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『稲盛和夫一日一言』10/3(月)

こんにちは!
『稲盛和夫一日一言』 10/3(月)は、「よい判断を下す」です。

ポイント:日頃からいい加減な判断をしていては、いざというときによい判断を下すことはできない。どんな些細なことにも集中し、真剣に考える習慣を身につけること。

2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、稲盛名誉会長は正しい判断をすることについて次のように述べられています。

素晴らしい経営者、リーダーは、正しい判断が瞬時にできなければならない。さもなくば、将来、会社の規模が大きくなっても、何万人という従業員の生活を支えることなどできないはずだ。でも、どうすればそのような判断をすることができるんだろう。もし生まれつき鋭い感覚や優れた能力を持っていなければできないのならば、私みたいにそれほど優れているとも思えない人間は、どんなに努力しても正しい判断などできないかもしれない。そう悩みながらも私は、「どんなに簡単に思えることでも、真剣に考え、正しい判断ができるよう努力しよう」と決めました。その姿勢は今も変わっていません。(一部要約)

中村天風さんは、「研ぎ澄まされた鋭い感覚で迅速な判断をするためには、どんなに些細だと思えるようなことでも、常に真剣に考える習慣をつけていかなければならない」と言われています。

日頃から何かと部下に判断を委ねているようでは、大きな問題に直面した場合に、瞬時に的確な判断を下すことなどできません。なぜなら、その場に至っていくら真剣に考えようとしても、浅薄な考えしか出てこないからです。

しかし、どんな些細なことでも真剣に考える習慣がついていれば、常に感覚が研ぎ澄まされていますから、迅速かつ的確な判断が下せるようになります。それは、単に経験知が累積されているからではなく、高速に思考を回して最良の解決策を考えつくことができるからです。最初は回転が遅く、あれこれ迷いながらではあっても、それを十年、二十年と繰り返しているうちに、冴えた良い判断を下すことができるようになっていきます。

私にも次のような経験があります。経営研究部に在籍していたころ、あるプロジェクト案件で稲盛名誉会長に最終承認をいただく必要があり、上司とともに名誉会長室での打合せに臨みました。私が資料を読み上げても、誰からも質疑が出てきません。ピーンと張りつめた空気の中、名誉会長はどうされているのかとそっと顔を上げてみると、名誉会長はやや下を向かれたまま、まさに「沈思黙考」の最中でした。しばらくして顔をあげられた名誉会長は「内容はこれでいいが、このままでは読んだ人に誤解を与えてしまうので、この部分は次のように変えてみてはどうか」と、修正内容をまるでメモを読み上げられているようによどみなくコメントされたのです。

よい判断をし続けるためには、たとえ細かなことであっても日頃から意識を集中して、深く考えて判断することを習慣づけること。何より、そうしようと意識し続けることが肝心なのではないでしょうか。


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