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『稲盛和夫一日一言』 11月7日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11月7日(火)は、「道徳を守ろうとする思い」です。

ポイント:道徳を説く人が聖人君子である必要はない。道徳を守り切ることはできないけれど、道徳を大切に思い、守りたいと思っていることこそが大事。

 2004年発刊の『君の思いは必ず実現する』(稲盛和夫著 財界研究所)は、「二十一世紀の子供たちへ」という副題が示すように、稲盛名誉会長が青少年に向けて心を込めて書き下ろされた一冊です。その中で「なぜ、道徳を意識してほしいのか」として、名誉会長は次のように述べられています。

 若い青少年の皆さんが人間性を高めていくうえで必要になるのが、「道徳」を学ぶということです。
 歴史からもわかるように、そこで生活する人たちの道徳意識が薄れてくれば、その国は治安が悪化して荒廃し、結局国力も衰えていきます。逆に、道徳について意識が高い国は、たとえある時期までは経済的に貧しくても、国民がみんなまじめに努力しますから、将来必ず大きく発展していきます。

 第二次世界大戦に敗れた日本は、その後国民全員がまじめに必死になって努力し、世界から「奇跡の復興」と呼ばれるほどの経済発展を遂げました。その発展を支えたのが、国民一人ひとりの勤勉性、向上心、モラルであり、そのベースにあったのが「道徳」でした。

 では、「道徳」とはどういうものなのでしょうか。それは生きていくための善悪の判断基準となるもので、悪いことをしてはいけないという、人間にとってはごく当たり前のことから始まります。
 そうした最低限のルールを学び、守らなければ、個々人が好き勝手なことをするようになり、社会はさらに荒廃し、いずれは人類そのものの存続も危うくしてしまうのではないでしょうか。

 「道徳」というと、一見厳しくて、堅苦しいものを連想しがちですが、私が考える「道徳」とは、「人間として正しいことを貫く」ということです。「うそをつくな」「正直であれ」「人に迷惑をかけるな」「人にはやさしくせよ」「相手を思いやれ」といったごく当たり前のことであり、世界のどこでも通用する普遍的なものです。

 もちろん、心の中ではそう思っていても、すぐに実践できるようにはならないかもしれません。しかし大切なのは、「そうありたい」と思い続けることなのです。「そうありたい」と思って努力すれば、いつか必ずその思いは実現されるはずです。
 そうすれば、あなた自身の人間性も高まり、あなたの未来も人類の未来も、必ずやもっと素晴らしいものになっていくはずです。
(要約)

 名誉会長は、「私が考える『人間として正しいことを貫く』という道徳は、人間として基本的なものであるからこそ、多くの人の善悪の基準となり、また素朴で自然なものであるからこそ、世界で通じるような包容力のある道徳になり得るはずだ」と説かれています。

 同著の「第四章 学校で何を学ぶか」の冒頭、名誉会長は青少年に向けて次のようなメッセージを送られています。

 一番大事なのは、学校で何を学ぶかということです。それは創造性であったり、努力であったり、さらには人間としての生き方であったりするでしょう。皆さんは、そのようなことを教えてくれる素晴らしい人たちとの出会いを見つけて、ぜひ素晴らしい人生を切り開いていってください。(要約)

 「自分はもう十分長く生きてきたから、今さら学び直すことなど何もないわ」と豪語される方もおられますが、いくつになっても、人生は「学び」の機会を間断なく与えてくれるものです。

 「謙虚にして驕らず、さらに努力を」
 決して満足することなく決して驕らず、少しずつでも心を高めながら、自らの天寿を全うしていければと思っています。


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