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『稲盛和夫一日一言』4/2(日)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/2(日)は、「魂を磨く」です。

ポイント:死を迎えるときには、誰もが現世でつくり上げた地位も名誉も財産もすべて脱ぎ捨て、魂だけを携えて新しい旅立ちをしなくてはならない。この世にやってきたときよりも高い次元の魂を持ってこの世を去っていく。それが人間が生きる目的。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)のプロローグで、人間が生きている意味はどこにあるのかという問いかけに対して、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私たち人間が生きている意味、人生の目的はどこにあるのでしょうか。もっとも根源的ともいえるその問いかけに、私はやはり真正面から、それは心を高めること、魂を磨くことにあると答えたい。

 生きている間は欲に迷い、惑うのが、人間という生き物の性(さが)です。ほうっておけば、私たちは際限なく財産や地位や名誉を欲しがり、快楽におぼれかねない存在です。

 なるほど、生きているかぎり衣食が足りていなくてはなりませんし、不自由なく暮らしていけるだけのお金も必要です。立身出世を望むことも生きるエネルギーとなるから、いちがいに否定すべきものでもないでしょう。

 しかし、そういうものは現世限りで、いくらたくさんため込んでも、どれ一つとしてあの世へ持ち越すことはできません。この世のことはこの世限りでいったん清算しなくてはならない。

 そのなかでたった一つ滅びないものがあるとすれば、それは「魂」というものではないでしょうか。死を迎えるときには、現世でつくり上げた地位も名誉も財産もすべて脱ぎ捨て、魂だけを携えて新しい旅立ちをしなくてはならないのです。

 ですから、「この世へ何をしにきたのか」と問われたら、私は迷いもてらいもなく、生まれたときよりも少しでもましな人間になる、すなわちわずかなりとも美しく崇高な魂をもって死んでいくためだと答えます。

 俗世間に生き、さまざまな苦楽を味わい、幸不幸の波に洗われながらも、やがて息絶えるその日まで、倦(う)まず弛(たゆ)まず一生懸命生きていく。そのプロセスそのものを磨き砂として、おのれの人間性を高め、精神を修養し、この世にやってきたときよりも高い次元の魂をもってこの世を去っていく。私はこのことより他に、人間が生きる目的はないと思うのです。(要約)

 本日は、昨日に引き続き、人間が生きる意味、目的に関する内容となっています。

 先月も、携帯電話基地局の整備に関わる業務委託費を水増しし、会社からおよそ25億円を不正請求していたという詐欺事件が発覚しました。同時に、容疑者たちの常軌を逸した散財ぶりから、捜査当局は金の流れを調べるなど、さらに余罪を追及しているとの報道もありました。

 この事件は、一度歯止めが効かなくなると、人間と言う生き物は際限なく欲望を肥大させていくのだということを、改めて気づかせてくれました。

 著書『生き方』の中で、名誉会長は、「人間の生き方というものを真正面からとらえ、生きる意味と人生のあり方を根本から問い直し、それを時代の急流に打ち込む、ささやかな一本の杭としたい」と言われています。

 日々発生する労苦は、すべて己の人間性を磨くための絶好のチャンスだととらえ、限られた人生を自分のものとして生きていくために、今日よりよき明日であろうと日々誠実に努める。

 「心を高める、魂を磨く」 この言葉に共感いだだける方が一人でも多くなっていけばと願っています。


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