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『稲盛和夫一日一言』 4月29日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4月29日(月)は、「お客様第一主義を貫く」です。

ポイント:お客様の召使いとも呼べる位置づけを甘んじて受け入れる。お客様に対して徹底的に奉仕すること。それも経営の大原則の一つ。

 2022年発刊の『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(稲盛和夫述 稲盛ライブラリー編 PHP研究所)「お客様のサーバントになりきる」の項で、お客様第一主義を貫くことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 京セラがまだ中小零細企業であった当時、私は技術屋でありながら、どうすれば我々がつくる電子部品を、日本の大手電機メーカーはもちろんのこと、世界的な大企業が買ってくれるのだろうかと考えていました。

 扱っている製品が緻密な説明を要する難しいものであっただけに、私自身、若いころは第一線の営業担当者と一緒にお客様のところを走り回っていました。
 しかし、日本ではどうしても系列会社が重視されるため、系列ではない京セラのような中小零細企業の製品は、国内大手メーカーにはなかなか買っていただけませんでした。そこで、アメリカまで出て行き、アメリカの大企業にぜひ私が開発した新しい材料を使ってもらおうと思ったのです。

 そんなとき、製品によっては買ってやろう、使ってあげようと思っていただけることよりも、まずは営業としてお客様に好かれなければならない。そのためには、お客様の「召使い」になろうと決めました。

 「営業がお客様に好かれるには、まさに『召使い』のように使えることが大事なはずだ。だから、お客様からは無理難題を言われるかもしれないが、それに応じてさしあげること、つまり自分が謙(へりくだ)って『召使い』のように働くことだ。それは、決して自分を卑下し、惨めな思いをすることではない。何よりお客様が期待されるなら、それに徹しようではないか。『サーバント』になり切ろう」

 アメリカの場合、相手がどんなに立派な大会社であろうと、そこに物を納めるベンダー(供給者)の多くは、だいたいが中小企業でした。その中で、アメリカは民主主義の国であり、企業は規模の大小に関わらず対等だとの考えから、無理難題を言われた場合、ベンダーが小さな会社であっても、できないことは「No!」とはっきり言うのが商習慣とされていました。

 しかし京セラは、注文を受けて「すぐに持ってこい」と言われると、日本でつくった製品がサンフランシスコ空港に届いて通関が終わるとすぐに大急ぎで営業が受け取りに行き、それを車のトランクに入れて、早朝であれ夜中であれお客様のところに届けるという対応を続けました。

 アメリカという民主主義の国にしては、惨めなくらい一生懸命やっていたわけです。別に計算して動いていたわけではなかったのですが、それがお客様に感動をもたらしました。
 そして、「これだけ難しい仕様の主要部品を、どこよりも早く供給してもらえるベンダーは京セラしかいない」と言われるようになり、その後カリフォルニアの半導体産業が急速に発展していくなかにあって、何年間も京セラが大事な部品を供給し続けることができたのです。

 お客様に徹底して奉仕すると決め、それも嫌々ではなく、明るく、心から喜んで仕えたことがお客様の心を打ち、「パッケージなら京セラ」といわれるようになるまでの結果につながりました。

 ですから私は、思いやりの心、利他の心で、お客様のために一生懸命に尽くすこと。また当然ながら親切に、優しく、明るい笑顔でお客様に接すること。つまり、お客様第一主義に徹することが何より大切なことだと思っています。(要約)

 今日の一言には、「『甘んずる』とは、嫌々という意味ではない。自ら喜んで、気持ちよくお客様の召使いを務めるということ。それが務まらないようでは、どんな立派な販売戦略も画(え)に描いた餅でしかなく、一時的に成功したとしても単発に終わり、持続的な成功を収められるはずはない」とあります。

 私も、自ら開発した新規セラミック材料を採用してもらおうと、国内大手電機メーカーを繰り返し訪問したことがあります。
 従来品で取引のあるところであれば、営業経由でプレゼンの場を設定していただくことはできたのですが、競合他社が主要ベンダーとなっているところにはなかなか相手にしてもらえません。

 それでも担当営業と協力して、お客様に興味を持っていただけそうな技術資料を準備しては短時間でも話を聞いていただけるよう粘り強いアプローチを繰り返し、ようやくお客様の本音が聞き出せる商談にこぎつけることができた、といった経験があります。

 商いの基本は、お客様に喜んでいただくことです。
 お客様のニーズに対して、今までの概念をくつがえしてでも、徹底的にチャレンジ・奉仕する。
 そうした姿勢を持ち続けることが「お客様第一主義を貫く」ということではないでしょうか。


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