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『稲盛和夫一日一言』 8月5日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 8月5日(土)は、「完璧主義を貫く」です。

ポイント:仕事においては、「やり直しがきく」という考え方でいる限り、小さなミスを繰り返すばかりか、やがては取り返しのつかないミスを犯す危険性をはらんでいる。「一つのミスも許さない」、そんな完璧主義を貫いてこそ、仕事の上達、さらに人間的な成長をも望めると認識すべし。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、「仕事に消しゴムはない」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は、『稲盛和夫の実学 ー経営と会計』(日本経済新聞社)という会計学の本の中で、次のようなエピソードを紹介しています。

 会社がまだ小さい頃、私はある経理部長をさんざん悩ませていました。それは理解できない点があると、すぐに彼に質問を投げかけていたからです。
 経営のケの字も知らない私のような若造が何だかんだと訳の分からない、しかも幼稚な質問を繰り返すものですから、最初からイヤな顔をされていました。

 あるとき、経理部門がまとめた実績数字について再確認したところ、最初は軽くあしらわれていたのですが、やり取りするうちに、その中の数字に誤りがあることが判明したのです。
 私から、「ここの数字は合っていないのでは?」と問われた彼は、さすがに気まずかったのでしょう。「すみません」と言って、すぐに消しゴムを持ってきてその数字を書き直そうとしたのです。

 私には、それがどうしても理解できませんでした。これが製造であれば、製品は全部ダメになってしまっていたでしょう。私は、「経理の人間というのは、後で消せるように数字を鉛筆で書いておいて、間違ったら消しゴムで書き直せば済むと思っている。だから、いつまでもこうしたミスがなくならないのだ」と烈火のごとく怒りました。

 消しゴムでは消せないものがあるのです。すべての仕事において、少しでもミスがあれば取り返しのつかない事態に陥りかねない。それくらいの緊張感を持って、日々仕事をしなければなりません。
 仕事をするうえでは、最後に数字が合えばいいという考え方は許されません。そして、自分自身の努力をさらに実りあるものとするためにも、仕事ではパーフェクトを求めなければならないのです。(要約)

 こうした考え方、仕事に向かう上での心構えについては、京セラフィロソフィでは「完全主義を貫く」「完璧主義を貫く」あるいは「完全主義を習い性とする」といった項目で、身近な事例を挙げて解説されています。

 ここでもポイントになるのは「有意注意」です。常日頃、自分で意識をそちらに向ける、つまり「意を注ぐ」ということができているかどうかで、出てくる結果には明らかな差異が生じてきます。

 「間違いに気づいたら訂正すればいいじゃないか」というような安易な気持ちが心のどこかにあると、本当の意味で、自分も周囲も満足できるようなパーフェクトな成果を得ることはできないでしょう。かりにうまくいったとしても、それは「たまたまのラッキー」であって、決して「いつも満足」ということにはなり得ません。

 ここでは経理部門とのエピソードが紹介されていましたが、どんな部署であれ、またどんな業務内容であれ、「完璧主義を貫く」という姿勢が不要なところはないと思います。私には、常にパーフェクトを追求し、しかも達成し続けようとする心構えこそが尊いものだと思えてなりません。


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