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『稲盛和夫一日一言』5/28(日)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5/28(日)は、「感性的な悩みをしない ②」です。

ポイント:人生や仕事で起きる障害や問題に、感情や感性のレベルでとらわれても何も解決しない。余計な心配はせずに、ただ成功を信じて「天命を待つ」こと。

 2007年発刊の『人生の王道』(稲盛和夫著 日経BP社)の中で、西郷南洲翁遺訓二七条について、稲盛名誉会長は次のような解説をされています。

【遺訓ニ七条】
 過(あやま)ちを改(あらた)むるに、自ら過ったとさえ思い付かば、それにて善し。その事をば棄て顧みず、直ちに一歩踏出すべし。過を悔しく思い、取繕(つくろ)わんとて心配するは、譬(たと)えば茶碗を割り、その欠けを集め合せ見るも同じにて、詮(せん)もなきこと也。

【訳】
 過ちを改めるにあたっては、自分から過ったとさえ思いついたら、それでよい。そのことをさっぱり思いすてて、すぐ一歩前進することだ。過去の過ちを悔しく思い、あれこれと取りつくろおうと心配するのは、たとえば茶わんを割ってそのかけらを集めてみるのも同様で、何の役にも立たぬことである。

 我々小人は、なかなか自らの過ちを認めようとはしません。特に部下などから指摘されたときなどは、自分が間違っていたと分かっていても、それを素直に認めようとはせず、言い張ったり、言いくるめようとしたりします。

 勇気をもって自分の過ちを認め、改めていく。いさぎよく反省したあとは、同じ過ちを繰り返すことのないように注意して、次の一歩を踏み出していく。「間違ってしまったことをいつまでも悔い悩んでいることは、百害あって一利なし、先へ進めばよい」と西郷はいっているわけです。

 確かに一番悪いのは、くよくよと悩んで、心労を重ねることです。身体を壊したり、ときには自殺をはかったりするのも、ほとんどがこの心労が原因です。
 そうした悪循環は断ち切らなければなりません。夜も眠れないほどの大きな過ちであったとしても、決して思い惑ってはならないのです。
(要約)

 名誉会長は、人生をより良く生きるための心がけ、「生き方」のエッセンスとして「六つの精進」を紹介されてきました。
 1.誰にも負けない努力をする
 2.謙虚にして驕らず
 3.反省ある毎日を送る
 4.生きていることに感謝する
 5.善行、利他行を積む
 6.感性的な悩みをしない

 なかでも、「感性的な悩みをしない」は、気持ちまで弱ってしまうような心配事を抱えている人にとっては、まさに救いとなる一言ではないでしょうか。

 今日の一言には、「人生や仕事で起きる障害や問題に、感情や感性のレベルでとらわれても何も解決しない。苦しければ苦しいほど、理性を使うべきだ」とあります。

 合理的に考え尽くし、一生懸命に努力をし、まさに「人事を尽くし」たなら、あとはうまくいくのだろうかなどと余計な心配はせず、ただ成功を信じて「天命を待つ」。思い悩んで立ち止まってしまうのではなく、やるべきことをしっかりとやるために踏み出していく。

 「自ら過ったとさえ思い付かば、それにて善し」
 この言葉は、まさに西郷隆盛ならではの至言ではないでしょうか。困難な状況を克服していくにあたってぜひ大切にしていきたい一言です。


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