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『稲盛和夫一日一言』2/16(木)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2/16(木)は、「愚直さを喜ぶ」です。

ポイント:つまらないように見える仕事でも、粘り強く真面目に続けることができる、その愚直なまでの「継続する力」こそが、仕事を成功に導くための真の能力である。

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、「継続する力」について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人生とはつまるところ、「一瞬一瞬の積み重ね」に他なりません。今この一秒の集積が一日となり、その日一日の積み重ねが、やがてその人の一生となっていくのです。

 また、「偉大なこと」も「地味なこと」の積み重ねに他なりません。人が驚くような大きな成果、どんな天才が成し遂げたのだろうと思える偉業も、じつはごく普通の人がコツコツと一歩一歩積み上げた結果であることがほとんどなのではないでしょうか。

 私は経営者として、これまでに多くの人材の採用に立ち会ってきました。その過程で、頭が切れるのはもちろん、仕事の飲み込みも早く、いわゆる才気走った人、俗にいう「カミソリのような人」にも、またその反対の、利発でもないうえに気もきかない、言ってみれば「真面目だけが取柄」といった、いわゆる「鈍な人」にも出会いました。

 当然ながら、経営者として期待をかける人材は、前者であって後者ではありませんでしたが、ただ現実にはそれとは逆のことが起こるのです。

 「カミソリのような人」に限って、目先がきくせいか、早々に仕事に見切りをつけ、会社を見限って辞めてしまいます。結果的に、期待感の薄かった「鈍な人」たちが会社に残ることになるのですが、その人たちは、その後も倦(う)まずたゆまず、任された仕事をコツコツとこなしていきます。
 それはあたかも尺取虫のような遅々とした歩みなのですが、そうした努力を、十年、二十年、三十年と、営々と重ねることを厭(いと)わず、ただ愚直に、真面目に、地道に、そして誠実に働き続けた結果、いつのまにか「非凡な人材」へと変わっていったのです。

 それは、けっして豹(ひょう)のようなめざましい俊敏な動きではありませんでしたが、まるで牛のように、ただ不器用に、愚直にひとつのことを継続することによって、彼らは自らの能力のみならず、人格をも磨き上げ、素晴らしい人材へと成長してくれました。

 もし今、自分には「真面目に働く」ことしか能がないと嘆くような人がいるならば、その「愚直さ」こそを喜べ、と私は言いたいのです。(要約)

 「愚直」とは、文字通り「愚かなほど真っすぐ」 という意味ですが、ここでの「真っすぐ」には「真面目」「正直」という意味があります。

 私も、延々と単純作業を続けるのは好きではありませんが、一見つまらないように見える簡単な作業であっても、よくよく考えてみると、「あれっ」と思うような部分が出てきて、次はそこを工夫してどうクリアしていこうかと考え始めると、改めて新鮮な目で同じ作業に向き合うことができる、といった経験を繰り返してきました。

 京セラでは次のような言葉が継承されています。
  今日一日を精一杯努力しよう。
  今日一日を懸命に働けば、明日が必ず見えてくる。
  今月を精一杯がんばろう。
  今月を精一杯がんばれば、来月が見えてくる。
  今年一年を充実させよう。
  今年を充実させれば来年が見えてくる。

 瞬間瞬間を充実させ、小さな山を一山ごとに超えていく。そうした小さな達成感を連綿と続け、果てしなく継続していく。それこそが、高く大きな目標にたどり着くための、最も確実な道なのではないでしょうか。


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