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『稲盛和夫一日一言』 7/21(金)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7/21(金)は、「非凡なる凡人 ①」です。

ポイント:気の利かない、平凡で鈍な人材であっても、十年後、二十年後には素晴らしいリーダーに成長していくことができる。

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、平凡な人を非凡な人に変えるものとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人生とは、つまるところ「一瞬一瞬の積み重ね」に他なりません。今この一秒の集積が一日となり、そうした一日の積み重ねが、一週間、一ヵ月、一年となり、その人の一生となっていきます。

 同じように、偉大なことも地味なことの積み重ねに他なりません。人が驚くような大きな成果、どんな天才が成し遂げたのだろうと思える偉業も、実はごく普通の人がコツコツと一歩一歩積み上げた結果であることがほとんどなのではないでしょうか。

 例えば、エジプトの巨大ピラミッドも、たくさんの名もなき人たちが、地道な作業を営々と積み重ねた結果でしかありません。膨大な数の大きな切り石を切り出し、それを一個一個運んでは積み上げていく。
 ピラミッドとは、そうした気の遠くなるような作業が継続されて生まれた汗の結晶だからこそ、悠久の時を超えてあの雄姿を誇っているのです。それは、私たち一人ひとりの人生も変わりありません。

 一つのことを継続することによって、とうてい手が届かないと思えていた地点まで到達することができるだけでなく、人間としても大きく成長することが可能になります。

 かつて京セラの滋賀県にある工場に、一人の中学卒の従業員がいました。「こうしなさい」と教えると、「はい」とうなずいて、手を真っ黒にし、汗まみれになりながら、指示された仕事を来る日も来る日も飽きずにやっていました。工場ではまったく目立たない存在でしたが、ただ不平や泣き言は一切口にせず、地味で単純な作業をコツコツと続けてくれていました。

 それから二十年後、私は彼に再会しました。驚いたことに、地味で単純な作業をコツコツ続けていた彼が、事業部長に出世していたのです。私が驚いたのはその役職だけではありません。「よくぞ、ここまで」と、思わず声を出してしまうほど、人格も見識も十分に備えた立派なリーダーに成長していたのです。

 目だたない存在で、ただコツコツと愚直に仕事を続けるしかなかった平凡な彼を非凡に変えたもの、それこそが地味な努力を厭わずに積み重ね、息長く続けていく「継続する力」だったのです。(要約)

 人生に迷いはつきものです。しかも、真剣に取り組んでいればいるほど、その迷いは大きくなるものです。そのため、真面目で一生懸命な人ほど、本質的な部分で悩み、そして答えのない迷路に迷い込んでしまう。

 そうした迷いを払拭するには、その場に立ち止まって固まってしまわないよう、「もっと先を見るようにしてみたら」といったアドバイスがなされることが多いのですが、それとは逆に、自分の足元だけをじっと見ることも有効なのではないでしょうか。

 名誉会長は、次のようにも話されています。
 もし今、「真面目に働く」ことしか自分には脳がない、と嘆くような人がいたら、その「愚直さ」こそを喜べと言いたい。

 「普通の人でも、コツコツと真面目に働き続ければ、大きな成果を上げることができる」 
 この言葉は、京セラの研究所に配属されたものの、専門知識の乏しい自分に研究職など務まるのだろうか、と大きな不安を抱えながら社会人生活をスタートしていた私にとって、日々の支えとなりました。

 「中身の濃い今日を、毎日毎日続けていく」
 今日一日を「生きる単位」として、その日一日を精一杯生きてみる。そのような一日一日の地道な足取りこそが、何十年後には、思いもよらなかったような高みへと自分を導いていってくれるのではないでしょうか。


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