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『稲盛和夫一日一言』 6/28(水)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6/28(水)は、「真のリーダーとは」です。

ポイント:真のリーダーとは、人生においてひたすら仕事に打ち込み、その中で人格を高め続けているような人。そういう人間であればこそ、集団のために自らを犠牲にして懸命に働き続けてくれる。

 2016年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第5巻 リーダーのあるべき姿』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、無私の心でことにあたることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 京セラを上場してしばらくのことです。山形県在住の方が訪ねてこられて、庄内の人たちが西郷南洲の思想をまとめた『南洲翁遺訓』をいただきました。それを読んで私は、改めて西郷の思想哲学のすばらしさに感動したのです。

 その中に、「リーダーのあるべき姿」が見事に語り尽くされていますので、代表的なものとして、遺訓集の最初の言葉を紹介します。

【遺訓一条】
 廟堂(びょうどう)に立ちて大政を為すは天道を行ふものなれば、些(ち)とも私を挟みては済まぬもの也。いかにも心を平成に操(と)り、正道を踏み、広く賢人を選挙し、能く其職に任(た)ふる人を挙げて政柄(へいせい)を執らしむるは、即ち天意也。夫れゆえ真に賢人と認むる以上は直に我が職を譲る程ならでは叶はぬものぞ。故に何程国家に勲労有る共、其職に任へぬ人を官職を以て賞するは善からぬことの第一也。官は其人を選びて之を授け、功有る者には俸禄を以て賞し、之を愛し置くものぞと申さるる。

【訳】
 政府の中心となり、国の政(まつりごと)をするということは、天道を踏み行うということだ。だから、少しでも私心をさしはさんではならない。徹底的に心を公平にして正しい道を踏み、広く賢明な人を選び、その職務をちゃんと果たしていける人を選んで政治を執り行わせる。これが天の意である。だから、賢明で適任だと認める人がいたのなら、すぐにその人に自分の職を譲るべきなのである。国に対してどれほどの手柄があった人でも、その職をうまく務めることのできない人に官職を与えて賞するのは一番よくないことだ。官職というものは、その人を選び、それに適任の人に授けるもの。功績のあった人にはお金をあげて大切にすればよいのだ。

 ここでは政治家のことを例にしていますが、どんな組織であれ、トップに立つ者は、こういう心構えでなければなりません。つまり、トップに立つ者は天道を踏み行うものであって、少しでも自分を大切にする思いをさしはさんではならない、と言われているわけです。この言葉に出会って、私は身震いしました。(要約)

 ここでは、「トップに立つ人間が、個人という立場になったときに、組織をダメにしてしまう。常に組織に思いをはせることができるような人、いわば自己犠牲を厭わないでできるような人でなければ、トップになってはならない」ということを教えてくれています。
 そしてこの教えに出会って以降、名誉会長は一切迷うことなく、ご自身の人生のすべてを経営にかけることができたとも言われています。

 今日の一言には、「人生において、ひたむきに仕事に打ち込み、その中で人格を高め続けているような人物であれば、リーダーとして権力を委ねられた後も、堕落(だらく)することも傲慢になることもなく、集団のために自らを犠牲にして懸命に働き続けてくれるはずです」とあります。

 多くの人の上に立ち、集団を統率する立場にあるリーダーにとって、「無私」の姿勢を貫き通すということは、何としても身に付けていなかくてはならない条件ではないでしょうか。


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