:リーダーは四つの患いである「偽・私・放・奢」から離れた人格高潔な人間でなければならない。

 政治の根本およびその得失を論じた思想書『申鑒(しんかん)』を著し献帝に奉った後漢の学者 筍悦(じゅんえつ)は、その中で「政を致すの術は、先ず、四患(しかん)を屏(しりぞ)く」として「偽私放奢」の四つの患(わざわい)を挙げています。この四患はそのうちの一つでも目立ってしまえば国が傾くと言われているものです。

 今日の一言では、リーダーたるべき人は、四患、すなわち「偽」:うそ偽りの多い態度、「私」:私利私欲、「放」:勝手気まま、「奢」:奢(おご)りや贅沢(ぜいたく)から離れた人間でなければならないと説かれているわけです。

 稲盛名誉会長は、就寝前に枕元に積んである書物を手に取るのが習い性になっているからと、目を通された中国古典からさまざまな一文を引用してお話しされてきました。『貞観政要(じょうがんせいよう)』もその一つです。

 『貞観政要(じょうがんせいよう)』(全十巻四十篇)は、『書経』と並んで帝王学の原点とされている古典で、中国の長い歴史の中でも屈指の名君として知られる唐の二代目太宗李世民(在位626~694)の時代にまつわるものです。太宗は重臣たちの諫言によく耳を傾け、常に緊張感を持って政治に取り組み、平和で安定した社会を築いたと伝えられており、その治世は「貞観の治」として称えられています。

 『貞観政要』の現代語訳と解説がまとめられた2005年発刊の『「貞観政要」のリーダー学』(守屋 洋著 プレジデント社)の二章「率先垂範、わが身を正す」に、次のような記述があります。

 『荀子』という古典に、こんな言葉がある。               「原(みなもと)清ければ則ち流れ清く、原濁れば則ち流れ濁る」      源が澄んでいれば、おのずから流れも澄み、源が濁っていれば、流れもおのずから濁る。組織についても同じこと、上に立つ者は率先してわが身を正し、部下に手本を示さなければならない。これがいわば帝王学の出発点である。(一部抜粋)

 また稲盛名誉会長は、人格を高め、維持することの難しさについて、次のように述べられています。

 人格を維持するためには、毎日繰り返し繰り返し、自分の行いを振り返って、人間のあるべき姿に反した行いがなかったかどうか、反省をする日々をおくることが必要です。そして反省を通じ、「こうあるべきだ」と繰り返し繰り返し自分の知性に訴えて、哲学を血肉化していかなければ、人格というものは一時的に高めることはできても、それを維持することは難しいのです。

 若いころから立派な考え方や人格を持つ人は少ないでしょうから、せめて若いころよりはたった今のほうが明らかに人格が高まっているなと自覚でき、周囲もそういう目で見てくれる存在でありたい。それには、反省ある日々をおくることが重要ではないでしょうか。


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