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『稲盛和夫一日一言』 11月17日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11月17日(金)は、「努力の報酬」です。

ポイント:「世のため人のため、この事業を何としても成功させたい」と強く願い、必死の思いでひたむきに仕事に取り組んでいると、その努力の報酬として、天の「知恵の蔵」に蓄積されている叡知の一部を与えてもらうことができる。

 2015年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第1巻 技術開発に賭ける』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、「たゆまぬ努力が偉大なことを成しうる」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 技術開発を志す者は、自分が開発しようとしているテーマを素晴らしいと感じなければなりません。好きであれば、たとえ夜中であろうと熱意をもって取り組めますが、嫌々ながらであれば、なんの成果も上がりません。

 次に大事だと思うのは、テーマを決めたら「このテーマはこの点が難しい」といったネガティブな考え方はすべて放り出してしまうことです。なぜなら、努力次第で人間が持つ可能性は無限に広がると考えているからです。それは大きなテーマに限らず、一見些細と思えるような日常的な改良改善や創意工夫においても同様です。

 技術開発をする人は、一般にはとかく知的で冷静な人と思われがちですが、京セラでは、どちらかというとおっちょこちょいで感激屋である人が多いのです。なぜなら、技術開発は辛いことの連続ですから、たとえわずかな成果に対しても、自ら感激して喜べるタイプの人でなければなかなか務まらないからです。

 そして同時に、自分自身に対して厳しく追求できる人でなければ成功はおぼつきません。何より、素直な心を持つことが大切です。円満な人間性に基づく考え方を持っていなければ、立派な成果とは縁遠いと思います。

 加えて、苦しい問題に自ら進んで取り組んでいく積極性も必要です。人は誰もが弱さを持っており、困難に遭遇するとそこから逃げ出したいという気持ちが働きます。そのため、技術開発の担当者には素晴らしい勇気と謙虚さも求められるのです。

 愚直に無限の可能性を信じること。
 技術開発は一朝一夕には進みません。「たゆまぬ努力が偉大なことを成しうる」という強い信念を持ち続け、たとえ何年もの長い時間がかかっても、孤独に耐えながら取り組み続ける。そうした一歩一歩の地道な努力を行うことが、素晴らしい成果を生んでいきます。
 決して功を焦ってはなりません。漫然と何かを探している状態では、創造的なアイデアは出てこないと思います。まずは、地味な努力を続けることによって素晴らしい成果が舞い降りてくると信じることです。


 問題に直面するたびに悩み苦しんでいると、それが潜在意識にまで浸透していき、ある瞬間、新しいクリエイティブなアイデアとなって出てきます。
 私はそのような瞬間を、神様が与えてくださった「啓示」だと思っています。そしてそれは、それまで積み重ねてきた努力と執念から生み出されたものだと思っています。
(要約)

 今日の一言の中で名誉会長は、「なぜ私が京セラやKDDIといった企業を設立して今日のように発展させることができたのか。私は寝ても覚めても仕事に没頭し、それこそ『狂』がつくほど、凄まじい勢いで働いてきました」と自身を振り返っておられます。

 私も京セラに技術職で入社して23年の間、新技術・新商品の研究開発に携わりました。その間、文字通り寝る間も惜しんで目の前のテーマや課題に没頭してきたように思います。なぜなら、ぼーっと働いていて何となくうまくいくような生易しいテーマや課題はひとつもなかったからです。
 それでも、今振り返ってその成否を敢えて勝敗でカウントするならば、3:7比で大幅な負け越しだったなあと反省しています。

 「誰にも負けない努力をする」という言葉は、たいへん響きが良く、誰にも納得感の得られやすい言葉ではありますが、いざそれを実践するということは、必死の思いでひたむきに取り組み続ける、それこそ心身ともにボロボロになろうとも踏ん張り続ける、ということと同義なのではないでしょうか。


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