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『稲盛和夫一日一言』4/9(日)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/9(日)は、「思いの力」です。

ポイント:純粋で美しい思いは、どんなに優れた知性にもまさる強大なパワーを持っている。「他に善かれかし」と願う、美しい思いには、周囲はもちろん天も味方して、成功へと導かれていく。

 2004年発刊の『君の思いは必ず実現する』(稲盛和夫著 財界研究所)は、稲盛名誉会長が、悩み多き若き日の自分を思い返しながら、二十一世紀の青少年に向けて書き下ろされたものですが、そのなかで、他人を思うことの大切さについて、名誉会長は次のように述べられています。

 これまで私は、運命は自分の思いと努力で変えることができる、それまで不運な人生であったとしても、善きことを思い、善いことを実行することで、良い方向に変えることができると、繰り返し述べてきました。

 では、善き思いとはどういうことでしょうか。
 「利己」と「利他」という言葉があります。あの人は利己主義だ、と言われる人は、他の人がどうなろうと、自分だけが良ければそれでいい、という人間のことです。
 「利他」の心というのは、この利己主義とは反対のものです。何かをする場合に、自分の欲望を満たすためにやるのではなく、自分以外の人のために努力する、これが利他の心です。


 例えば、人間は自分の夢が実現できるように、神仏に祈りを捧げ、お願いごとをします。これは自利、つまり自らの目的の実現を願う行為です。それはそれでいいことだと思います。しかし、同じ祈りでも、少し進んだ祈りになってくると、「病気のお母さんを助けてあげてほしい」といった願いごとになります。これは、肉親のために祈る行為であり、自分のためだけに祈る願いごとよりも、利他に近づきます。

 さらにその上には、友人のために、会社のために、社会のために、国家のために、そして人類のために、というまさに利他の祈りがあると思います。
 こうして祈る対象を拡げていくと、その願いごとは、自分のためよりも他人のために祈るという性格に変わってきます。自利の祈りではなく利他、つまり自分以外の人を思いやる祈りに近づいていきます。

 「お金持ちになりますように」と祈っていた人が、「世界が平和でありますように」と祈るようになれば、自利の祈りは利他の祈りに変わるわけです。若いみなさんには、こうした利他の心の大切さをよく理解してもらいたいと思っています。(要約)

 今日の一言には、「いくら知性を駆使し、策を弄しても、自分だけよければいいという低次元の思いがベースにあるなら、周囲の協力や天の助けも得られず、さまざまな障害に遭遇し、挫折してしまうのです」とあります。

 自分が行動を起こそうとしたとき、そのベースにある思いは果たして「自利」なのか、それとも「利他」なのか。
 決断を下す前に、「自利」か「利他」かといった単純な二択で判断するのではなく、よりどちらに近い行為なのかを、自分の胸に手を当てて今一度考えてみる。

 その思いが純粋で美しい「利他」をベースとしたものであればあるほど、それは強大なパワーを持っていますから、周囲はもちろん天もきっと味方してくれるはずです。

 目先の損得勘定に振り回されることなく、少しでも「他に善かれかし」という行動が自然に出てくるよう、日々精進あるのみ!


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