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『稲盛和夫一日一言』 9月28日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月28日(木)は、「会社と仕事を好きになる」です。

ポイント:経営者は、まず自分の会社と自分がやっている仕事を好きになること。そうなれば、今日よりは明日がさらに進歩していくよう、工夫を重ねながら毎日を精いっぱい生きていきさえすればいい。

 2011年発刊の『新版・実践経営問答 こうして会社を強くする』(稲盛和夫著 盛和塾事務局編 PHP研究所)の中で、塾生からの「名経営者の条件といったものをお伺いしたいのですが」という質問に対して、稲盛名誉会長は次のように回答されています。

 京セラが買収した会社の、ある子会社に送り込んだ中堅幹部の話です。
 この会社は一貫して経営が苦しく、合併以降も赤字が続いていました。職場はいわゆる3K職場、おまけに活発な労働組合活動が行われている会社でもありました。

 最初に送り込んだ幹部は二年ほどでギブアップ、困った私は、次にその幹部の部下だった人に行ってもらうことにしました。彼は高卒の叩き上げで、ごく小さな部門の長になったあまり目立たない人でしたが、技術的に共通点が多いという理由で、そう大きな期待もせずに行ってもらったわけです。

 ところが、足かけ3年が経ったころ、彼が「月次決算で黒字が出ました」と報告にきたのです。「素晴らしいやないか」と声を掛けると、「稲盛会長、何とかここまで来ましたので、もっと頑張ってこの会社を良くしていきたいと思っています」と言うのです。
 その後、バブル崩壊後の景気の下り坂が本格化して受注も激減する中、その会社は黒字が定着していて赤字を出さない。
 確かめたところ、彼は京セラの経営哲学を引っ提げて赴任し、会社への不信感で凝り固まっていた社員たちを相手に、誰彼となく、「人間として何が正しいのか」ということを説いて回ったというのです。

 さらに数年が経過したある日、その会社の新工場がオープンするというので、専務になっていた彼から「ぜひ見に来て欲しい」と言われて出かけていきました。
 工場に入ると、従業員たちが会釈したあと顔を上げてニコッとしてくれました。それは、長年待ち焦がれた親父がやっと面会に来てくれた、と言わんばかりの喜びの表情でした。さらに、そこには整理整頓された素晴らしい職がありました。もちろん、お金などかけていませんから、ところどころ剥げてはいるのですが、ゴミ一つ、塵一つないのです。

 彼は私に、「経営がこんなに面白いものなのだと教えていただいたことにお礼を言いたい。今までの人生、仕事以外に面白いものはいくらでもあると思っていましたが、経営の醍醐味を知った今となっては、比較になりません」と言いました。
 彼は、どんなに辛いことがあろうと、夜何時になろうと仕事が楽しい、経営が楽しいと言います。だからやれるのです。経営というのは楽しくなければいかんのです。私自身が人並み以上にできているのも、本当に経営が楽しいからなのです。

 もし名経営者の条件があるとすれば、それは自分の今の経営という仕事を好きになることです。そのためには今の仕事に打ち込むこと、それしかありません。(要約)

 「仕事を好きになる」、では好きになるにはどうすればよいのか。それは仕事に打ち込むこと。打ち込まなければ、決して好きにはなれません。
 どんな仕事であっても、それに全力で打ち込んでやり遂げれば、大きな達成感と自信が生まれます。その繰り返しの中で、さらに仕事が好きになります。そうすれば、どんな努力も苦にならなくなり、素晴らしい成果をあげることができるようになるはずです。

 「好きこそものの上手なれ」
 会社も仕事も経営も、それ自体が苦痛であってはよい成果を期待することはできないのではないでしょうか。


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