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『稲盛和夫一日一言』 12月9日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12月9日(土)は、「反省ある日々 ①」です。

ポイント:人間は誰しも完璧ではあり得ず、時に間違いを引き起こしてしまう。しかし、そのたびに素直に「反省」し、再び同じ誤りをしないように懸命に努めていく、その日々の繰り返しが、少しずつ人間性を高めてくれる。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSION-』(稲盛和夫著 PHP研究所)の「反省ある人生を送る」の項で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 反省ある人生とは、毎日さまざまな判断をしていく中で、それが果たして人間として正しかったのかどうかを絶えず真剣に反省し、常に自分を戒めながら生きていくことです。

 努めて冷静に、謙虚に反省する。もしも自分勝手で少しでも卑怯な振る舞いをしていたことに気がついたら、「自分だけのことを考えるな」「正しいことを行う勇気を持て」と、自分に言い聞かせるのです。
 そうした反省を繰り返していると、間違いを犯す前に、そのような自分の心に気づくようになり、誤った判断をしなくなるものです。

 例えば、若いときに誰にも負けない努力を重ねて自分を磨き、また事業を成功させた人でも、いつのまにかその成功に溺れ、横柄になり「昔はあんな人ではなかったのに」と周囲の人から言われるようになってしまうことがよくあります。人間は、いとも簡単に名声に甘んじてしまうものなのです。
 いくら自分を高めることができたと思っても、常に謙虚になり、常に反省し、常に学ばなければ、元の木阿弥(もくあみ)に戻ってしまうというのが、残念ながら人間の本質なのです。

 忙しい毎日を送っている私たちは、その忙しさの中で自分を省みることを忘れ、ただやみくもに仕事をこなすだけで一日を終えてしまいがちですが、そのような日々を送るだけでは、決して自分の人間性を向上させることはできません。自分の心を高めようと思うなら、自分に対する厳しい反省が必要なのです。

 反省ある人生を送らなければ、成功そのものが没落のきっかけにもなりかねないのです。(要約)

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の「六つの精進ー3 反省ある毎日を送る」の項で、「反省」という言葉の意味するところを、名誉会長は次のように解説されています。

 私が言っている「反省」とは、まさに自分だけよければいいという、えげつない利己心を抑え、自分の心の片隅にある、美しく優しい思いやりに満ちた利他の心を勇気づけ、それが自分の心の中で大きな位置を占めるようにしていくことです。

 反省を続けていくことは、人格を磨くことにつながっていきます。悪しき心を抑え、善き心が伸びるようにするわけですから、人格を向上させ、人間性を高めていくためにも、「反省」は必須条件となるのです。
 常日ごろより反省をする人なのか、そうでない人なのかによって、その人の人生が決まってくるといってもよいくらいです。反省をしないような人は進歩向上をしていけません。人生や仕事で進歩向上していくことができる人とは、必ず反省のある毎日を続けている人なのです。(要約)

 後悔しない選択を常にし続けることは、難しいものですが、後悔の少ない人生を送ることはできるはずです。それには、自分の選択に悔いを残さないよう、丁寧な生活を送ることが必要ではないでしょうか。

 アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチで、次のような名言を残しています。

 もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?
 まだそれを見つけていないのなら、探すのをやめてはいけない。安住してはいけない。心の問題のすべてがそうであるように、答えを見つけたときには、自然とわかるはずだ。

 あなたの「何かやりたい」という思いが、他に善かれかしという「利他の心」から発したものであれば、その思いに従って「善きこと」を実行すれば、それは「善き行い」として世の中に受け入れられるはずです。
 人間として正しい判断を繰り返していくためにも、常日ごろから「反省」し、自らを戒めるということを習い性にしていかなければならないと思っています。


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